2021年7月21日水曜日

ガイ・アダムス作「シャーロック・ホームズ / モロー博士の軍団」(Sherlock Holmes : The Army of Dr. Moreau) - その1

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2012年に出版された
ガイ・アダムス作「シャーロック・ホームズ / モロー博士の軍団」の表紙
(Cover Design : Amazing15.com)


作者のガイ・アダムス(Guy Adams:1976年ー)は、英国出身で、俳優やコメディアンとして活躍した後、規則的な生活を求めて、作家業へ転身。

本作品「シャーロック・ホームズ / モロー博士の軍団(Sherlock Holmes / The Army of Dr. Moreau)」は、「シャーロック・ホームズ / 神の息吹(Sherlock Holmes / The Breath of God → 2021年6月23日 / 6月 30日 / 7月10日付ブログで紹介済)」(2011年)に続いて、2012年に発表されている。


ある日、シャーロック・ホームズの兄マイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)が、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)を訪れるところから、物語は始まる。

マイクロフトがシャーロックとジョン・H・ワトスンに対して語ったのは、驚くような話だった。


チャールズ・モロー博士(Dr. Charles Moreau)は、ロンドン東部のグリニッジ(Greenwich)に住む高名な生理学者(physiologist)であったが、残酷な動物実験を行ったとの理由で、学界を追放され、ロンドンからその姿を消した。


なんと、モロー博士は、英国政府による庇護の下、南太平洋の小島において、実験を継続していた、というのだ。英国政府からモロー博士の助手として送り込まれていたモンゴメリー(Montgomery)からの連絡が突然途絶えたのを不審に感じたマイクロフトは、英国海軍の一隻を現地へと派遣。英国海軍がモロー博士が住む小島周辺の海域を調査するも、特に大きな発見はなかった。そして、モロー博士との連絡が途絶えてから、8年が経過した。


今から12年前(=1887年2月)、問題の海域において、帆船レディーヴェイン号(Lady Vain)が漂流船と衝突事故を起こして沈没。その11ヶ月後、同帆船に乗り込んでいたエドワード・プレンディック(Edward Prendick)が、海上で救助された。

プレンディックによると、帆船レディーヴェイン号が沈没した際、小型ボートで脱出して、モロー博士の島に上陸。その島で、モロー博士は、人間と動物を合成した「獣人」をつくり上げていた。やがて、モロー博士は、その獣人達によって惨殺された上に、英国政府がモロー博士の助手として送り込んだモンゴメリーも殺害され、ただ一人の生き残りとなったプレンディックは、命の危険を感じて、島を脱出した、というのである。


そして、現在のロンドンにおいて、3人の市民が、通常の方法ではない、つまり、ロンドン内には存在していない動物によって惨殺された状態で、屍体となって発見されたのである。

果たして、プレンディックが語った話は、本当なのか?そうであれば、実は、モロー博士は、まだ生きていて、南太平洋の小島からロンドンに戻って来ていて、獣人達を生み出しているのだろうか?


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