2026年1月11日日曜日

コナン・ドイル作「シャーロック・ホームズの冒険」<グラフィックノベル版>(The Adventures of Sherlock Holmes by Conan Doyle )- その2

2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から
Button Books シリーズの1冊として英訳版が刊行されている
Noh Yi-jeong 作「シャーロック・ホームズの冒険」の裏表紙 -
「六つのナポレオン像」の内容が、題材として描かれている。


韓国(South Korea)のイラストレーターである Noh Yi-jeong により制作の上、2022年に韓国の Blue Rabbit Publishing Co, Ltd. から Manga Classic Literature シリーズの1冊として出版された後、2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から Button Books シリーズの1冊として、英訳版が刊行されているサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」のグラフィックノベル版における主要な登場人物は、以下の通り。


2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から
Button Books シリーズの1冊として英訳版が刊行されている
Noh Yi-jeong 作「シャーロック・ホームズの冒険」の
主要登場人物一覧(その1) -

画面右側の人物がシャーロック・ホームズで、
画面左側の人物がジョン・H・ワトスン医師。


(1)シャーロック・ホームズ( Sherlock Holmes)


英国の作家 / 医師で、政治活動家であったサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイルが創作した諮問探偵で、世界一有名な探偵と言っても、差し支えない。

シャーロック・ホームズは、長編4作と短編56作の計60作品で活躍する。


登場作品

<長編>

*「緋色の研究(A Study in Scarlet → 2016年7月30日付ブログで紹介済)」- ホームズシリーズの記念すべき第1作目で、英国では、「ビートンのクリスマス年鑑(Beeton’s Christmas Annual)」(1887年11月)に掲載された後、単行本化。

*「四つの署名(The Sign of the Four → 2017年8月12日付ブログで紹介済))」- ホームズシリーズの長編第2作目で、「リピンコット・マンスリー・マガジン(Lippincott’s Monthly Magazine)」の1890年2月号に掲載された後、単行本化。

*「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」-「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」1901年8月号から1902年4月号にかけて連載された後、単行本化。

*「恐怖の谷(The Valley of Fear → 2023年5月12日 / 5月17日 / 5月21日 / 5月26日 / 5月29日 / 6月5日付ブログで紹介済)」-「ストランドマガジン」1914年9月号から1915年5月号にかけて連載された後、単行本化。

<短編集>

*「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1892年)

*「シャーロック・ホームズの回想(The Memoirs of Sherlock Holmes)」(1893年)

*「シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)」(1905年)

*「シャーロック・ホームズ最後の挨拶(His Last Bow)」(1917年)

*「シャーロック・ホームズの事件簿(The Case-Book of Sherlock Holmes)」(1927年)


(2)ジョン・H・ワトスン医師(Dr. John H. Watson)


ジョン・H・ワトスンは、諮問探偵業を行うシャーロック・ホームズの相棒かつ事件記録者で、発表順で言うと、「緋色の研究」(1887年)から「ショスコム荘(Shoscombe Old Place)」(1927年)まで、また、事件発生年順で言うと、「緋色の研究」(1881年)から「最後の挨拶(His Last Bow → 2021年6月3日付ブログで紹介済)」(1914年)まで登場する。


登場作品

<長編>

*「緋色の研究」

*「四つの署名」

*「バスカヴィル家の犬」

*「恐怖の谷」

<短編集>

*「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)

*「シャーロック・ホームズの回想」(1893年)

*「シャーロック・ホームズの帰還」(1905年)

*「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」(1917年)

*「シャーロック・ホームズの事件簿」(1927年)


なお、「グロリア・スコット号事件(The Gloria Scott → 2021年9月25日 /10月3日 / 10月10日付ブログで紹介済)」と「マスグレイヴ家の儀式書(The Musgrave Ritual)」については、ワトスンがホームズと出会う前の事件のため、ワトスンは登場しない。

また、「白面の兵士(The Blanched Soldier → 2022年9月3日 / 9月6日 / 9月21日付ブログで紹介済)」とライオンのたてがみ(The Lion’s Mane → 2023年6月29日 / 7月6日 / 7月8日付ブログで紹介済)」に関しては、ホームズ自身が解決した事件を回想する体裁を採っているので、ワトスンは登場しない。


2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から
Button Books シリーズの1冊として英訳版が刊行されている
Noh Yi-jeong 作「シャーロック・ホームズの冒険」の
主要登場人物一覧(その2) -

アイリーン・アドラー(ボヘミアの醜聞)、ヘレン・ストーナー(まだらの紐)、
ジェイベス・ウィルスン(赤毛組合)、ヴァイオレット・ハンター(ぶな屋敷)、
そして、スコットランドヤードのレストレイド警部の5人が描かれている。


(3)「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia → 2022年12月18日 / 2023年8月6日 / 8月9日 / 8月19付ブログで紹介済)」/ アイリーン・アドラー(Irene Adler)


