2020年10月10日土曜日

シャーロック・ホームズ記念切手1「まだらの紐」(Sherlock Holmes - The Adventure of the Speckled Band)

英国 BBC が制作した TV ドラマ「シャーロック」の放映10周年を記念して
発行された6種類の切手に加えて、
4種類のシャーロック・ホームズシリーズの記念切手が、
2020年8月18日に発行された。
今回紹介するのは、そのうちの一つである「まだらの紐」。


サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)原作のシャーロック・ホームズシリーズを翻案して、舞台をヴィクトリア朝時代のロンドンから21世紀のロンドンに置き換え、自称「コンサルタント探偵」のシャーロック・ホームズが、同居人かつ相棒であるジョン・ヘイミッシュ・ワトスンと一緒に、スマートフォンやインターネット等の最新機器を駆使して、事件を解決する様を描くTVドラマ「シャーロック(Sherlock)」が2010年7月に英国 BBC1 で放映されてから10周年を記念して、2020年8月18日に英国ロイヤルメール(Royal Mail)から6種類の記念切手が発行された。

それらと一緒に、コナン・ドイル原作のシャーロック・ホームズシリーズについても、4種類の記念切手が発行されたので、今週から順番に紹介していきたい。

最初に紹介するのは、「まだらの紐(The Adventure of the Speckled Band)」である。本作品は、56ある短編小説のうち、8番目に発表された。「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1892年2月号に掲載された後、同年発行の第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」に収録されている。

シャーロック・ホームズシリーズにおいて、一番有名な長編は「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskerville)」(1901年ー1902年)で、一番有名な短編は「まだらの紐」と言っても良い位である。実際のところ、「ストランドマガジン」の1927年3月号において、コナン・ドイルは、自選の短編ベスト12の中で、本作品を第1位に推している。

地下鉄ベーカーストリート駅(Baker Street Station)内の
ジュビリーライン(Jubilee Line)のホーム壁に設置されているシャーロック・ホームズシリーズの名場面 -
これは、「まだらの紐」で、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの二人が、
ヘレン・ストーナーと入れ替わって、彼女の寝室で寝ずの番をするために、
サリー州にあるストークモラン屋敷の庭に侵入した場面が描かれている。

1883年4月の初め、ヘレン・ストーナー(Helen Stoner)が、双子の姉ジュリア・ストーナー(Julia Stoner)が2年前に遂げた謎の死、そして、自分に現在ふりかかっている不安と恐怖について相談するため、サリー州(Surrey)にあるストークモラン屋敷(Stoke Moran Manor)を早朝に出て、レザーヘッド(Leatherhead)から一番列車に乗り、ウォータールー駅(Waterloo Station→2014年10月19日付ブログで紹介済)に到着、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)のホームズの元を訪れるところから、物語は始まる。

記念切手には、ホームズ(画面左手前)とジョン・H・ワトスンの二人が、ヘレン・ストーナーと入れ替わって、ストークモラン屋敷のヘレンの寝室(元は、ジュリアの寝室)で寝ずの番をする場面が描かれている。義父のグリムズビー・ロイロット博士(Dr. Grimesby Roylott)は、ストーナー姉妹の母が残した相続財産を独占するために、2年前にジュリアを殺害し、そして、今度はヘレンの命を狙っていた。彼が放った毒蛇が、隣の自室から、通気孔を、そして、通気孔横に取り付けられた引いても鳴らない呼び鈴の綱を伝って、呼び鈴の綱の真下になるように、部屋の床板に厳重に釘付けされたヘレンのベッドへと降りてくるイメージが背景に付け加えられている。

絵的には、本作品のトリックそのものを種明かししてしまっているが、あまりにも有名な作品なので、許容されているのかしれない。

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