(1)まだらの紐(The Speckled Band)
初出:「ストランドマガジン」(英)1892年2月号
事件の発生:1883年4月
収録:「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」
依頼人であるヘレン・ストーナーに一刻の猶予も許さない命の危険が迫っていると確信したホームズは、ワトスンと一緒にヘレンの部屋で寝ずの番をすべく、彼女が医師である義父のグリムズビー・ロイロット博士とともに住んでいる邸宅の庭に潜入する。その二人の前を、ロイロット博士が庭で放し飼いにしているヒヒが横切って行く、という場面が描れている。
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「まだらの紐」は、サー・アーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズ作品の第10作目で、56ある短編小説のうち、8番目に発表された。数あるホームズの物語の中で、一番最初に読んだ作品である。確か、小学校低学年時に、学校の図書室でイラスト付きの本を借りて読んだと記憶している。毒蛇が通風孔を通って、隣りの部屋で寝ていた人間に咬み付いて殺すという殺害方法が鮮明に記憶に残っていて、ホームズというと「まだらの紐」が真先に思い浮かぶ位、今だに印象が強い。
犯人であるロイロット博士は、ミルクを餌に毒蛇を手なずけて、口笛で蛇を操り、隣室のベッドで寝ていたジュリア・ストーナー(ヘレン・ストーナーの姉)を殺害したというのが、ホームズによって明らかにされた真相である。後年、読者による様々な考察が行われ、(1)ミルクを餌とする蛇は実際にはいない(2)蛇は耳が聞こえないので、ロイロット博士が口笛で蛇を操ろうとしても不可能である(3)蛇が通風孔に取り付けられた(鳴らない)呼び鈴の紐を伝って上り下りすることは実際にはできない(4)ロイロット博士は毒蛇を自分の部屋の金庫内に隠して飼っていたが、密閉された金庫の中では、蛇が窒息死してしまう等の指摘が為されてはいるが、だからと言って、初めて本作品を読んだ時の驚きが減じられることは、個人的には全くない。科学的な根拠も重要ではあるものの、ドイルの着想の妙が、そういった点を含めて全てを凌駕していると思うのである。
ちなみに、コナン・ドイル自身も、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1927年3月号において、自選の短編ベスト12の中で、本作品を第1位に推している。
犯人であるロイロット博士は、ミルクを餌に毒蛇を手なずけて、口笛で蛇を操り、隣室のベッドで寝ていたジュリア・ストーナー(ヘレン・ストーナーの姉)を殺害したというのが、ホームズによって明らかにされた真相である。後年、読者による様々な考察が行われ、(1)ミルクを餌とする蛇は実際にはいない(2)蛇は耳が聞こえないので、ロイロット博士が口笛で蛇を操ろうとしても不可能である(3)蛇が通風孔に取り付けられた(鳴らない)呼び鈴の紐を伝って上り下りすることは実際にはできない(4)ロイロット博士は毒蛇を自分の部屋の金庫内に隠して飼っていたが、密閉された金庫の中では、蛇が窒息死してしまう等の指摘が為されてはいるが、だからと言って、初めて本作品を読んだ時の驚きが減じられることは、個人的には全くない。科学的な根拠も重要ではあるものの、ドイルの着想の妙が、そういった点を含めて全てを凌駕していると思うのである。
ちなみに、コナン・ドイル自身も、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1927年3月号において、自選の短編ベスト12の中で、本作品を第1位に推している。
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