「ボヘミアの醜聞」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、最初(1番目)に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1891年7月号に掲載された後、ホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)に収録されている。


英国で出版された「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」
1891年7月号「ボヘミアの醜聞」に掲載された挿絵 -

ゴドフリー・ノートン(Godfrey Norton)とアイリーン・アドラーの2人の後を追って、

馬丁に変装したシャーロック・ホームズが

セントモニカ教会(Church of St. Monica)に到着すると、

教会内には、アイリーン・アドラー、ゴドフリー・ノートンと牧師の3人が居た。

そして、ホームズには想定外なことに、

彼は、アイリーンとゴドフリーの2人が結婚する立会人をさせられてしまった。

画面左側から、馬丁に変装したホームズ、アイリーン・アドラー、

ゴドフリー・ノートン、そして、牧師。

挿絵:シドニー・エドワード・パジェット

(Sidney Edward Paget:1860年 - 1908年)


アイリーン・アドラーは、「ボヘミアの醜聞」に登場する人物で、原作は、「シャーロック・ホームズには、いつでも「あの女性(ひと)」と呼ぶ女性が居る。(To Sherlock Holmes she is always the woman.)」と言う一文から始まる。


顔に仮装用のマスクを付けて、フォン・クラム伯爵(Count von Kramm)と名乗り、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)シャーロック・ホームズの元を訪れたボヘミア国王(King of Bohemia)のカッセル・フェルシュタイン大公ウィルヘルム・ゴッツライヒ・ジギスモント・フォン・オルムシュタイン(Wilhelm Gottsreich Sigismond von Ormstein, Grand Duke of Cassel-Felstein)によると、5年前、王太子だった彼は、アイリーン・アドラーと秘密裡に交際していたが、今回、ボヘミア国王は、スカンディナヴィアの王女と結婚することになり、それを知ったアイリーン・アドラーが、「二人で撮影した写真を、スカンディナヴィアの王女宛に送り付ける。」と脅迫してきたのである。アイリーン・アドラーと一緒に撮った写真を、スカンディナヴィアの王女宛に送り付けられた場合、ボヘミア国王とスカンディナヴィアの王女の結婚が破談になることを必至であった。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1891年7月号「ボヘミアの醜聞」に掲載された挿絵 -

ボヘミア国王と一緒に撮影した写真の隠し場所を突き止めて、
セントジョンズウッド地区(St. John's Wood)
サーペンタインアベニュー(Serpentine Avenue)にある
ブライオニーロッジ(Briony Lodge)から
ベイカーストリート221B へと戻って来た
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンであったが、
「おやすみなさい、ホームズさん。」と声をかけて、
その2人の横を通り過ぎた人物が居た。
それは、男装して、2人の後を追って来た
アイリーン・アドラーその人だったのである。
画面左側から、ジョン・H・ワトスン、ホームズ、
そして、男装したアイリーン・アドラー。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)


王太子だったボヘミア国王と秘密裡に交際していたアイリーン・アドラーは、オペラ歌手、より正確に言うと、コントラルト(Contralto - 女性の最低音域 / アルト(Alto)とも言う)歌手で、イタリアのミラノ(Milan → 2023年8月7日 / 8月11日付ブログで紹介済)にあるスカラ座(La Scala)に出演したことがあった。


(4)「赤毛組合(The Red-Headed League → 2022年9月25日 / 10月9日 / 10月11日 / 10月16日付ブログで紹介済)」/ ジェイベス・ウィルスン(Jabez Wilson)


英国で出版された「ストランドマガジン」
1891年8月号「赤毛組合」に掲載された挿絵 -
1890年の秋、ジョン・H・ワトスンが
ベイカーストリート221B のシャーロック・ホームズの元を訪れると、
彼は燃えるような赤毛の初老の男性ジェイベス・ウィルスンから相談を受けている最中であった。

挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)


「赤毛組合」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、2番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン」の1891年8月号にに掲載された後、ホームズシリーズの第1短編集である「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)に収録されている。


1890年の秋、ジョン・H・ワトスンがベイカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れると、彼は燃えるような赤毛の初老の男性ジェイベス・ウィルスンから相談を受けている最中であった。


ジェイベス・ウィルスンは、ロンドンの経済活動の中心地であるシティー(City → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)近くにあるザクセンーコーブルクスクエア(Saxe-Coburg Square → 2016年1月1日付ブログで紹介済)において質屋(pawnbroker)を営んでおり、非常に奇妙な体験をしたと言うので、ホームズとワトスンの二人は彼から詳しい事情を聞くことになった。


(5)「まだらの紐(The Speckled Band)」/ ヘレン・ストーナー(Helen Stoner)


