ロンドンの中心地であるピカデリーサーカス(Piccadilly Circus)にクライテリオンバー(Criterion Bar)がある。具体的に言うと、広場中心の噴水の後ろに位置している。
サー・アーサー・コナン・ドイルの「緋色の研究(A Study in Scarlet)」によれば、第二次アフガニスタン戦争に軍医補として従軍していたジョン・H・ワトスンは負傷して、英国のポーツマスに帰還した。英国内に親類縁者が全くいないワトスンは、ロンドンにやって来て、ストランド通り(Strand)のホテルに滞在していた。だが、英国政府から支給される1日あたり11シリング6ペンスの恩給だけで、ホテルでの滞在を続けていくのは、ワトスンにとって大きな負担となりつつあった。そんな不安を感じつつあったワトスンは、ある日、クライテリオンバーで誰かに肩をたたかれた。それは、ワトスンがセントバーソロミュー病院(St. Bartholomew's Hospital)に勤務していた際、彼の外科手術助手(dresser)だったスタンフォード(Stamford)青年であった。このスタンフォード青年との再会を通して、ワトスンは、セントバーソロミュー病院でシャーロック・ホームズと知り合い、ベーカー街221Bでの共同生活につながっていくのである。
クライテリオンバーは1874年に創業し、その内装はネオビザンチン様式の建築で、推理作家G.K.チェスタートン(G. K. Chesterton)、SF小説家H.G.ウェルズ(H. G. Wells)や、英国元首相ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)等も訪れている。また近年では、ハリウッド映画「バットマン ダークナイト(Batman: The Dark Knight)」のシーンにも使用されている。
ワトスンがホームズと一緒に「緋色の研究」に関わったのが1881年3月、ワトスンがクライテリオンバーでスタンフォード青年に再会したのは、1881年初頭と言われている。
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