2015年に光文社から光文社文庫として出版された 笠井 潔作「吸血鬼と精神分析(上)」の表紙 (カバーデザイン: 坂野 公一 / welle design) |
「吸血鬼と精神分析(Psychoanalysis of a Vampire)」は、日本の小説家、推理作家、SF 作家で、文芸評論家でもある笠井 潔(1948年ー)が2011年に刊行した「矢吹 駆(ヤブキ・カケル)」シリーズの第6作に該る本格ミステリーである。本作品では、被害者の女性達が全身の血を抜かれる連続猟奇殺人、通称<吸血鬼(ヴァンピール)>事件が発生して、パリの住民達を震撼させる。
笠井 潔による作品としては、現象学を駆使する哲学者的な探偵である矢吹駆が登場する矢吹 駆シリーズ(推理小説)やヴァンパイヤー戦争シリーズ(SF 小説)等が有名である。
矢吹 駆シリーズとして、以下の長編が発表されている。
(1)「バイバイ、エンジェル」(1979年):ラルース家の事件 → 角川小説賞を受賞
(2)「サマー・アポカリプス」(1981年):ロシュフォール家の事件
(3)「薔薇の女」(1983年):<アンドロギュヌス>事件
(4)「哲学者の密室」(1992年):ダッソー家の事件
(5)「オイディプス症候群」(2002年):ミノタウロス島の事件 → 第3回本格ミステリ大賞(小説部門)を受賞
(6)「吸血鬼と精神分析」(2011年):<吸血鬼>事件
(7)「煉獄の時」(2010年に雑誌連載終了 / 未単行本化)
(8)「夜と霧の誘拐」(2010年に雑誌連載終了 / 未単行本化)
(9)「魔の山の殺人」(2015年に雑誌連載終了 / 未単行本化)
(10)「屍たちの昏い宴」(2017年より雑誌連載中)
上記の長編以外に、「バイバイ、エンジェル」以前の矢吹 駆を描いた「熾天使(してんし)の夏」が1997年に、また、パリ警視庁警視ルネ・モガールの娘で、パリ大学の女子学生として、矢吹 駆と一緒に、様々な事件に遭遇したナディア・モガールが、シリーズ最終作以降の話として、日本に置いて事件に挑む「青銅の悲劇 瀕死の王」(雑誌連載時のタイトルは、「瀕死の王」)が2008年に刊行されている。
なお、「吸血鬼と精神分析」は、雑誌「ジャーロ」連載時(2003年ー2008年)、「吸血鬼の精神分析」というタイトルだったため、英語のタイトルは、「Psychoanalysis of a Vampire」のままになっている。
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