米国の Penzler Publishers 社から American Mystery Classics シリーズの1冊として 2018年に出版された エラリー・クイーン作「チャイナ橙の謎」の裏表紙 < Cover Image : Andy Ross Cover Design : Mauricio Diaz > |
米国の推理作家 / 編集者であるエラリー・クイーン(Ellery Queen)が1934年に発表した「国名シリーズ」の第8作目に該る長編推理小説「チャイナ橙の謎(The Chinese Orange Mystery)」の場合、ニューヨーク(New York)のチャンセラーホテル(Hotel Chancellor)22階が、物語の舞台となる。
「チャイナ橙の謎」に登場する容疑者は、以下の通り。
<チャンセラーホテルの居住者等>
(1)ヒュー・カーク博士(Dr. Hugh Kirk)- 70歳を越える学者 / リューマチのため、車椅子で生活
(2)ドナルド・カーク(Donald Kirk)- ヒュー・カーク博士の息子 / 出版社「マンダリンプレス(The Mandarin Press)」の社長 / 切手や宝石の収集家として有名
(3)マーセラ・カーク(Marcella Kirk)- ヒュー・カーク博士の娘で、ドナルド・カークの妹
(4)ミス・ダイヴァーシー(Miss Diversey)- ヒュー・カーク博士の世話をしている付き添いの看護婦
(5)ジェイムズ・オズボーン(James Osborne)- ドナルド・カークの秘書
(6)グレン・マクゴーワン(Glenn Macgowan)- ドナルド・カークの親友で、マーセラ・カークと婚約中
(7)アイリーン・リューズ(Irene Llewes)- 宝石を専門とする女性詐欺師
(8)ジョー・テンプル(Jo Temple)- 中国で育った米国女性 / 作家志望
(9)フェリックス・バーン(Felix Berne)- ドナルド・カークの共同経営者
(10)ハッベル(Hubbell)- カーク家の執事
<チャンセラーホテルの従業員>
(11)シェーン夫人(Mrs. Shane)- 22階の受付係(floor clerk)
(12)ナイ(Nye)- 支配人(hotel manager)
(13)ブラマー(Brummer)- 警備担当(hotel detective)
出版社「マンダリンプレス」の社長であるドナルド・カークは、チャンセラーホテルの22階に豪華な住居を有しており、父親のヒュー・カーク博士や妹のマーセラ・カークと同居している。
その上、廊下を挟んだ反対側には、事務所もあり、秘書のジェイムズ・オズボーンと一緒に、そこで出版社を経営していた。稀少な切手や宝石の収集家としても有名なドナルド・カークは、出版社の事務所を切手や宝石を買い取る場所としても使用していた。
従って、ドナルド・カークの事務所には、出版事業の関係者、切手や宝石の関係者に加えて、家族、友人やスタッフ等、多くの人達が普段から出入りしていたのである。
そんなある日の夕方の午後5時半過ぎ、正確に言うと、午後5時44分、22階のエレヴェーターのドアが開き、首にスカーフを巻いた中年の男性が降りて来た。
エレヴェーターのドアの前にある机に座る同階の受付係であるシェーン夫人に対して、その中年男性は、ドナルド・カークの事務所である「Room 2210」の場所を尋ねる。
シェーン夫人に案内されて、その中年男性は、ドナルド・カークの事務所へと向かった。生憎と、ドナルド・カークは外出中のため不在で、秘書のジェイムズ・オズボーン一人が居るだけであった。
その中年男性は、秘書のジェイムズ・オズボーンに事務所に隣接する待合室(anteroom)へと通されて、ドナルド・カークの帰りを待つことになるが、それから約1時間後に、あまりにも奇妙な殺人事件が、この待合室において発生することになる。
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