(2)四つの署名(The Sign of the Four)
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初出:リピンコット・マンスリー・マガジン(米)1890年2月
ホームズとワトスンの元にメアリー・モースタンから風変わりな事件(※)が持ち込まれた。バーソロミュー・ショルトーを殺害し、彼の父のショルトー少佐がインドから持ち帰った財宝を奪った犯人が乗る蒸気汽船オーロラ号の行方を、ホームズの指示でベーカーストリートイレギュラーズ(Baker Street Irregulars)が追う。ベーカー街221Bで吉報を待つワトスンとスコットランドヤードのジョーンズ警部。そこに、謎の老人がホームズへの重要な情報を持ってベーカー街221Bを訪れる、その場面が描かれている。
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「四つの署名」は、サー・アーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズ作品の第2作で、4つある長編小説の中でも第1作の「緋色の研究」に続く2番目に該る。この場面の謎の老人は一体誰なのか?ドイルは、物語にしばしば変装したホームズを登場させ、ワトスン達を煙に巻いているのだが、この場面がホームズ作品の中で、ホームズの初変装の場面である。個人的には、物語の冒頭、ホームズとワトスンの元をメアリー・モースタンが訪れて事件の調査依頼を行う場面も実は重要で、というのも、この事件後、ワトスンはメアリーと結婚するからである。また、物語の終盤、犯人がテムズ河の造船所に隠れていることを突き止めたホームズ達が、逃げる犯人を警察船で追いかけるというテムズ河での追跡劇の場面も印象に残っている。
(※)「風変わりな事件」とは?
10年前、メアリー・モースタンの父親で、インドの連隊将校だったモースタン大尉は、ロンドンに帰国し、メアリー宛に電報を送付する。電報を受け取ったメアリーは、ロンドンに向かったが、父親は既に失踪していて、それ以来消息不明の状態であった。その後、メアリーの住所を尋ねる広告がタイムズ紙に掲載され、それに返信すると、それ以降、年に1回正体不明の人物から大きな真珠が入った箱が彼女の元に届くようになった。更に、ある朝、面会を求める手紙が配達され、メアリーはホームズの元に依頼にやって来たのである。
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