英国で出版された「ストランドマガジン」
1892年2月号に掲載された挿絵 -

1883年4月の初め、ヘレン・ストーナーが、
双子の姉ジュリア・ストーナーが2年前に遂げた謎の死、
そして、自分に現在ふりかかっている不安と恐怖について相談するため、
サリー州にあるストークモラン屋敷を早朝に出て、レザーヘッド駅から一番列車に乗り、
ウォータールー駅に到着、ベイカーストリート221B のシャーロック・ホームズの元を訪れる。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)


「まだらの紐」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、8番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン」の1892年2月号に掲載された後、ホームズシリーズの第1短編集である「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)に収録されている。


1883年4月の初め、ヘレン・ストーナーが、双子の姉ジュリア・ストーナー(Julia Stoner)が2年前に遂げた謎の死、そして、自分に現在ふりかかっている不安と恐怖について相談するため、サリー州にあるストークモラン屋敷(Stoke Moran Manor)を早朝に出て、レザーヘッド(Leatherhead)から一番列車に乗り、ウォータールー駅(Waterloo Station→2014年10月19日付ブログで紹介済)に到着、ベイカーストリート221B のシャーロック・ホームズの元を訪れるところから、物語は始まる。


(6)「六つのナポレオン像(The Six Napoleons)」/ レストレイド警部(Inspector Lestrade)


英国で出版された「ストランドマガジン」
1904年5月号に掲載された挿絵 -

スコットランドヤードのレストレイド警部は、
ロンドン市内でフランスののナポレオン1世の胸像が次々に壊されると言う
奇妙な事件に頭を悩まされていた。
ある晩、ベイカーストリート221B のシャーロック・ホームズの元を訪れた
レストレイド警部は、ホームズとジョン・H・ワトスンに対して、
手帳を見ながら、詳しい内容を語り始めた。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)


「六つのナポレオン像」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、43番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン」の1904年5月号に、また、米国の「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1904年4月30日号に掲載された後、ホームズシリーズの第3短編集である「シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)」(1905年)に収録されている。


レストレイド警部は、アセルニー・ジョーンズ警部(Inspector Athelney Jones → 2024年1月24日付ブログで紹介済)、スタンリー・ホプキンス警部(Inspector Stanley Hopkins → 2024年1月28日付ブログで紹介済)およびトビアス・グレッグスン警部(Inspector Tobias Gregson  → 2024年2月1日付ブログで紹介済)と同じく、スコットランドヤードの警察官である。


レストレイド警部のファーストネームは、不明であるが、「ボール箱(The Cardboard Box)」の中で、シャーロック・ホームズに宛てた手紙に、「G・レストレイド(G. Lestrade)」と記されているので、頭文字だけは「G」だと判っている。


登場作品

<長編>

*「緋色の研究」

*「バスカヴィル家の犬」

<短編>

*「ボスコム谷の謎(The Boscombe Valley Mystery)」- シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、4番目に発表された作品で、「ストランドマガジン」の1891年10月号に掲載された後、ホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)に収録されている。

*「独身の貴族(The Noble Bachelor)」- シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、10番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン」の1892年4月号に掲載された後、ホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)に収録されている。

*「ボール箱」- シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、14番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1893年1月号に、また、米国でも、「ハーパーズ ウィークリー(Harper’s Weekly)」の1893年1月14日号に掲載された。同作品は、英国の場合、ホームズシリーズの第4短編集「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」(1917年)に、また、米国の場合、第2短編集「シャーロック・ホームズの回想」(1894年)に収録されている。

*「空き家の冒険」- シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、25番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1903年10月号に、また、米国では、「コリアーズ ウィークリー」の1903年9月26日号に掲載された後、ホームズシリーズの第3短編集「シャーロック・ホームズの帰還」(1905年)に収録されている。

*「ノーウッドの建築業者(The Norwood Builder)」- シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、26番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1903年11月号に、また、米国では、「コリアーズ ウィークリー」の1903年10月31日号に掲載された後、1905年に発行されたホームズシリーズの第3短編集「シャーロック・ホームズの帰還」に収録されている。

*「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン(Charles Augustus Milverton)」- シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、31番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1904年4月号に、また、米国では、「コリアーズ ウィークリー」の1904年3月26日号に掲載された後、ホームズシリーズの第3短編集「シャーロック・ホームズの帰還」(1905年)に収録されている。

*「六つのナポレオン像」

*「第二のしみ(The Second Stain)」- シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、37番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1904年12月号に、また、米国では、「コリアーズ ウィークリー」の1905年1月28日号に掲載された後、ホームズシリーズの第3短編集「シャーロック・ホームズの帰還」(1905年)に収録されている。

*「ブルース・パーティントン型設計図(The Bruce-Partington Plans)」- シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、39番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1908年12月号に、また、米国では、「コリアーズ ウィークリー」の1908年12月18日号に掲載された後、1917年に出版されたホームズシリーズの第4短編集「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」に収録されている。

*「レディー・フランシス・カーファックスの失踪(The Disappearance of Lady Frances Carfax)」- シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、42番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1911年12月号に、また、米国では、「アメリカン(American)」の1911年12月号に掲載された後、ホームズシリーズの第4短編集「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」(1917年)に収録されている。

