2019年9月1日日曜日

アニメーション「名探偵ホームズ(Sherlock Hound)」–その2

「名探偵ホームズ(Sherlock Hound)」全26話のうち、
1話から5話までが収録された DVD –
シャーロック・ホームズの絵が使用されている

1982年にアニメーション「名探偵ホームズ(Sherlock Hound)」の制作は一旦中断したが、宮崎駿氏(1941年ー)が徳間書店の月刊アニメ雑誌「アニメージュ」誌上で漫画「風の谷のナウシカ」を連載していた関係上、「アニメージュ」が「名探偵ホームズ」を誌上で度々紹介したり、イベント上映したりして、宣伝に努めていた。
そして、徳間書店が宮崎駿監督のアニメーション映画「風の谷のナウシカ」を制作したことが切っ掛けとなり、広告代理店がテレビのスポンサー獲得に動き始め、テレビ朝日での放送が決まって、「名探偵ホームズ」の制作が再開された。宮崎駿氏の後を継いで、「ルパン3世(TV第2シリーズ)」の演出をメインで担当していた御厨恭輔氏が監督に就任した。また、東京ムービー新社からの発注を受けて、スタジオぎゃろっぷが制作の中心的な役割を果たした。

1984年3月11日にアニメーション映画「風の谷のナウシカ」が公開された際、宮崎駿氏が監督した「名探偵ホームズ」の6話のうち、「青い紅玉(ルビー)」と「海底の財宝」の2話が同時上映された。
上記の2話が「風の谷のナウシカ」と同時上映された時点において、「名探偵ホームズ」はサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)の原作には基づかない旨を断るクレジットが入っている。コナン・ドイルは1930年に亡くなっているため、日本の著作権法上、死後50年を経過すると、著作権が消滅する扱いであり、通常であれば、1980年の時点でコナン・ドイルの著作権は消滅しているという理解であった。ところが、実際には、英国は、日本にとって、第二次世界大戦(1939年ー1945年)の交戦国であった関係上、著作権法における戦時加算があり、上記の2話が「風の谷のナウシカ」と同時上映された1984年の時点で、コナン・ドイルの著作権はまだ存続していたことが、同時上映の直前に判明。そのため、コナン・ドイルの著作権に抵触しないよう、急遽、上記の2話に登場する人物の名前が変更されたのである。

具体的には、
(1)シャーロック・ホームズ → シャーベック・ホームズ
(2)ハドスン夫人 → エリソン夫人
(3)レストレード警部 → レストラント警部
(4)モリアーティー教授 → モリアッチ教授
といった変更が行われている。

「名探偵ホームズ(Sherlock Hound)」全26話のうち、
6話から10話までが収録された DVD –
レストレード警部の絵が使用されている

アニメーション映画「風の谷のナウシカ」のヒットにより、アニメーション作家としての宮崎駿氏の知名度が高まったところで、1984年11月6日から1985年5月20日にかけて、アニメーション「名探偵ホームズ」全26話(御厨恭輔監督分:20話+宮崎駿監督分:6話)が、テレビ朝日系列で放送された。テレビ放送の際には、権利関係の問題は解決していたようで、コナン・ドイルが原作者としてクレジットされている。

1986年8月2日に宮崎駿監督のアニメーション映画「天空の城ラピュタ」が上映された際、宮崎駿氏が監督した「名探偵ホームズ」の6話のうち、「ミセス・ハドソン人質事件」と「ドーバー海峡の大空中戦」の2話が、テレビ放送後にもかかわらず、同時上映されている。

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