2018年12月2日日曜日

ロンドン ヴィクトリアエンバンクメントガーデンズ(Victoria Embankment Gardens)

ヴィクトリアエンバンクメントガーデンズ内の植栽(その1)

米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1934年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)シリーズの長編第4作目に該る「盲目の理髪師(The Blind Barber)」では、大西洋を横断して、米国のニューヨークから英国のサウサンプトン(Southampton)へと向かう外洋航路船クイーンヴィクトリア号(ocean liner Queen Victoria)上において、(1)米国人の外交官であるカーティス・G・ウォーレン(Curtis G. Warren)が携帯していた政治的失脚や国際問題にまで発展しかねない恐れがあるフィルムと(2)スタートン子爵が所有するエメラルドの象のペンダントの盗難事件が発生する。それらに加えて、(3)瀕死の女性がある船室から突然姿を消す事件も起きる。錯綜する事件の謎に頭を痛めた英国人の探偵小説家であるヘンリー・モーガン(Henry Morgan)は、「剣の八(The Eight of Swords)」事件で知り合ったギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)に助けを求めるべく、サウサンプトンに入港したクイーンヴィクトリア号からいち早く下船して、ギディオン・フェル博士が住むロンドンへと急ぐ。原作上、ギディオン・フェル博士は、テムズ河(River Thames)に近いアデルフィテラス1番地(1 Adelphi Terrace→2018年11月25日付ブログで紹介済)に住んでいるという設定になっており、アデルフィテラスからは、テムズ河の他に、ヴィクトリアエンバンクメントガーデンズ(Victoria Embankment Gardens)を眼下に望むことができる。

ヴィクトリアエンバンクメントガーデンズの東端から見上げた
チャリングクロス駅(Charing Cross Station)が入っている建物

ヴィクトリアエンバンクメントガーデンズは、北側のアデルフィテラスと南側のテムズ河に挟まれた場所に広がる公園で、公園の北側と東側はサヴォイプレイス(Savoy Place→2017年1月29日付ブログで紹介済)に、西側はヴィリアーズストリート(Villiers Street)と地下鉄エンバンクメント駅(Embankment Tube Station)に、そして、南側はヴィクトリアエンバンクメント通り(Victoria Embankment)に囲まれている。

ヴィクトリアエンバンクメントガーデンズ内から
チャリングクロス駅が入っている建物

1865年から1867年にかけて、英国の土木技師で、公共事業庁(Metroploitan Board of Works)の主任技師でもあったサー・ジョーゼフ・ウィリアム・バザルゲット(Sir Joseph William Bazalgette:1819年ー1891年)により、ウェストミンスター橋(Westminster Bridgeー西側)とブラックフライアーズ橋(Blackfriars Bridgeー東側)に挟まれたテムズ河北岸に、ヴィクトリアエンバンクメント(Victoria Embankment)と呼ばれる堤防や下水道設備等が建設された。テムズ河北岸に沿って、堤防の上に敷設されたヴィクトリアエンバンクメント通りの北側の場所を使って、1874年にヴィクトリアエンバンクメントガーデンズが造営されたのである。

ヴィクトリアエンバンクメントガーデンズ内の植栽(その2)

ヴィクトリアエンバンクメントガーデンズは、全体をフェンスで囲まれた公園であるが、早朝(午前7時半)から夜間(冬場:午後4時半~夏場:午後9時半)まで一般に開放されており、特に昼間は、公園近辺のオフィス勤務者や観光客等の憩いの場となっている。

サヴォイホテル(Savoy Hotel)を建設した
リチャード・ド・オイリー・カルテ(Richard D'Oyly Carte:1844年ー1901年)を讃える記念碑が
サヴォイホテルの裏玄関前のヴィクトリアエンバンクメントガーデンズ内に設置されている

ヴィクトリアエンバンクメントガーデンズは、現在、シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)によって管理されている。

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