*「三人ガリデブ(The Three Garridebs)」- シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、49番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1925年1月号に、また、米国でも、「コリアーズ ウィークリー」の1924年10月25日号に掲載された後、1927年に発行されたホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿」に収録されている。


(7)「ぶな屋敷(The Copper Beeches → 2022年7月31日 / 8月15日 / 8月21日 / 8月25日付ブログで紹介済)」/ ヴァイオレット・ハンター(Violet Hunter)


「ぶな屋敷」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、12番目に発表された作品で、「ストランドマガジン」の1892年6月号に掲載された後、ホームズシリーズの第1短編集である「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)に収録されている。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1892年6月号に掲載された挿絵 -
約束した翌日の午前10時半に、
若い家庭教師であるヴァイオレット・ハンターが
ベイカーストリート221Bのホームズの元を訪れる。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)


ジョン・H・ワトスンに対して、「ここのところ、自分のところに持ち込まれる依頼の質が落ちた。」と嘆くホームズの元に、若い家庭教師であるヴァイオレット・ハンターから、相談の手紙が来た。

約束した翌日の午前10時半に、ベイカーストリート221B に現れたヴァイオレット・ハンターによると、彼女は、現在、失業中で、次の仕事の目処が立っていなかった。そんな中、ウェストエンド(West End)にある家庭教師紹介所ウェストアウェイ(Westaway)において、彼女は、ジェフロ・ルーカッスル氏(Mr. Jephro Rucastle)なる人物から、破格の給料(年額100ポンド → 後に、年額120ポンドへ値上げ / なお、ヴァイオレット・ハンターは、以前の勤務先で、月額で4ポンドの報酬を得ていた)で、住み込みの家庭教師の申し出を受けた。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1892年6月号に掲載された挿絵 -
ウェストエンドにある家庭教師紹介所ウェストアウェイにおいて、
ヴァイオレット・ハンターは、
ハンプシャー州の「ぶな屋敷」に住むジェフロ・ルーカッスル氏から
住み込むの家庭教師の申し出を受ける。
その申し出は、破格の給料であったが、
彼から提示された条件の中には、何か不自然なものが伴っていて、
ヴァイオレット・ハンターは、疑念を抱いた。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)


しかしながら、このあまりに高額の報酬には、いくつかの条件があった。


(A)ハンプシャー州(Hampshire)のウィンチェスター(Winchester)から5マイル離れた「ぶな屋敷」に住み込むこと

(B)6歳の腕白坊主の面倒を見ること

(C)妻(ルーカッスル夫人)のちょっとした頼みをきくこと

(D)雇い主(ルーカッスル氏)が指定する服を着ること

(E)「ぶな屋敷」へ来る際に、髪を短く切ってくること


条件のうち、(A)から(C)については、ヴァイオレット・ハンターとしても、問題なかったが、(D)と(E)に関しては、何か不自然なところがあると疑い始めた。特に、(E)の場合、亡き母からも喜ばれていた長い髪を切ることになり、彼女としては、受け入れることができず、その場でルーカッスル氏の申し出を断ってしまった。


ルーカッスル氏の申し出を断ったヴァイオレット・ハンターであったが、生活が苦しくなってきたため、折角舞い込んだ高額の働き口を受けなかったことを後悔していた。そんな最中、ルーカッスル氏から、彼女宛に再考を求める手紙が届いた。その手紙の中で、報酬の年額が当初の100ポンドから120ポンドへと引き上げられていたのである。


英国で出版された「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」
1892年6月号に掲載された挿絵 -
推理に必要なデータが不足しているシャーロック・ホームズとしては、
ヴァイオレット・ハンターがぶな屋敷へ赴くことを止めることはできなかったが、
彼女に対して、「昼でも夜でも構わないので、何かあれば、
電報で知らせてほしい。」と頼むのであった。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)


生活が苦しい中、高額な報酬に未練があるものの、ルーカッスル氏から提示された不自然な条件に引き続き疑念を抱くヴァイオレット・ハンターは、ホームズに対して、助言を求める。

彼女の話を聞いたホームズは、こう答えた。「正直に言うと、これが自分の妹だったら、引き受けさせたくないですね。(I confess that it is not the situation which I should like to see a sister of mine apply for.)」と。


2026年1月10日土曜日

シティー内に点在するスヌーピー彫刻の探訪(Snoopy in the City: Sculpture trail)- その13

7番目のスヌーピー彫刻が設置されているニューストリートスクエア方面へと延びる
セントブライドストリートの南側の入口に該る歩道
に設置された

12番目のスヌーピー彫刻「Home for Christmas」-
画面奥の左右に延びる通りは、ファリンドンストリート。
<筆者撮影>


スヌーピー(Snoopy)が主人公である米国人気コミック「ピーナッツ(Peanuts)」の誕生75周年を記念して、12名のアーティストがデザインしたスヌーピー彫刻が、2025年11月19日から2026年1月16日までの約2ヶ月間、シティー・オブ・ロンドン(City of London → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)内の各地に展示されている。



