2022年1月8日土曜日

ソフィー・ハナ作「閉じられた棺」(Closed Casket by Sophie Hannah) - その2

英国の HarperCollinsPublishers 社から2016年に出版された
ソフィー・ハナ作「閉じられた棺」の
カバーを外した本体の表紙(ハードカバー版)
Jacket Design : Heike Schussler / HarperCollinsPublishers 
Other Jacket Images : Shutterstock.com (interior elements)
                        Lonely Planet / Getty (angel)


シュリンプ・セドン(Shrimp Seddon)という女性を主人公とする子供向けの探偵小説シリーズを執筆する有名な作家であるレディー・アテリンダ・プレイフォード(Lady Athelinda Playford)から、彼女の新たな遺産相続人として指名された秘書のジョーゼフ・スコッチャー(Mr. Joseph Scotcher)は、椅子から立ち上がって、茫然自失状態になった。看護師のソフィー・ブゥーレット(Miss Sophie Bourlet)経由、ランダル・キムプトン医師(Dr. Randall Kimpton - レディー・アテリンダ・プレイフォードの長女クラウディア・プレイフォードの婚約者)は、ジョーゼフ・スコッチャーに対して、グラスを渡し、水を飲んで落ち着くように諭した。

ハリー・プレイフォード子爵(Viscount Harry Playford - レディー・アテリンダ・プレイフォードの長男)の兄弟で、若くして亡くなったニコラス・プレイフォード(Nicholas Playford)の面影をジョーゼフ・スコッチャーに見たドロシー・プレイフォード子爵夫人(Viscountess Dorothy Playford - ハリー・プレイフォード子爵の夫人)が彼のことを糾弾するに及ぶと、レディー・アテリンダ・プレイフォードは怒って、内輪のパーティーはまだこれからなのにもかかわらず、自室へと戻ってしまう。


レディー・アテリンダ・プレイフォードに取り残された10名はそのまま夕食を続けるが、夕食後、ジョーゼフ・スコッチャーは、突然、ソフィー・ブゥーレットに対して求婚し、彼女はそれを受け入れる。急な展開に驚きつつ、他の8名は、ジョーゼフ・スコッチャーとソフィー・ブゥーレットを二人にして、各々、夕食後を過ごす。


庭の散歩から戻って来たエルキュール・ポワロとスコットランドヤードの若手警部であるエドワード・キャッチプール(Inspector Edward Catchpool)は、オーヴィル・ロルフェ(Mr. Orville Rolfe)弁護士の様子がおかしいことに気付く。彼は、「誰かに毒を盛られた。」と話す。ランダル・キムプトン医師が彼の喉に手を突っ込み、浴室で吐かせ、なんとか事無きを得る。毒ではなく、おそらく、食べ過ぎが原因のようだった。

ベッドに横たわるオーヴィル・ロルフェ弁護士は、ポワロ達に対して、「夕食後、庭を散歩していた時、誰か(男女2人)が葬式の話をしていた。『閉じた棺は駄目だ。開いた棺が必要だ。(”Open Casket : it’s the only way.”)』と喋っていた。」と告げる。「閉じた棺」/「開いた棺」とは、一体、何のことだろうか?


英国の HarperCollinsPublishers 社から2016年に出版された
ソフィー・ハナ作「閉じられた棺」の見返し部分(ハードカバー版)


すると、その時、階下において、女性の叫び声があがった。

ポワロやキャッチプール警部達が急いで階下へと降りると、応接間の入口には、ソフィー・ブゥーレットが居て、床の上には、ゴルフのクラブで殴られて、顔を潰されたジョーゼフ・スコッチャーが倒れているのに、出会したのである。

ソフィー・ブゥーレット曰く、応接間の中で、命乞いをする男性の声と「本当であれば、アイリスがこれをすべきだった。(”This is what Iris should have done.”)」と告げる女性の声がしたので、中に入ってみると、クラウディア・プレイフォード(Honourable Miss Claudia Playford - レディー・アテリンダ・プレイフォードの長女で、ハリー・プレイフォード子爵の姉)が、ゴルフのクラブを手にして、ジョーゼフ・スコッチャーの顔を滅多打ちにしている現場を見たとのことだった。

ソフィー・ブゥーレットが耳にした「アイリス」とは、誰のことなのか?また、彼女の証言通りであれば、クラウディア・プレイフォードが、遺言書の内容変更を恨んで、ジョーゼフ・スコッチャーをゴルフクラブで撲殺したことになるが、本当なのだろうか?

ポワロやキャッチプール警部達がソフィー・ブゥーレットの悲鳴を聞いて、屋敷内に一つしかない階段を駆け降りた際、誰ともすれ違わず、クラウディア・プレイフォードは、彼らの後から階段を降りて来たのである。


地元警察が到着して、検死陪審による死因審問が行われたが、ジョーゼフ・スコッチャーの死因は、ゴルフクラブによる撲殺ではなく、ストリキニーネによる毒殺であることが判明した。更に、ジョーゼフ・スコッチャーの肝臓は健全で、重い肝臓病を患っている兆候は、全くなかったのであった… 


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