2014年5月10日土曜日

ロンドン 地下鉄ベーカーストリート駅 ジュビリーラインのプラットフォームにあるホームズの物語(6)

(6)バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)


初出:「ストランドマガジン」(英)1901年8月号 - 1902年4月号
                                           事件の発生:1888年9月
                                           収録:「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」

死体で発見された富豪のバスカヴィル家当主のチャールズ・バスカヴィル卿。表向きには心臓発作による病死と発表されたが、チャールズ・バスカヴィル卿の死体の近くには巨大な犬の足跡が残っていたのである。チャールズ・バスカヴィル卿の甥でその正統な後継者に該る若きヘンリー・バスカヴィル卿に、デヴォン州ダートムーアの深い夜霧の中、バスカヴィル家に伝わる伝説の通り、黒い魔犬が襲いかかる。物語でまさに一番のハイライトとなる場面が描かれている。


本作品はサー・アーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズ作品の第27作目で、4つある長編小説のうち3番目に発表された。これは非常に有名な話であるが、「最後の事件」において、ホームズが宿敵のジェイムズ・モリアーティ教授とともに、スイスのマイリンゲンにあるライヘンバッハの滝に落下して、生死不明となっていた時期(実際の年月:1893年12月~1903年9月 / ホームズの作品中での年月:1891年5月~1894年4月)に、ストランドマガジンに連載されたのが、本作品である。「バスカヴィル家の犬」が執筆された経緯については、次回以降に詳しく述べることにする。

数年前に、本作品の舞台となったデボン州のダートムーアやコーンウォール州のボドミンムーア(アルフレッド・ヒッチコックの監督作品「レベッカ」や「鳥」の原作者として有名な、ダフニ・デュ・モーリエが執筆した「ジャマイカ・イン」の舞台となった場所)等を、約1週間の日程で巡った。ダートムーアもボドミンムーアも、ともに荒涼とした大地で、バスカヴィル家に伝わる伝説の魔犬が生息していたとしても、全く不思議ではない雰囲気を湛えている。昼間の晴れている間は大丈夫だが、夜間になると、両方のムーアに点在する住居を除くと、辺りは真っ暗闇で、一人で外を出歩くには、二の足を踏む位の場所だ。実際、どこからか伝説の魔犬が急に姿を現すのではないか、という怖さが未だに感じられる。

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