前回に続き、12名のアーティストがデザインしたスヌーピー彫刻について、個別に紹介していきたい。

今回が最終分となります。


(12)

*彫刻名: Home for Christmas

*アーティスト名: Amanda Queellin 


画面奥の左右に延びる通りは、ファリンドンストリート。
<筆者撮影>

画面奥の左右に延びる通りは、セントブライドストリート。
<筆者撮影>

画面奥の左右に延びる通りは、セントブライドストリート。
<筆者撮影>

*展示場所: ホルボーン高架橋(Holborn Viaduct → 2018年5月27日 / 6月2日付ブログで紹介済)の下を潜り、テムズ河(River Thames)を渡るブラックフライアーズ橋(Blackfriars Bridge → 2024年8月6日 / 8月11日付ブログで紹介済)へと向かって南下するファリンドンストリート(Farringdon Street → 2017年1月7日付ブログで紹介済)から枝分かれして、7番目のスヌーピー彫刻が設置されているニューストリートスクエア(New Street Square)方面へと延びるセントブライドストリート(St. Bride Street)の南側の入口に該る歩道


ホルボーン高架橋の全景写真–
ホルボーン高架橋の下を潜る通りは、画面奥までがファリンドンロード
(Farringdon Road → 2017年1月7日付ブログで紹介済)で、
画面手前からファリンドンストリートへと名前を変える。
<筆者撮影>

12番目のスヌーピー彫刻「Home for Christmas」が設置されている
セントブライドストリートの入口の反対側にある

ファリンドンストリート沿いの歩道(東側)から見たセントブライド教会(St. Bride's Church)(その1)
<筆者撮影>

12番目のスヌーピー彫刻「Home for Christmas」が設置されている
セントブライドストリートの入口の反対側にある

ファリンドンストリート沿いの歩道(東側)から見たセントブライド教会(その2)
<筆者撮影>

        

2026年1月9日金曜日

コナン・ドイル作「シャーロック・ホームズの冒険」<グラフィックノベル版>(The Adventures of Sherlock Holmes by Conan Doyle )- その1

2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から
Button Books シリーズの1冊として英訳版が刊行されている
Noh Yi-jeong 作「シャーロック・ホームズの冒険」の表紙 -
画面左側の人物がシャーロック・ホームズで、
画面右側の人物がジョン・H・ワトスン医師。


今回は、サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」のグラフィックノベル版について、紹介したい。


本作品は、元々、韓国(South Korea)のイラストレーターである Noh Yi-jeong により制作の上、2022年に韓国の Blue Rabbit Publishing Co, Ltd. から Manga Classic Literature シリーズの1冊として出版された。

その後、2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から Button Books シリーズの1冊として、英訳版が刊行されている。


「シャーロック・ホームズの冒険」のグラフィックノベル版には、以下の5作品が収録されている。


2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から
Button Books シリーズの1冊として、英訳版が刊行されている
Noh Yi-jeong 作「シャーロック・ホームズの冒険」の目次欄(その1)-
「ボヘミアの醜聞」:ボヘミア国王の代理人であるフォン・クラム伯爵(Count von Kramm
 → 実は、ボヘミア国王(King of Bohemia)のカッセル・フェルシュタイン大公
ウィルヘルム・ゴッツライヒ・ジギスモント・フォン・オルムシュタイン
(Wilhelm Gottsreich Sigismond von Ormstein, Grand Duke of Cassel-Felstein)本人、
「赤毛組合」:ジョン・H・ワトスン医師(左側)/ シャーロック・ホームズ(右側)、
「まだらの紐」:ヘレン・ストーナー(Helen Stoner)


(1)「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia → 2022年12月18日 / 2023年8月6日 / 8月9日 / 8月19付ブログで紹介済)」

シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、最初(1番目)に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1891年7月号に掲載された。

そして、ホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1892年)に収録されている。


(2)「赤毛組合(The Red-Headed League → 2022年9月25日 / 10月9日 / 10月11日 / 10月16日付ブログで紹介済)」

シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、2番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン」の1891年8月号にに掲載された。

そして、ホームズシリーズの第1短編集である「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)に収録されている。


(3)「まだらの紐(The Speckled Band)」

シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、8番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン」の1892年2月号に掲載された。

そして、ホームズシリーズの第1短編集である「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)に収録されている。


2024年に英国の Guild of Master Craftsman Publishing Ltd. から
Button Books シリーズの1冊として、英訳版が刊行されている
Noh Yi-jeong 作「シャーロック・ホームズの冒険」の目次欄(その2)-
「六つのナポレオン蔵」:事件の鍵となるナポレオン1世の胸像、
「ぶな屋敷」:ヴァイオレット・ハンター(Violet Hunter)

