フランクフルトのゲーテ広場(Goetheplatz)内に建つゲーテ像 |
犯人達の一人で、毒矢の使い手であるアンダマン諸島のトンガ(Tonga)は、追跡劇の最中に射殺される。そして、逃走するオーロラ号は、テムズ河岸の湿地帯に突っ込んで、身動きがとれなくなり、もう一人の犯人である義足の男ジョナサン・スモール(Jonathan Small)は、ホームズ達に取り押さえられる。
ホームズの依頼に基づき、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)へと連れてこられたジョナサン・スモールは、ホームズ達に対して、事件の全貌を物語った後、ジョーンズ警部によって、スコットランドヤードへと連行されていった。
近代的なオフィスビルを背にして、ゲーテ広場内に建つゲーテ像 |
「さて、僕達にとってのささいな事件も、これで幕切れだな。」ホームズと私(ワトスン)は、暫くの間、黙って座り、タバコを吸っていたが、私がこう切り出した。「私が君の捜査方法を研究する機会は、残念ながら、この事件が最後になるかもしれないな。光栄にも、モースタン嬢が私を将来の夫として受け入れてくれたんだ。」
ホームズは、憂鬱な不満の声を漏らした。「そうなると思っていたよ。」と、彼は言った。「君を祝福する気にはあ、とてもなれないな。」
ホームズの発言を聞いて、私は感情を少し害した。「君は、私の将来の妻に対して不満な理由が、何かあるのかい?」と、私は尋ねた。「そんなものは、全く何もないよ。僕が思うに、彼女は、僕が今までに会った中で、最も魅力的な女性の一人だし、僕達がやってきたような仕事には、非常に有能かもしれない。彼女には、疑いようのない才能がある。彼女の父親が残した他の書類の中から、アグラの見取り図をキチンと保管していたことからも判るよ。しかし、愛は感情的なものだ。そして、感情的なものは、どんなものであっても、僕が全てのことに優先している純粋で、かつ、冷静な思考力とは、相容れないんだ。だから、僕は結婚したりしない。僕の判断にバイアスがかかるからね。」
「きっと」と。私は笑いながら言った。「私は、これからの厳しい試練を乗り越えていけると思うよ。しかし、君は随分と疲れ切っているようだな。」
「そうだな。今回の捜査の反動が、既にきているよ。多分、僕は、1週間、ボロ切れのようになって、参っているだろうな。」
「奇妙な話だ。」と、私は言った。「他の人間の場合、怠惰と言う他にない期間と素晴らしい活力と気力の期間が、交互にやってくるとはね。」
「そうなんだ。」と、彼は答えた。「僕の中には、非常に怠け者の要素ととても活動的な人間の要素があるんだ。だから、僕は、しばしば、ゲーテのこの詩を思い出すのさ。
「自然が汝を一人の人間としてつくったことは、なんと悲しきことだろう。なぜならば、汝は、善人にも、悪人にも、なれたのだから。」と。
ゲーテ広場の地下は、駐車場となっている |
‘Well. And there is the end of our little drama,’ I remarked, after we had sat some time smoking in silence. ‘I fear that it may be the last investigation in which I shall have the chance of studying your methods. Miss Morstan has done me the honour to acceptance as a husband in protective.’
Holmes gave a most dismal groan. ‘I feared as much,’ said he. ‘I really cannot congratulateyou.’
I was a little hurt. ‘Have you any reason to be dissatisfied with my choice?’ I asked.
‘Not at all. I think she is one of the most charming young ladies I ever met, and might have been most useful in such work as we have been doing. She had a decided genius that way; witness the way in which she preserved that Agra plan from all the other papers of her father. But love is an emotional thing, and whatever is emotional is opposed to that true, cold reason which I place above all things. I should never marry myself, lest I bias my judgement.’
‘I trust,’ said I, laughing, ‘that my judgement may survive the ordeal. But you look weary.’
‘Yes, the reaction is already upon me. I shall be as lump as a rag for a week.’
‘Strange,’ said I, ‘how terms of what in another man I should call laziness alternate with your fits of splendid energy and vigour.’
‘Yes,’ he answered, ‘there are in me the makings of a very time loafer, and also of a pretty spry sort of a fellow. I often think of those lives of old Goethe:
Schade dass die Natur nur einen Mensch aus dir schuf,
Denn zum wurdigen Mann war und zum Schelmen der Stoff.
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