2020年1月25日土曜日

キム・ニューマン作「モリアーティ秘録」(’Professor Moriarty : The Hound of the D’Ubervilles’ by Kim Newman)–その2

2011年9月に Titan Books から出版された
「Professor Moriarty : The Hound of the D'Ubervilles
(モリアーティ教授:ダーバヴィル家の犬)」の表紙

英国のファンタジー作家、映画批評家で、かつ、ジャーナリストでもあるキム・ニューマン(Kim Newman:1959年ー)が執筆した「モリアーティ秘録(Professor Moriarty : The Hound of the D’Ubervilles)」は、1869年に創立された一族経営の民間銀行で、ムーアゲイト(Moorgate)、ジブラルタルとバミューダに支店を有するボックス・ブラザーズ銀行(Box Brothers)が、最高経営責任者(Chief Executive Officer)であるディム・フィラミーラ・ボックス(Dame Philomela Box)が不正取引の容疑で対欲されたことに伴い、経営破綻の上、倒産したところから、その物語が始まる。

彼女の甥であるコリン・ボックス(Colin Box)に対しても逮捕状が出されたが、間もなく、エセックス州(Essex)のヘイヴンゴア島(Havengore Island)において、燃え尽きたボルボのトランク内から、頭部を切り落とされた彼の死体が発見され、それから6週間の間に、ボックス・ブラザーズ銀行の役員2名が謎の死を遂げる。ただし、彼らの殺害について、誰も告発を受けることはなかった。
実は、ボックス・ブラザーズ銀行は、創立当初から、大物小物を問わず、犯罪者に対して、金融サービスを提供していたのである。

そして、2009年7月、ボックス・ブラザーズ銀行の貸金庫の中から、20世紀前半に預けられた後、80年間の間、手付かずのまま放置されていた謎の回廊録が出てきた。
回想録の執筆者は、ロンドンのコンジット街(Conduit Street→2015年7月18日付ブログで紹介済)に住むバンガロール第一工兵隊のセバスチャン・モラン大佐(Colonel Sebastian Moran)で、犯罪界のナポレオンと呼ばれるジェイムズ・モリアーティ教授(Professor James Moriarty)の右腕として活躍した人物であった。
この回想録には、犯罪商会の首魁として、様々な犯罪者に対して、計画や助言等を与えるコンサルティング業務を営むモリアーティ教授と彼のサポートを行うモラン大佐の二人が遭遇する奇妙な事件の数々が書き残されていたのである。

ディム・フィラミーラ・ボックスから回想録を渡されたロンドンのバークバックカレッジ(Birkbeck College)歴史・古典・考古学部(Department of History, Classics and Archaeology)社会科学・歴史・哲学研究所(School of Social Sciences, History and Philosophy)のクリスティーナ・テンプル教授(Professor Christina Temple)は、これが本物かどうかの分析を行うのであった。

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