シャーロック・ホームズ(左側)/
スコットランドヤードのレストレイド警部(Inspector Lestrade - 中央)/
ジョン・H・ワトスン医師(右側)


(4)「六つのナポレオン像(The Six Napoleons)」

シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、43番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン」の1904年5月号に、また、米国の「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1904年4月30日号に掲載された。

そして、ホームズシリーズの第3短編集である「シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)」(1905年)に収録されている。


(5)「ぶな屋敷(The Copper Beeches → 2022年7月31日 / 8月15日 / 8月21日 / 8月25日付ブログで紹介済)」

シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、12番目に発表された作品で、「ストランドマガジン」の1892年6月号に掲載された。

そして、ホームズシリーズの第1短編集である「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)に収録されている。


2026年1月8日木曜日

綾辻行人作「時計館の殺人」<小説版>(The Clock House Murders by Yukito Ayatsuji ) - その1

英国のプーシキン出版から2025年に刊行されている
Pushkin Vertigo シリーズの一つである
綾辻行人作「時計館の殺人」の英訳版の表紙
(Cover design by Jo Walker /
Cover image by Getty + imagenavi)

「時計館の殺人(The Clock House Murders)」は、日本の小説家 / 推理作家である綾辻行人(Yukito Ayatsuji:1960年ー)が発表した長編推理小説で、作家デビュー作の「十角館の殺人(The Decagon House Murders → 2023年2月21日 / 2月25日 / 3月9日 / 3月18日付ブログで紹介済)」、第2作目の「水車館の殺人(The Mill House Murders → 2023年4月30日 / 5月3日 / 5月13日付ブログで紹介済)」、第3作目の「迷路館の殺人(The Labyrinth House Murders → 2024年12月19日 / 2025年1月9日 / 1月18日 / 3月18日付ブログで紹介済)」および第4作目の「人形館の殺人」に続く「館シリーズ」の第5作目に該る。


「時計館の殺人」は、1991年9月に講談社の講談社ノベルスとして出版された後、1995年6月に文庫化(講談社文庫)され、そして、2012年6月に文庫の新装改訂版(上下巻)が出ている。

なお、同作品は、1992年に第45回日本推理作家協会賞の長編部門において受賞しており、作者である綾辻行人の代表作の一つとなっている。


英国では、プーシキン出版(Pushkin Press)から、2025年に英訳版が出版されている。


英国のプーシキン出版から英訳版が出ている綾辻行人の「館シリーズ」は、以下の通り。


(1)

「十角館の殺人」(原作:1987年 / 英訳版:2020年)


英国のプーシキン出版から2020年に刊行されている
Pushkin Vertigo シリーズの一つである
綾辻行人作「十角館の殺人」の英訳版の表紙
(Cover design & illustration by Jo Walker)


*事件発生時期:1985年9月 / 1986年3月

*事件発生場所:大分県(Oita Prefecture)O市K大学の推理小説研究会(Mystery Club)の一行が合宿に訪れたS半島のJ岬の沖合いに浮かぶ角島(Tsunojima)と呼ばれる無人の孤島に建つ十角館(Decagon House)- 建築家の中村青司(Seiji Nakamura)が設計した十角形という奇妙なデザインの建物


英国のプーシキン出版から2020年に出ている
綾辻行人作「十角館の殺人」の英訳版に付されている
「角島」の地図(青屋敷の焼失跡と十角館等を含む)

英国のプーシキン出版から2020年に出ている
綾辻行人作「十角館の殺人」の英訳版に付されている「十角館」のフロア図 -
玄関ホールの左側に、ヴァン、オルツィとポウが、
玄関ホールの右側に、エラリイ、アガサ、カー、そして、ルルウが配置された。


(2)

「水車館の殺人」(原作:1988年 / 英訳版:2023年)


英国のプーシキン出版から2023年に刊行されている
Pushkin Vertigo シリーズの一つである
綾辻行人作「水車館の殺人」の英訳版の表紙
(Cover design by Jo Walker /
Cover image by Marcelo Eduardo)


*事件発生時期:1985年9月 / 1986年9月

*事件発生場所:中国地方の岡山県(Okayama Prefecture)北部の人里離れた山奥に建つ古城を思わせる異形の屋敷「水車館(Mill House)」-「幻視者(prodigious visionary painter)」と呼ばれた画家の藤沼一成(Issei Fujinuma:故人)の依頼に基づき、建築家の中村青司が設計した屋敷


英国のプーシキン出版から2023年に出ている
綾辻行人作「水車館の殺人」の英訳版に付されている
水車館の1階(Ground Floor)の見取り図

英国のプーシキン出版から2023年に出ている
綾辻行人作「水車館の殺人」の英訳版に付されている
水車館の2階(First Floor)の見取り図


(3)

「迷路館の殺人」(原作:1988年 / 英訳版:2024年)


