クレスウェルプレイス22番地の正面全景 |
最初の夫アーチボルド・クリスティー(Archibald Christie:1889年ー1962年)の浮気が原因で、1928年に彼と離婚したアガサ・クリスティーは、翌年の1929年にサウスケンジントン地区(South Kensington)のクレスウェルプレイス22番地(22 Cresswell Place)の家を購入し、娘のロザリンドと秘書で友人のカーロ・フィッシャーと一緒にそこへ引っ越した。
クレスウェルプレイス22番地の最寄駅は、サークルライン(Circle Line)、ディストリクトライン(District Line)とピカデリーライン(Piccadilly Line)が通る地下鉄のサウスケンジントン駅(South Kensington Tube Station)とグロースターロード駅(Gloucester Road Tube Station)の2駅であるが、サウスケンジントン駅から南西へ延びる大通りオールドブロンプトンロード(Old Brompton Road)を進んで行った方が判り易いかと思う。
プライオリーウォーク側からみたクレスウェルプレイス ―クレスウェルプレイス22番地は、 画面の右手中央辺りに建っている |
オールドブロンプトンロードをしばらく行くと、進行方向の左手にクレスウェルガーデンズ(Cresswell Gardens)という細い通りがあるので、この通りに入る。一見行き止まりの路地と思えるが、クレスウェルガーデンズは左へ折れ曲がっていて、更に進むと、クレスウェルプレイスという石畳の直線道路になる。この道をずーっと進んで行くと、クレスウェルプレイスがプライオリーウォーク(Priory Walk)に突き当たる少し手前の左手に、クレスウェルプレイス22番地は建っている。
プライオリーウォーク沿いに建つフラット群 ―建物の外壁が薄紫色、ピンク色、水色や黄色等で カラフルに塗られている |
プライオリーウォークと交差した角から クレスウェルプレイスを望む |
車でクレスウェルプレイス22番地へ行くには、サウスケンジントン駅からオールドブロンプトンロードを行ってもよいし、もう一本テムズ河(River Thames)寄りの大通りフルハムロード(Fulham Road)を行って、少し北上してもかまわない。
オールドブロンプトンロードもフルハムロードもバスが通る大通りなので、週末でも賑やかであるが、クレスウェルプレイスは両大通りからかなり奥まったところにあるので、大通りの喧騒はここまで届かず、人通りもほとんどないため、非常に静かでひっそりとしている。
クレスウェルプレイス22番地の1階部分近景 ―植栽がうまい具合に配置されている |
実際、クレスウェルプレイス22番地は3階建てのこじんまりした家で、アガサ・クリスティーが住んでいたとは思えない感じである。1階部分は白いペンキで塗られた壁で、2階部分は魚の鱗状に赤いスレートが貼られ、3階部分は赤いレンガとなっている。この建物は元々厩舎として使用されており、アガサ・クリスティーはこれを大幅に改装して住居に変えたとのこと。
「アガサ・クリスティーがここに住んでいた」ことを示す 非公認のブループラーク |
緑色に塗られた玄関ドアの右上の壁には、「アガサ・クリスティーがここに住んでいた」ことを示すブループラーク(Blue Plague)が架けられているが、これはイングリッシュヘリテージ(English Heritage)が管理している公認のものではなく、非公認のものである。公認のブループラークは、以前に紹介した「シェフィールドテラス58番地」の家に架けられている。公認のブループラークは、一人の人物について一箇所だけ架けるという決まりがあるため、クレスウェルプレイス22番地よりも見栄えがよいシェフィールドテラス58番地が、イングリッシュヘリテージによって選ばれたものと思われる。
クレスウェルプレイスは細い道のため、 冬場は快晴の日でも、 陽は1階部分までは届かない |
アガサ・クリスティーは、中東旅行の際に知り合った考古学者のサー・マックス・エドガー・ルシアン・マローワン(Sir Max Edgar Lucien Mallowan:1904年ー1978年)と1930年に再婚して、ここクレスウェルプレイス22番地で生活を始めている。ただ、1934年に二人は地下鉄ノッティングヒルゲート駅(Notthinghill Gate Tube Station)の近くにあるシェフィールドテラス58番地を購入して、そちらに生活の居を移してしまったが、これも前に紹介したチェルシー地区(Chelsea)にあるスワンコート(Swan Court)のフラットと同様に、クレスウェルプレイス22番地についても、アガサ・クリスティーは亡くなる1976年まで手放さなかったそうである。
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