本作品はサー・アーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズ作品の第27作目で、4つある長編小説のうち3番目に発表された。これは非常に有名な話であるが、「最後の事件」において、ホームズが宿敵のジェイムズ・モリアーティ教授とともに、スイスのマイリンゲンにあるライヘンバッハの滝に落下して、生死不明となっていた時期(実際の年月:1893年12月~1903年9月 / ホームズの作品中での年月:1891年5月~1894年4月)に、ストランドマガジンに連載されたのが、本作品である。「バスカヴィル家の犬」が執筆された経緯については、次回以降に詳しく述べることにする。
数年前に、本作品の舞台となったデボン州のダートムーアやコーンウォール州のボドミンムーア(アルフレッド・ヒッチコックの監督作品「レベッカ」や「鳥」の原作者として有名な、ダフニ・デュ・モーリエが執筆した「ジャマイカ・イン」の舞台となった場所)等を、約1週間の日程で巡った。ダートムーアもボドミンムーアも、ともに荒涼とした大地で、バスカヴィル家に伝わる伝説の魔犬が生息していたとしても、全く不思議ではない雰囲気を湛えている。昼間の晴れている間は大丈夫だが、夜間になると、両方のムーアに点在する住居を除くと、辺りは真っ暗闇で、一人で外を出歩くには、二の足を踏む位の場所だ。実際、どこからか伝説の魔犬が急に姿を現すのではないか、という怖さが未だに感じられる。
0 件のコメント:
コメントを投稿