2019年8月31日土曜日

コンウォール州(Cornwall) ジャマイカ・イン(Jamaica Inn)

宿屋「ジャマイカ・イン」のブローシャー(表側)

「ジャマイカ・イン(Jamaica Innー邦題:埋もれた青春)」は、英国の小説家であるディム・ダフニ・デュ・モーリエ(Dame Daphne du Maurier:1907年ー1989年)が1936年に発表した小説で、1930年に彼女が英国コンウォール州(Cornwall)のボドミンムーア(Bodmin Moor)内に所在する宿屋「ジャマイカ・イン(Jamaica Inn)」に滞在した際に、本作品の着想を得ている。

宿屋「ジャマイカ・イン」のブローシャー(裏側)

宿屋「ジャマイカ・イン」は、1750年に建てられ、その後、1778年に拡張されて、現在のL字型の建物となった。

宿屋「ジャマイカ・イン」の看板

密輸業者がジャマイカから英国内に運び込んだ密輸品を当宿屋に保管していたことから、「ジャマイカ・イン」という宿屋名が付けられたものと一般に考えられているが、実際には、宿屋が建つ場所の所有者で、18世紀に一族の者(2名)がジャマイカ総督(Governor of Jamaica)を務めたトレローニー家(Trelawney family)に因んで、宿屋名が付けられたと言われている。

Daphne du Maurier's Smugglers Museum 内に再現されている
ダフニ・デュ・モーリエの書斎–
画面中央奥の壁には、彼女の肖像画が架けられている

18世紀半ばから19世紀にかけて、宿屋「ジャマイカ・イン」は、密輸業者が英国外から運び込んだ密輸品をロンドンを初めとする英国各地へと運搬するための「中継地」として使用された。当時、ロンドンから遠く離れたコンウォール州は、「密輸業者の安息所(haven of smugglers)」と呼ばれており、難破船略奪者(wreckersー略奪目的で船舶を難破させる輩)が数多く暗躍していたのである。宿屋「ジャマイカ・イン」は、コンウォール州からロンドンを初めとする英国各地へと向かう幹線道路沿いに経っていることに加えて、ボドミンムーアという荒涼地内にポツンと所在しているため、密輸業者が密輸品を中継する上で、絶好の立地条件に適していた。

画面中央の上の写真は、ダフニ・デュ・モーリエ本人である

宿屋「ジャマイカ・イン」は、現在、レストランやバー(The Smugglers’ Bar)等を備えたホテルとして営業を行っており、Daphne du Maurier’s Smugglers Museum が併設されている。

博物館内には、ダフニ・デュ・モーリエが発表した数多くの作品が展示されている

宿屋「ジャマイカ・イン」は、1988年11月23日に、Grade II listedbuilding に指定されて、保存されている。

博物館内には、ダフニ・デュ・モーリエのサインが入った
小説「ジャマイカ・イン(邦題:埋もれた青春)」も展示されている


0 件のコメント:

コメントを投稿