2022年3月5日土曜日

デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 悪魔との契約」(The further adventures of Sherlock Holmes / The Devil’s Promise by David Stuart Davies) - その1

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2014年に出版された
デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作
「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 悪魔との契約」の表紙


「悪魔との契約(The Devil’s Promise)」は、英国の作家であるデイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ(David Stuart Davies:1946年ー)が、Titan Publishing Group Ltd. から、「シャーロック・ホームズの更なる冒険(The further adventures of Sherlock Holmes)」シリーズの一つとして、2014年に発表した作品である。

作者のデイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズは、英語の教師を経て、フルタイムの編集者、作家かつ劇作家に転身している。


デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズは、ホームズシリーズの一つとして、2004年に「欺かれた探偵(The Veiled Detective)」を発表しているが、2021年4月21日 / 4月28日 / 5月5日付ブログを御参照願いたい。


「悪魔との契約」は、次のようにして始まる。


1899年の夏(7月)、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの二人は、デヴォン州(Devon)のホーデン(Howden)村の近くにあるサンフィアコテージ(Samphire Cottage)へ避暑に来ていた。


ロンドンに居る間、ホームズの気分はすぐれなかった。それに加えて、彼の兄であるマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)が心臓麻痺になり、回復はしたものの、車椅子での生活を余儀なくされたのである。ホームズのことを心配したワトスンは、妻(メアリー・モースタン(Mary Morstan))が米国に居る病気療養中の姉に会いに出かけている間、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)へ戻った。

ワトスンは、自分が会員になっているビリヤードクラブで知り合ったカウソーン(Cawthorne)からコテージのことを聞いた。カウソーンによると、自分の妻を、手術の後、そのコテージへ転地療養させた結果、彼女の健康だけではなく、精神面も大いに回復したと言う。

それを聞いたワトスンは、ハドスン夫人(Mrs. Hudson)の助けを得て、ホームズを説得したところ、「1週間だけ」と言う約束で、ホームズはデヴォン州のホーデン村へと出かけることを了承したのであった。


ある早朝、ホームズとワトスンは、海岸へ散歩に出かけた。ワトスンが砂浜に座っている間、ホームズは散策を続け、岩場の向こうへと姿を消した。ワトスンが立ち上がって、コテージへ戻ろうとした瞬間、ホームズの叫び声が聞こえ、岩場の向こう側から、ホームズが姿を現わすのが見えた。こちらへと戻って来るホームズの両手からは、血が滴り落ちていたのである。そして、ホームズはワトスンに告げる。「こちらに来てくれ!岩場の向こうに、死体があるんだ!」と。


早速、ワトスンは、ホームズと一緒に、岩場の向こう側に駆け付ける。ホームズ曰く、「50代後半の男性の死体で、後頭部に何度も殴られた痕があった。」と言うが、彼らがその場に着いてみると、ホームズが言うところの死体は、影も形もなかった。ホームズは、「男性を殺害した集団が、死体を隠したに違いない。」と主張するが、ワトスンは、つい、ホームズの精神状態を疑ってしまう。


狐につままれた感じで、ホームズとワトスンはコテージに戻って来るが、翌日の早朝、ホームズを信じたワトスンが同じ砂浜へ降りてみると、砂地から人間の指が露出しているのを発見する。ワトスンが砂を掻き分けると、そこには、昨日ホームズが発見した男性の死体が埋められていたのである。もう一度、死体を埋めなおすと、ワトスンは慌ててコテージへと走って戻った。


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