2014年5月11日日曜日

ロンドン 地下鉄ベーカーストリート駅 ジュビリーラインのプラットフォームにあるホームズの物語(7)

(7)チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン(Charles Augustus Milverton)


初出:「コリアーズ ウィークリー」(米)1904年3月
「ストランドマガジン」(英)1904年4月号
                                                     事件の発生:1899年1月
                                                     収録:「シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)」

ロンドンの恐喝王であるチャールズ・オーガスタス・ミルヴァートンに強請られているレディー・エヴァ・ブラックウェルから依頼を受けたホームズは、恐喝の材料となっている手紙を盗み出すべく、ワトスンと一緒に闇夜に紛れ、ミルヴァートン邸に忍び込む。ところが、運悪く、以前ミルヴァートンから恐喝を受け破滅させられた女性が、復讐のために彼を訪ねて来たのだ。その女性は小型の拳銃を取り出し、ミルヴァートンに報復の弾丸を次々と撃ち込む。その場面が描かれている。


本作品はサー・アーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズ作品の第34作目で、56ある短編小説のうち、31番目に発表された。日本語訳のタイトルでは「犯人は二人」の方が一般的のようである。ホームズ曰く「ロンドン一の悪党」というレッテルを貼られているものの、その名に恥じず、恐喝王ミルヴァートンは高度の情報戦に長けており、さすがのホームズもミルヴァートン邸に不法に侵入するという強攻策を講じざるを得ず、ホームズ作品中、ホームズが最も精彩を欠いている。「ライオンのたてがみ」と同様に、本作品よりももっと有名な事件が他にもあるのに、何故本作品が壁画の一つに選ばれたのだろうか?

ベーカーストリート駅からロンドン市外方面に向かう北行き(Northbound)のプラットフォームの壁には、ホーム南側から北側に向かって、南行き(Southbound)ホームの絵と同じものが(7)→(1)の順番で飾られている。「まだらの紐」「四つの署名」「赤毛組合」そして「バスカヴィル家の犬」については、非常に有名な物語であり、壁画になるのもなるほど納得なのだが、「ライオンのたてがみ」や「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン」に関しては、何故これらが壁画に?とやや疑問である。他に、絵になったら映えそうで、壁画にも相応しいと思われる物語が多々あるのだが(下記)、これら7つの物語が選ばれたのには、どういった経緯があったのだろうか?

「緋色の研究」:記念すべきホームズ第1作
「ボヘミアの醜聞」:’あの女性’ アイリーン・アドラー(Irene Adler)登場
「唇のねじれた男」:物乞いをしているヒュー・ブーンを描いてほしい。
「名馬シルヴァーブレイズ」:ホームズと銀星号が一緒に居る場面など壁画によいのでは?
「マスグレイヴ家の儀式書」:ホームズがワトスンに出会う前の事件
「ギリシア語通訳」:ホームズの兄、マイクロフト・ホームズが登場
「最後の事件」:ホームズが宿敵ジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)とライヘンバッハの滝で格闘
「踊る人形」:中学校の英語の教科書に採用されていた。暗号解読をテーマにした事件
「六つのナポレオン像」:ロンドン中でナポレオンの石膏胸像が壊される謎をホームズが追う。
「ソア橋の謎」:金鉱王のブラジル人妻を殺害した容疑を課せられた女性家庭教師の無実を晴らすべく、ホームズが調査を開始。個人的にはかなり好きな作品の一つ

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