2020年8月23日日曜日

ロンドン ロングヤード(Long Yard) / カリオストロストリート(Cagliostro Street)の候補地−その2

ラムズコンデュイットストリートの南側から北方面を見たところ−
画面手前を左右に横切る通りは、グレートオーモンドストリートで、
ロングヤードは、画面奥の右手に延びている通りである。
また、画面の一番奥を左右に横切るのが、ギルフォードストリート。

 米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1935年に発表した長編で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)が登場するシリーズ第6作目に該る「三つの棺(The Three Coffins 英題: The Hollow Man→2020年5月3日 / 5月16日 / 5月23日 / 6月13日 / 6月20日付ブログで紹介済)」において、奇術師のピエール・フレイ(Pierre Fley)が拳銃で射殺されたカリオストロストリート(Cagliostro Street)は、残念ながら、現在の住所表記上、存在していないので、どの通りがカリオストロストリートの候補地として最適なのかについて、ジョン・ディクスン・カーの原作から読み解くことにする。

ラムズコンデュイットストリート(南側)にある服飾店舗

ジョン・ディクスン・カーの原作では、カリオストロストリートに関して、以下のように述べられている。

(1)第11章「XI  The Murder by Magic」

<ギディオン・フェル博士からテッド・ランポール(Ted Ramploe)への説明>
’Cagliostro Street is not more than three minutes’ walk from Grimaud’s house. It’s a little cut-de-sac behind Guildford Street, on the other side of Russell Square.’
<奇術師ピエール・フレイの死を伝える新聞記事の説明>
Cagliostro Street is two hundred yards long, and ends in a blank brick wall.

これらによると、カリオストロストリートは、ラッセルスクエア(Russell Square)を挟んで、その西側に建つシャルル・ヴェルネ・グリモー教授(Professor Charles Vernet Grimaud)の邸とは反対側にあり、ギルフォードストリート(Guilford Street)の裏手にある行き止まりの小路で、長さは200ヤード位ということが判る。

(2)第13章「XIII  The Secret Flat」

<地の文章>
Cagliostro Street, as Dr Fell had said, contained a thin dingy over flow of both shops and rooming-houses. It was a backwater of Lamb’s Conduit Street - which itself is a long and narrow thorough fare, a shopping centre of its own, stretching north to the Barrack-windowed quiet of Guildford Street, and south to the main artery of traffic along Theobald’s Road.

これによると、カリオストロストリートは、ラムズコンデュイットストリート(Lamb’s Conduit Streetー北側はギルフォードストリートに、そして、南側はセオバルズロード(Theobald’s Road)に接している)から派生する通りであることが判る。

ラムズコンデュイットストリート(南側)にある本屋

これらの条件に合致する通りについて、現在の地図で調べてみると、ラムズコンデュイットストリートから東側へ延びるロングヤード(Long Yard)がカリオストロストリートの候補地ではないかと思われる。
ロングヤード以外にも、ラムズコンデュイットストリートから派生する通りはあるものの、先が行き止まりになっている通りが存在していないので、現時点においては、ロングヤードがカリオストロストリートの唯一の候補地と言える。

ラムズコンデュイットストリート(南側)にある
本屋の店頭(その1)

ロングヤードは、ロンドンの特別区の一つであるロンドン・カムデン区(London Borough of Camden)のブルームズベリー地区(Bloomsbury)内に所在している。
Great Ormond Street Hospital の東側を南北に延びるラムズコンデュイットストリートのうち、ギルフォードストリートとグレートオーモンドストリート(Great Ormond Street→2015年8月22日付ブログで紹介済)に挟まれた北側の部分から東側へと延びる袋小路である。

ラムズコンデュイットストリート(南側)にある
本屋の店頭(その2)

ただし、このロングヤードから、ラッセルスクエアを挟んで、その反対側にあるシャルル・グリモー教授邸がある候補地であるマレットストリート(Malet Street→2020年7月26日 / 8月1日 / 8月8日付ブログで紹介済)まで徒歩で行くとしても、正直ベース、3分では非常に難しい。普通の人だと、ラムズコンデュイットストリート経由、ロングヤードからギルフォードストリートへと出て、ラッセルスクエアへと至るまでに、3分は要するのではないかと思われる。

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