2014年6月29日日曜日

ロンドン ベーカーストリート221B(221B Baker Street)の最有力候補地

ベーカーストリート221Bの最有力候補地であるベーカーストリート19−35番地

サー・アーサー・コナン・ドイルの「空き家の冒険(The Empty House)」において、スイスのマイリンゲンにあるライヘンバッハの滝から無事生還したシャーロック・ホームズは、ジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)の右腕で、「ロンドンで最も危険な男」と言われたセバスチャン・モラン大佐(Colonel Sebastian Moran)を罠にはめるべく、ジョン・ワトスンと一緒に、マリルボーン(Marylebone)地区を通って、カムデンハウス(Camden House)の裏に辿り着く。このカムデンハウスは、ホームズとワトスンが共同生活をしているベーカーストリート221Bに向かい合うように建っているという記述がある。


それでは、ドイルの原作をベースに、カムデンハウスがどこに位置しているのかを調べてみる。3つとも実在する広場や通りであるが、ホームズとワトスンはキャヴェンディッシュスクウェア(Cavendish Squareーオックスフォードサーカスの裏手)の角で馬車を降りて、マンチェスターストリート(Manchester Street)、そして、ブランドフォードストリート(Blandford Street)を経て、ベーカーストリート(Baker Street)に面したカムデンハウスの裏口に至るのである。つまり、ブランドフォードストリートとベーカーストリートが交わる角にある「ベーカーストリート30番地」の建物がカムデンハウスの正面で、同じく、ブランドフォードストリートとケンダルプレイス(Kendall Place)という石畳の小道が交わる角にある建物がカムデンハウスの裏口と言われている。

ブランドフォードストリートとケンダルプレイスの角

ということは、ベーカーストリートを間にして、カムデンハウスの正面に該る「ベーカーストリート30番地」に向かい合っている建物が、本当の「ベーカーストリート221B」だと言える。ベーカーストリートを挟んで、カムデンハウスの反対側にある「ベーカーストリート19ー35番地」は、オフィスビルになっている。

物語中の「カムデンハウス」があったと思われるベーカーストリート30番地

ドイルの友人であったモリス博士は、「緋色の研究(A Study in Scarlet)」に登場する主人公のシャーロック・ホームズの住居をどこにしたらよいか、とドイルから相談があった、と語っている。そこで、モリス博士はドイルに対して、自分の父親が以前住んでいたことがある「ベーカーストリート21番地」を薦め、ドイルは実際に同地を訪ねたそうである。そして、ベーカーストリートが気に入ったドイルは、ホームズの住居として採用する際、実際に「ベーカーストリート21番地」に住んでいる居住者に迷惑がかかるのを避けるために、番地を「ベーカーストリート21番地」から、当時は実存していなかった架空の住所である「ベーカーストリート221番地B」へと、意図的に変更したのではないか、と言われている。

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