英国のプーシキン出版から2024年に刊行されている
Pushkin Vertigo シリーズの一つである
綾辻行人作「迷路館の殺人」の英訳版の表紙
(Cover design by Jo Walker /
Cover image by Shutterstock)


*事件発生時期:1987年4月

*事件発生場所:京都府(Kyoto Prefecture)の丹後地方の人里離れた山奥に建つ「迷路館(Labyrinth House)」- 推理作家界の巨匠である宮垣葉太郎(Yotaro Miyagaki)の依頼に基づき、建築家の中村青司が設計した屋敷


英国のプーシキン出版から2024年に出ている
綾辻行人作「迷路館の殺人」の英訳版内に付されている
「迷路館」の見取り図 / 部屋の割当て図


本来であれば、プーシキン出版から英訳版が出版される綾辻行人の「館シリーズ」は第4作目の「人形館の殺人」となるのが順当であるが、実際に英訳版が出たのは、第5作目に該る「時計館の殺人」であった。

「人形館の殺人」の場合、内容的に、それまでの3作品(「十角館の殺人」、「水車館の殺人」や「迷路館の殺人」)とはかなり異なった作品であり、おそらく、「海外では受けない / 評価されない」と言う判断が下されたのではないかと思われる。

その結果、第3作目の「迷路館の殺人」の後、第5作目の「時計館の殺人」が英訳されたものと推測される。


2026年1月7日水曜日

アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー(Agatha Christie Official Calendar 2026)- その2

2025年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
「アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー」の内扉に描かれている
エルキュール・ポワロシリーズの長編第14作目「もの言えぬ証人」(1937年)-
エミリー・アランデルが住む
小緑荘の階段を上から見下ろした場面が採用されている。
階段の下には、
エミリー・アランデルの愛犬ボブが、
そして、階段の上には、彼女が転落して、寝込む原因となった
愛犬ボブの遊び道具のボールが描かれている。
また、階段下の床には、エルキュール・ポワロの影が映っている。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の HarperCollinsPublishers 社から、2026年オフィシャルカレンダーが出ているので、今回から順番に紹介したい。


2026年カレンダーの場合、カレンダー用に新たに描き起こされたエルキュール・ポワロシリーズのイラストが使用されており、デザインについては、Diahann Sturge-Cambell が、また、イラストに関しては、Mr. Stephen Millership / Central Illustration Agency が担当している。


2025年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「もの言えぬ証人」の
愛蔵版(ハードカバー版)の表紙
(Cover design and 
illustration
by Sarah Foster / 
HarperCollinsPublishers Ltd. ) -
小緑荘の女主人であるエミリー・アランデルの
愛犬ボブと犬の遊び道具のボールが描かれている。
また、
エミリー・アランデルが転落して、
寝込む原因となった階段が、画面右手に描かれている。


まず最初は、内扉に該る「もの言えぬ証人(Dumb Witness)」(1937年)である。


「もの言えぬ証人」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第21作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第14作目に該っている。


2025年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「もの言えぬ証人」の
愛蔵版(ハードカバー版)の裏表紙
(Cover design and 
illustration
by Sarah Foster / 
HarperCollinsPublishers Ltd. ) -
小緑荘の女主人であるエミリー・アランデルの
愛犬ボブと犬の遊び道具のボールが描かれている。
また、
エミリー・アランデルが転落して、
寝込む原因となった階段が、画面左手に描かれている。
表紙に描かれたボブは、階段下に居て、こちらに顔を向けているが、
裏表紙に描かれたボブは、階段下ではなく、階段を昇っており、
画面内にあるのは、下半身だけで、上半身は画面の外にある。


1936年6月28日、エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)は、エミリー・アランデル(Emily Arundell - なお、フルネームは、エミリー・ハリエット・ラヴァートン・アランデル(Emily Harriet Laverton Arundell))と名乗る老婦人から、自分の命に危険が迫っていることを示唆する内容の手紙を受け取る。奇妙なことに、手紙の日付は、その年の4月17日になっており、手紙が書かれてから2ヶ月後も経ってから投函されているのだった。


エルキュール・ポワロは、
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている
「エルキュール・ポワロの世界」と言うジグソーパズルの中央に立っている。
<筆者撮影>


ポワロの相棒で、友人でもあるアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings → 2025年10月12日付ブログで紹介済)は、「老婦人のとりとめのない妄想ではないか?」と疑問を呈したが、手紙が差し出された経緯について興味を覚えたポワロは、ヘイスティングス大尉を伴って、事実を確かめるために、エミリー・アランデルが住むバークシャー州(Berkshire)のマーケットベイジング(Market Basing)へと赴くことにした。


アーサー・ヘイスティングス大尉は、
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている
「エルキュール・ポワロの世界」と言うジグソーパズルの中央に立つ
エルキュール・ポワロの左斜め後ろに居る。

