英国の Titan Books 社から2011年に出版されている フィリップ・ホセ・ファーマー作 「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 無双の貴族」の裏表紙 |
マイクロフト・ホームズが手配した車で秘密の飛行場へと運ばれたシャーロック・ホームズとジョン・ワトスンの二人は、中継地であるフランスのマルセイユへ向かって飛び立つ。
当初、彼らが搭乗する飛行機をジョン・ドラモンド中尉(Lieutenant John Drummond)が操縦する予定だった。彼は、グレイストーク公爵(Duke of Greystoke)の養子で、グレイストーク公爵は、現在、アフリカの奥地で類人猿と一緒に樹の上で暮らしているという非常に風変わりな貴族だった。
ところが、ジョン・ドラモンド中尉は、肋骨や鎖骨等を骨折したため、米国人のウェントワース大尉(Captain Wentworth)とネルソン中尉(Lieutenant Nelson)が代わりに操縦することになった。
マルセイユへ向かう機上、ホームズとワトスンの二人は、ネルソン中尉に命を狙われるが、ウェントワース大尉が助けに入り、事なきを得る。ウェントワース大尉によると、ネルソン中尉がドイツ語で交信していることから、彼がドイツのスパイだと認定したのである。ネルソン中尉による暗殺が失敗した場合、ドイツ空軍がこの飛行機を撃墜するために向かって来ることが予想された。
彼らの不安は適中して、彼らの飛行機は、ドイツ軍が放った戦闘機に狙われるが、辛くも、マルセイユの連合軍基地に着陸した。
十分な休息もないまま、ホームズとワトスンは、ロシア人のケントフ大佐(Colonel Kentov)が操縦する飛行機で、マルセイユからカイロへと出発した。カイロへと飛行中、ケントフ大佐から入った連絡によると、(1)嵐が北方より近付いていて、その影響で飛行機の進路が大きく逸れる可能性があること、また、(2)ドイツのシェッペリン飛行船(Zeppelin)が、昨日、トルコから飛び立ち、現在、カイロへと向かっており、問題のフォン・ボルク(Von Bork → 「最後の挨拶(His Last Bow)」(1917年)に登場)を回収すると思われる、とのことだった。
ホームズとワトスンが乗った飛行機は、嵐の影響により、カイロの南へと大きく流され、後30分で燃料切れになりつつあった。ケントフ大佐は、緊急着陸の場所を探すものの、嵐の中、視界はゼロに近かった。そのさなか、ケントフ大佐は、シェッペリン飛行船を目視する。ドイツ軍側の飛行船も、嵐に見舞われたようである。カイロの砂漠でフォン・ボルクを回収する任務を帯びた飛行船に違いなかった。
燃料切れ間近にもかかわらず、ケントフ大佐は、この嵐の中、シェッペリン飛行船へ攻撃を加える決断を下す。ケントフ大佐が下した決断を聞いたホームズとワトスンの二人は、慌てふためくのであった。
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