2021年7月24日土曜日

ロンドン セントジェイムズストリート(St. James’s Street)

セントジェイムズストリートの西側から東側を見たところ -
画面右奥斜めに延びる通りは、ジャーミンストリート(Jermyn Street)

英国の作家であるガイ・アダムス(Guy Adams:1976年ー)が2011年に発表した「シャーロック・ホームズ / 神の息吹(Sherlock Holmes / The Breath of God → 2021年6月23日 / 6月30日 / 7月10日付ブログで紹介済)」において、シャーロック・ホームズが、事件の情報を得るために、ジョン・H・ワトスンを連れて、ゴシップ屋のラングデイル・パイク(Langdale Pike → 2021年7月17日付ブログで紹介済)が居るクラブを訪れているが、そのクラブは、セントジェイムズストリート(St. James’s Street)に面していると記述されている。


ラングデイル・パイクは、元々、ホームズシリーズの作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)が発表した短編小説「三破風館(The Three Gables → ホームズシリーズの56ある短編小説のうち、51番目に発表された作品で、米国では、「リバティー(Liberty)」の1926年9月18日号に、また、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1926年10月号に掲載。ホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿(The Casebook of Sherlock Holmes)」(1927年)に収録。)」に登場する人物である。「三破風館」の中盤において、「Langdale Pike was his human book of reference upon all matters of social scandal. This strange, languid creature spent his waking hours in the bow window of a St James’s Street club, and was the receiving-station, as well as the transmitter, for all the gossip of the Metropolis.(ラングデイル・パイクは、全ての社会的醜聞に関する生き字引だったからだ。この奇妙で無気力な人物は、一日中、セントジェイムズストリートにあるクラブの張り出し窓の中で過ごし、ロンドン中のあらゆるゴシップの受信局であるとともに、送信局にもなっていた。)」と述べられている。



セントジェイムズストリートは、ロンドンの中心部シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のセントジェイムズ地区(St. James’s)内にある通りである。

セントジェイムズストリートの北側は、地下鉄ピカデリーサーカス駅(Piccadilly Circus Tube Station)地下鉄ハイドパークコーナー駅(Hyde Park Corner Tube Station → 2015年6月14日付ブログで紹介済)を東西に結ぶピカデリー通り(Piccadilly)から始まり、南側は、ピカデリー通りに並行して東西に延びるパル・マル通り(Pall Mall → 2016年4月30日付ブログで紹介済)とセントジェイムズ宮殿(St. James’s Palace)にぶつかるところで終わっている。なお、コナン・ドイルによる原作(「ギリシア語通訳(The Greek Interpreter)」)によると、パル・マル通りには、シャーロック・ホームズの兄であるマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)が創設した「ディオゲネスクラブ(Diogenes Club)」があると言われている。


セントジェイムズストリート沿いに建つカールトンクラブ

セントジェイムズストリート自体は、特別な開発計画に基づいて敷設された訳ではないが、初代セントオールバンス伯爵ヘンリー・ジャーミン(Henry Jermin, 1st Earl of St. Albans:1605年ー1684年)がセントジェイムズスクエア(St. James's Square → 2015年10月25日付ブログで紹介済)を近くに開発したことで、恩恵を受けて、不動産価格が高騰。
特に、セントジェイムズストリートから西側へ枝分かれした通りの奥に建つ建物は、グリーンパーク(Green Park)を見下ろすことができる景観が確保されており、不動産としての価格は非常に高い。

セントジェイムズストリート沿いには、現在、紳士用クラブ、高級店舗やオフィス等が並んでいる。なお、紳士用クラブの中には、コナン・ドイルによる原作(「高名な依頼人(The Illustrious Client)」に登場するサー・ジェイムズ・デマリー大佐(Colonel Sir James Demery)がメンバーとなっている「カールトンクラブ(Carlton Club → 2014年11月16日付ブログで紹介済)」も含まれている。

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