英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から 2011年に出版された キャロル・ブッゲ作 「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / インドの星」の表紙 |
本作品「インドの星(The Star of India)」は、米国出身の推理作家であるキャロル・ブッゲ(Carole Bugge:1953年ー)によって、1997年に発表された。
彼女は、「キャロル・ブッゲ」名義に加えて、「キャロル・ローレンス(Carole Lawrence)」や「エリザベス・ブレーク(Elizabeth Blake)」等の名義でも、推理小説シリーズを発表している。
1894年10月のある土曜日の雨が降る午後、ジョン・H・ワトスンは、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)に住むシャーロック・ホームズの元を訪れる。なお、この時点で、ワトスンの2番目の妻は亡くなっていたが、彼はホームズとは離れて、暮らしていた。
「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と呼ばれたジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)がスイスのマイリンゲン(Meiringen)にあるライヘンバッハの滝(Reichenbach Falls)に姿を消し、そして、彼の右腕であるセバスチャン・モラン大佐(Colonel Sebastian Moran)が逮捕された後、興味を持てる事件がなく、ホームズは非常に退屈していた。ホームズのことを心配したワトスンは、彼をロイヤルアルバートホール(Royal Albert Hall → 2016年2月20日付ブログで紹介済)で行われるコンサートへと連れ出す。
コンサートが始まり、ホームズはコンサートに集中していたが、一方のワトスンは、前の列に座った若い女性がつけている香水の「麝香」の香りが非常に気になった。香りが強過ぎて、喉がむせそうになった程である。そのため、ワトスンは、コンサートの前半の間、演奏に集中できなかった。
その若い女性は、中座の後、席に戻って来なかったので、ワトスンも、コンサートの後半、演奏を楽しむことができた。
ロイヤルアルバートホールから帰る馬車の中で、ホームズは、ワトスンに対して、「あの若い女性は、ある緊急のメッセージを伝えるために、コンサートに来ていたが、それができなかったので、席に戻って来なかったのだ。」と告げる。ホームズは、あることを調べるために、ベーカーストリート221Bへではなく、コヴェントガーデン(Covent Garden → 2016年1月9日付ブログで紹介済)へと、馬車を向かわせた。
馬車を降りると、ホームズは、ワトスンを連れて、いくつかの通りを抜けて、ある店の前に立ち、ドアをノックした。30歳とも、80歳とも知れない男性が、それに答えた。店の内は、外観とも似ても似つかない程、キチンと整えられた内装だった。彼は、香水の専門家であるジェレミア・ウィギンズ(Jeremiah Wiggins)であった。
ホームズの情報に基づいて、ジェレミア・ウィギンズは、ロイヤルアルバートホールに居た若い女性がつけていた香水を3つの候補まで絞り込む。
ホームズが順番に3つの候補の香りを嗅いだ結果、「最後(3番目)の香水が、それだ。」と告げる。ジェレミア・ウィギンズは、「その香水の名は、「Golden Nights」という非常に高価なもので、今までに誰にも売ったことがない。」と答えた。
翌朝、その香水をつけていた若い女性(ブラックヒース(Blackheath)に住むメリーウェザー嬢(Miss Merriweather))が、ホームズの元を訪れた。昨晩、ホームズは、ロイヤルアルバートホールに対して、手袋を拾ったことを届けており、彼女は、それを引き取りに来たのである。
ホームズは、メリーウェザー嬢に対して、香水のことを尋ねるが、彼女は、「ある男性からの贈りもので、その男性は既に亡くなっているため、彼がこの香水をどこで手に入れたのか、判らない。」と答えるだけだった。メリーウェザー嬢が帰った後、ホームズ曰く、「彼女は、何かを隠している。」と、ワトスンに告げる。
その時、コンウォール州(Cornwall)に居るハドスン夫人の姉から、電報が届く。ハドスン夫人は、姉を訪れるために、コンウォール州へ出かけていたのである。ハドスン夫人の姉から届いた電報には、驚くべきことが書かれていた。
「Martha (ハドスン夫人のこと)in extreme danger : Come at once.」と。
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