住居棟が建ち並ぶグレートオーモンドストリート |
サー・アーサー・コナン・ドイル作「赤い輪(The Red Circle)」では、大英博物館(British Museum)の近くで下宿屋を営むウォーレン夫人(Mrs Warren)がベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れ、自分の家に不審な下宿人が居ると相談する。ウォーレン夫人によると、「(1)下宿の表玄関の鍵を一つ渡すことと(2)部屋の中へ絶対に立ち入らないことの二つの条件をのめば、週5ポンドの下宿代を支払う。」と交渉した男が、その後、10日間一度も外へ出ないで、一日中部屋の中を歩き回っている、とのことだった。また、その男との最初の取り決めでは、(3)ベルを鳴らした後、食事を部屋のドアの外にある椅子の上に置くこと、そして、(4)何か必要なものがある場合には、紙切れに活字体で書いて置いておくので、その指示に従うことになっていた。
ウォーレン夫人の話に興味を覚えたホームズは、新聞の私事広告欄に謎の下宿人宛と思われる秘密のメッセージを発見する。ホームズとジョン・ワトスンがウォーレン夫人の下宿屋近辺を調査に行こうと話をしていると、ウォーレン夫人が猛烈な勢いで彼らの部屋に飛び込んで来る。大騒ぎするウォーレン夫人の話では、トッテナムコートロード(Tottenham Court Road)のモートン&ウェイライト商会(Morton and Waylight's)で働くウォーレン氏(Mr Warren)が今朝出勤のために出かけた際、家の前で謎の男2人に襲撃されて、辻馬車の中に押し込まれ、1時間もの間連れ回された挙げ句、ハムステッドヒース(Hampstead Heath)で放り出された、とのことだった。ウォーレン夫人の説明を受けたホームズとワトスンは、謎の下宿人を調べるため、早速ウォーレン夫人の下宿屋へと向かった。
クイーンスクエアガーデンズ(Queen Square Gardens)の看板 |
クイーンスクエアガーデンズの庭内 |
12時半に私達はウォーレン夫人が営む下宿屋の戸口のところに着いた。それは、大英博物館の北東側の狭い通りグレートオームストリートにある高くて細い黄色のレンガの建物だった。その建物はグレートオームストリートの角近くに建っていたので、そこからは見栄を張った家が建ち並ぶハウスストリートを見下ろすことができた。ホームズはほくそ笑みながら、建ち並ぶ家の中から一軒を指差した。その家は前方に張り出しており、人目につかない筈がなかった。
「ワトスン、あの家だ!」と、ホームズは言った。「『表面が石葺きの高く赤い家』だ。あの建物から信号を発信しているに違いない。僕達は場所も判っているし、信号の内容も判っている。だから、僕達の仕事は簡単だ。あの窓には、「貸部屋」の表示が出ている。明らかに、あそこが共謀者が連絡のために入り込む空き部屋だ。」
クイーンスクエアガーデンズ内から見上げた病院の建物 |
英国王ジョージ3世(George III:1738年—1820年 在位期間:1760年—1820年)の妻である シャーロット王妃(Queen Charlotte:1744年—1818年)のブロンズ像 |
At half-past twelve we found ourselves upon the steps of Mrs Warren's house - a high, thin, yellow-brick edifice in Great Orme street, a narrow thorough fare at the north-east side of the British Museum. standing as it does near the corner of the street, it commands a view down Howe Street, with its more pretentious houses. Holmes pointed with a chuckle to one of these, a row of residential flats, which projected so that they could not fail to catch the eye.
'See Watson!' said he, '"High red house with stone facings." There is the signal station all right. We know the place, and we know the code; so surely our task should be simple. There's a "to let" card in their window. It is evidently an empty flat to which the confederate has access.'
医療施設が建ち並ぶグレートオーモンドストリート(西側) |
グレートオームストリートの候補地としては、サウザンプトンロウ(Southampton Row)を間に挟んで、大英博物館やラッセルスクエア(Russell Square)の反対側にあるクイーンスクエア(Queen Square)から東へ延びるグレートオーモンドストリート(Great Ormond Street)が考えられる。通りの名前も非常に似通っているし、場所的にも大英博物館の正面玄関から見ると数ブロック離れているものの、北東側に位置していると言える。ただし、通りの両側に車を駐車すると、双方向に行き交うことはやや難しいが、狭い通りとは言えないかもしれない。
The Hospital for Sick Children |
Royal London Homeopathic Hospital |
西寄りのグレートオーモンドストリートの南側は、フラットが建ち並ぶ住居棟になっているが、北側には(1)Great Ormond Street Hospital、(2)National Hospital for Neurology and Neurosurgeryや(3)Royal London Hospital for Integrated Medicine 等の医療施設が集中している。この辺りは、ロンドンの特別区の一つであるロンドン・カムデン区(London Borough of Camden)に属している。
両側に住宅棟が建ち並ぶグレートオーモンドストリート(東側) |
住宅棟(その1) |
住宅棟(その2) |
南北に延びるラムズコンデュイットストリート(Lamb's Conduit Street)と交差した後の東寄りのグレートオーモンドストリートの両側は住居棟である。
ただし、ハウスストリートはグレートオーモンドストリート近辺には存在していない。
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