2026年11月5日木曜日

アガサ・クリスティー作「蒼ざめた馬」<小説版(愛蔵版)>(The Pale Horse by Agatha Christie )- その1

2026年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「蒼ざめた馬」の
愛蔵版(ハードカバー版)の表紙
(Cover design and 
illustration by Toby James / HarperCollinsPublishers Ltd /
Trees and back cover horse : Shutterstock.com) 


今回は、英国の HarperCollinsPublishers 社から今年(2026)に出たアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)「蒼ざめた馬(The Pale Horse)」(1961年)について、紹介したい。


本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第52作目に該り、エルキュール・ポワロやミス・ジェーン・マープル等が登場しないノンシリーズ作品である。


歴史学者(historian)であるマーク・イースターブルック(Mark Easterbrook)は、自宅において、ムガール帝国建築についての本を執筆中だった。

彼は、大学の時に結婚した彼女をイタリアでの自動車事故で亡くしており、ロンドンの中心部にあるケンジントン&チェルシー王立区(Royal Borough of Kensington and Chelsea)のチェルシー地区(Chelsea)内に2-3ヶ月前から住み始めたばかりだった。


執筆に疲れたマーク・イースターブルックは、時間を見ると、既に午後11時で、「アセニアムクラブ(Athenaum Club)」で昼食をとってから、随分と過ぎていた。


「アセニアムクラブ」が入居する建物の正面全景
<筆者撮影>

「アセニアムクラブ」が入居する建物入口上のテラスに立つパラスアテナ像
<筆者撮影>


お腹を空かせたマーク・イースターブルックは、キングスロード(King’s Road → 2025年3月8日 / 3月10日付ブログで紹介済)へ出ると、「Luigi」と言うエスプレッソコーヒーバーに入り、エスプレッソとバナナ&ベーコンサンドウィッチを注文して、夕食を始めた。



東側の起点であるスローンスクエア方面のキングスロードを望む
<筆者撮影>


すると、マーク・イースターブルックの隣りの席に座っていた女性2人が、突然、叫び声をあげて、喧嘩というか、取っ組み合いを始めたのである。

1人がもう1人の頬を張ると、頬を張られた方が、頬を張った方を椅子から引き摺り下ろした。

彼女達と一緒に居た男性陣がなんとか2人を仲裁しようとしたが、2人の取っ組み合いがあまりも激しく、どうしようもなかった。

結局のところ、「Luigi」のスタッフ達が彼女2人を引き離して、警官まで呼ばれてしまう。

「Luigi」のスタッフ達によると、髪の毛を根元から何本か抜かれた女性の名前は、 トマシナ・アン・タッカートン(Thomasina Ann Tuckerton)で、亡くなった父親から巨額な遺産を受け継いで、ワンズワースブリッジ(Wandsworth Bridge)近くに住み、取り巻きを連れてチェルシーに来ては、馬鹿騒ぎをしている、とのことだった。


その日はそれで終わったが、1週間後、マーク・イースターブルックは、問題の女性であるトマシナ・アン・タッカートンが10月2日に亡くなったことを「タイムズ紙(The Times)」の死亡欄(the Deaths column)で発見することになる。

                                     


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