<筆者撮影>


ポワロとヘイスティングス大尉の二人が、エミリー・アランデルの住所である小緑荘(Littlegreen House)を訪れると、屋敷の前には、「売家」の札が掲げられていた。疑問を抱いた二人が地元で尋ねると、エミリー・アランデル本人は、1ヶ月以上も前の1936年5月1日に亡くなっていたのである。


2010年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「もの言えぬ証人」の
グラフィックノベル版(英訳版)の表紙
(Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)
-
エミリー・アランデルが転落した小緑荘の階段を背景に、
愛犬ボブと犬の遊び道具のボールが描かれている。


亡くなったエミリー・アランデルは、長女マチルダ(Matilda - なお、フルネームは、マチルダ・アン・アランデル(Matilda ann Arundell))、三女アラベラ(Arabella)、長男トマス(Thomas)および四女アグネス(Agnes - なお、フルネームは、アグネス・ジョルジーナ・メアリー・アランデル(Agnes Georgina Mary Arundell))の五人兄弟の次女で、ただ一人存命中だった。

彼女は、父親のアランデル将軍からかなりの財産を相続しており、非常に裕福であった。彼女は、生涯未婚の上、自分の財産を遺す子供が居なかったため、以下の姪と甥が将来彼女の遺産を分け合うものと思われていた。


(1)ベラ・タニオス(Bella Tanios):三女アラベラの娘   

(2)チャールズ・アランデル(Charles Arundell):長男トマスの長男で、テリーザの兄

(3)テリーザ・アランデル(Theresa Arundell):長男トマスの長女で、チャールズの妹


なお、ベラ・タニオスは、ジャコブ・タニオス(Dr. Jacob Tanios - ギリシア人の医者)と結婚して、2人の間には、2人の子供(娘+息子)を設けていた。

また、テリーザ・アランデルは、マーケットベイジングに住むレックス・ドナルドスン医師(Dr. Rex Donaldson)と婚約していた。


2010年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「もの言えぬ証人」の
グラフィックノベル版(英訳版)の裏表紙
(Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)
-
エミリー・アランデルの愛犬ボブの好きな骨と遊び道具のボールがデザインされている。


ところが、エミリー・アランデルは、亡くなるわずか数日前に、遺言書を書き換えていて、新しい遺言書により、彼女の全財産は、彼女の相手役(コンパニオン)であるウィルへルミナ・ロウスン(Wilhelmina Lawson - 通称:ミニー(Minnie))に遺贈され、彼女の本当の肉親である姪2人と甥1人に対しては、何も残されなかったのである。そのため、地元マーケットベイジングの住人達の間では、その噂でもちきりだった。


エミリー・アランデルの遺族の間で憤懣がつのる中、彼女の愛犬であった「もの言えぬ証人(Dumb Witness)」のテリア犬ボブ(Bob)は、彼女の死の真相究明に乗り出したポワロとヘイスティングス大尉に対して、何かを伝えようとしていたのである。


2026年1月6日火曜日

シティー内に点在するスヌーピー彫刻の探訪(Snoopy in the City: Sculpture trail)- その12

セントポール大聖堂へと至るラドゲイトヒル通りの歩道(北側)に設置された
11番目のスヌーピー彫刻「Home Sweet Home」-
中央奥に見えるのが、
フリートストリート(Fleet Street → 2014年9月21日付ブログで紹介済)。
<筆者撮影>

スヌーピー(Snoopy)が主人公である米国人気コミック「ピーナッツ(Peanuts)」の誕生75周年を記念して、12名のアーティストがデザインしたスヌーピー彫刻が、2025年11月19日から2026年1月16日までの約2ヶ月間、シティー・オブ・ロンドン(City of London → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)内の各地に展示されている。


前回に続き、12名のアーティストがデザインしたスヌーピー彫刻について、個別に紹介していきたい。


(11)

*彫刻名: Home Sweet Home

*アーティスト名: Tim Sutcliffe



中央奥に見えるのが、セントポール大聖堂。
<筆者撮影>


*展示場所: セントポール大聖堂(St. Paul’s Cathedral → 2018年8月18日 / 8月25日 / 9月1日付ブログで紹介済)へと至るラドゲイトヒル通り(Ludgate Hill)の歩道(北側)


セントポール大聖堂の建物正面とアン女王の像(その1)
<筆者撮影>

セントポール大聖堂の建物正面とアン女王の像(その2)
<筆者撮影>

セントポール大聖堂の建物正面とアン女王の像(その3)
<筆者撮影>

西側正面前の広場には、1666年のロンドン大火(The Great Fire of London →
2018年9月8日 / 9月15日 / 9月22日 / 9月29日付ブログで紹介済)後に
セントポール大聖堂が再建された1710年当時の君主で、
最初のグレイトブリテン王国君主となったアン女王(Ann Stuart:1665年ー1714年
在位期間:1702年ー1714年)の像が設置されている。
<筆者撮影>

セントポール大聖堂の建物正面
<筆者撮影>