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2番目に紹介するのは、「赤毛組合(The Red-Headed League)」である。本作品は、56ある短編小説のうち、2番目に発表された。「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1891年8月号に掲載された後、1892年発行の第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」に収録されている。「ストランドマガジン」の1927年3月号で、コナン・ドイルは、シャーロック・ホームズシリーズの自選12編の中で、本作品を第2位に推している。
ジョン・H・ワトスンがベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れると、彼は燃えるような赤毛の初老の男性ジェイベス・ウィルスン(Jabez Wilson)から相談を受けている最中であった。ジェイベス・ウィルスンは、ロンドンの経済活動の中心地であるシティー(Cityー2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)近くにあるザクセンーコーブルクスクエア(Saxe-Coburg Squareー2016年1月1日付ブログで紹介済)において質屋(pawnbroker)を営んでおり、最近非常に奇妙な体験をしたと言うので、ホームズとワトスンの二人は彼から詳しい事情を聞くのであった。
ジェイベス・ウィルスンの話に興味を覚えたホームズは、彼が質屋で雇っているヴィンセント・スポールディング(Vincent Spaulding)のことについて質問した。彼の説明を聞いたホームズには、何か思い当たる節があるようだった。ジェイベス・ウィルスンが辞去した後、ホームズはワトスンを誘って、地下鉄でシティー近くまで行き、ジェイベス・ウィルスンが営む質屋へと向かった。ホームズは質屋のドアをノックし、応対に出て来たヴィンセント・スポールディングに道を尋ねると、その場を立ち去った。質屋の前の敷石をステッキで数回叩き、そして、ヴィンセント・スポールディングの膝の汚れを確認したホームズがワトスンに告げた内容は、「あの男(ヴィンセント・スポールディング)はロンドンで4番目に狡賢く、3番目に大胆な奴だ。」だった。ホームズとワトスンの二人が質屋の裏の大通りへ出ると、そこには、タバコ屋、新聞販売所、レストランや馬車製造会社の倉庫等の他に、銀行(City and Surburban Bank)の支店(City branch)が建ち並んでいた。
セントジェイムズホール(St. James's Hallー2014年10月4日付ブログで紹介済)でサラサーテ(パブロ・マルティン・メリトン・デ・サラサーテ・イ・ナバスクエス Pablo Martin Meliton de Sarasate y Navascuez:1844年ー1908年 スペイン出身の作曲家兼ヴァイオリン奏者)の演奏会を楽しんだ後、ホームズはワトスンに「今夜仕事を手伝ってほしい。」と頼む。一旦自宅に戻ったワトスンが夜再度ベーカーストリート221Bを訪れると、そこには、ホームズの他に、スコットランドヤードのピーター・ジョーンズ(Peter Jones)とザクセンーコーブルクスクエアに支店がある銀行の頭取であるメリーウェザー氏(Mr Merryweather)が居た。ホームズは、ワトスンを含めた4人でこれからジョン・クレイ(John Clay)という犯罪者を捕まえるのだと言う。また、ピーター・ジョーンズによると、ジョン・クレイは彼が以前から追っている重罪犯とのこと。ホームズも、ジョン・クレイとは1~2度関わりを持ったことがあるらしい。ホームズ達4人は、2台の馬車に分かれて、ベーカーストリートからザクセンーコーブルクスクエアの質屋の裏側にある銀行へと向かった。
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