2016年7月2日土曜日

ロンドン キャンプデンヒルロード(Campden Hill Road)/ キャンプデンハウスロード(Campden House Road)の候補地

キャンプデンヒルロードは、北側から南側へ向かって下っている

サー・アーサー・コナン・ドイル作「六つのナポレオン像(The Six Napoleons)」は、ある夜、スコットランドヤードのレストレード警部(Inspector Lestrade)がベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れるところから、物語が始まる。


最近、ロンドンの街中で何者かが画廊や住居等に押し入って、ナポレオンの石膏胸像を壊してまわっていたのだ。そのため、レストレード警部はホームズのところへ相談に来たのである。最初の事件は、4日前にモース・ハドソン氏(Mr Morse Hudson)がテムズ河(River Thames)の南側にあるケニントンロード(Kennington Road)で経営している画廊で、そして、2番目の事件は、昨夜、バーニコット博士(Dr Barnicot)の住まい(ケニントンロード)と診療所(ロウワーブリクストンロード(Lower Brixton Road))で発生していた。続いて、3番目の事件がケンジントン地区(Kensington)のピットストリート131番地(131 Pitt Street)にあるセントラル通信社(Central Press Syndicate)の新聞記者ホーレス・ハーカー氏(Mr Horace Harker)の自宅で起きたのであった。4体目の石膏胸像が狙われた上に、今回は殺人事件にまで発展したのだ。レストレード警部に呼び出されたホームズとジョン・ワトスンは、野次馬で溢れた現場に到着する。

キャンプデンヒルロード(北側)―その1
キャンプデンヒルロード(北側)―その2

「それで、胸像はどうなったんだ?」と、ホームズはこの写真を注意深く調べた後、尋ねた。
「あなたが到着するちょっと前に、我々はその報告を受けました。胸像はキャンプデンハウスロードにある空き家の前庭で発見されました。それは粉々に壊されていました。私は今からそれを見に行きますが、あなた方も一緒に来られますか?」
「もちろんだ。一目見ておく必要がある。」彼は絨毯と窓を調べた。
「犯人は足が非常に長いか、あるいは、とても身が軽い男だ!」と、彼は言った。
「窓の外の下は空堀となっているから、窓の敷居にまで届いて、窓を開けるのは、難儀な芸当だ。窓から戻るのは、比較的簡単ではあるがね。ハーカーさん、我々と一緒に、胸像の残骸を見に行きましょうか?」

キャンプデンヒルロード(真ん中辺り)―その1
キャンプデンヒルロード(真ん中辺り)―その2

'And what became of the bust?' asked Holmes, after a careful study of his picture.
'We had news of it just before you came. It has been found in the front garden of an empty house in Campden House Road. It was broken into fragments. I am going round now to see it. Will you come?'
'Certainly. I must just take one look round.' He examined the carpet and the window. 'The fellow had either very long legs or was a most active man,' said he. 'With an area beneath, it was no mean feat to reach that window ledge and open that window. Getting back was comparatively simple. Are you coming with us to see the remains of your bust, Mr Harker?'

キャンプデンヒルロード沿いに建つ邸宅の前庭にある植栽

ピットストリート131番地に住む新聞記者ホーレス・ハーカー氏が所有していたナポレオンの石膏胸像が粉々に壊されていた前庭がある空き家があったキャンプデンハウスロード(Campden House Road)は、残念ながら、ケンジントン&チェルシー王立区(Royal Borough of Kensington and Chelsea)のケンジントン地区(Kensington)内にはなく、その代わりに、キャンプデンヒルロード(Campden Hill Road)という通りがある。

キャンプデンヒルロード(南側)

キャンプデンヒルロードは、ピットストリートと同様に、北側の地下鉄ノッティングヒルゲート駅(Notting Hill Gate Tube Station)/ノッティングヒルゲート通り(Notting Hill Gate)、東側のケンジントンガーデンズ(Kensington Gardens)、南側のハイストリートケンジントン駅(High Street Kensington Tube Station)/ケンジントンハイストリート(Kensington High Street)、そして、西側のホーランドパーク(Holland Park)に囲まれた高級住宅街内にある。

キャンプデンヒルロードと
ホーランドストリート(Holland Street)が交差した場所―
位置関係的には、犯人がホーレス・ハーカー氏が所有していた
ナポレオンの石膏胸像を粉々に壊した空き家の前庭があった辺りかと思われる

ハーカー氏の自宅があったピットストリートから西へ向かって、南北に延びるホーントンストリート(Hornton Street)を横切って進むと、そこにキャンプデンヒルロードがある。犯人は、ピットストリートにあったハーカー氏の自宅からナポレオンの石膏胸像を持ち去り、キャンプデンヒルロードにある空き家の前庭で粉々に壊した訳で、位置関係的には、キャンプデンヒルロードが原作のキャンプデンハウスロードであるとしてもおかしくないと思われる。

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