2020年5月30日土曜日

ロンドン ブラックウォール(Blackwall)–その1



グリニッジにある快走帆船カティーサーク号(Cutty Sark)の甲板から、テムズ河越しに、
ドッグ島内にあるカナリーワーフ(Canary Whard)に建つ高層ビル群を望む–
なお、ブラックウォール地区は、カナリーワーフの右側に位置している

サー・アーサー・コナン・ドイル作「四つの署名(The Sign of the Four)」(1890年)において、独自の捜査により、バーソロミュー・ショルト(Bartholomew Sholto)を殺害した犯人達の居場所を見つけ出したシャーロック・ホームズは、ベーカーストリート221Bへスコットランドヤードのアセルニー・ジョーンズ警部(Inspector Athelney Jones)を呼び出す。ホームズは、呼び出したアセルニー・ジョーンズ警部に対して、バーソロミュー・ショルトの殺害犯人達を捕えるべく、午後7時にウェストミンスター船着き場(Westminster Stairs / Wharf→2018年3月31日 / 4月7日付ブログで紹介済)に巡視艇を手配するよう、依頼するのであった。

巡視艇がウェストミンスター船着き場を離れると、ホームズはアセルニー・ジョーンズ警部に対して、巡視艇をロンドン塔(Tower of London→2018年4月8日 / 4月15日 / 4月22日付ブログで紹介済)方面へと向かわせ、テムズ河(River Thames)の南岸にあるジェイコブソン修理ドック(Jacobson’s Yard)の反対側に船を停泊するよう、指示した。ホームズによると、バーソロミュー・ショルトを殺害した犯人達は、オーロラ号をジェイコブソン修理ドック内に隠している、とのことだった。
ホームズ達を乗せた巡視艇が、ロンドン塔近くのハシケの列に隠れて、ジェイコブソン修理ドックの様子を見張っていると、捜していたオーロラ号が修理ドックの入口を抜けて、物凄い速度でテムズ河の下流へと向かった。そうして、巡視艇によるオーロラ号の追跡が始まったのである。

グリニッジで、私達が乗った巡視艇は、犯人達が乗ったオーロラ号の300ペース分(1ペース=2歩分の長さ=約1.5m)後ろとなった。ブラックウォールでは、250ペース分以下となった。私は、波乱に富んだ人生の中で、様々な国において、いろいろな獲物を追った。しかしながら、どんな狩りでも、テムズ河を下るこの狂ったようにすっ飛ばしていく犯人追跡程、激しい高揚感を感じたことはなかった。1ヤード毎、私達の巡視艇は、オーロラ号を着実に追って行ったのである。

At Greenwich we were about three hundred paces behind them. At Blackwall we could not have been more than two hundred and fifty. I have coursed many creatures in many countries during my chequered career, but never did sport give me such a wild thrill as this mad, flying manhunt down the Thames. Steadily we drew in upon them, yard by yard.

グリニッジ(Greenwich→2018年1月27日付ブログで紹介済)において、ホームズ、ジョン・H・ワトスンやスコットランドヤードのジョーンズ警部達を乗せた巡視艇とオーロラ号の間は、300ペース分離されていたが、その距離が250ペース分以下まで詰められた場所であるブラックウォール(Blackwall)は、ロンドンの経済活動の中心地シティー・オブ・ロンドン(City of London→2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)の東隣りの特別区であるロンドン・タワーハムレッツ区(London Borough of Tower Hamlets)内に所在しており、テムズ河(River Thames)の北岸ドック島(Isle of Dogs→2020年5月2日 / 5月9日付ブログで紹介済)の北東角にある地区である。


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