2016年10月29日土曜日

アガサ・クリスティー没後40周年記念切手6「予告殺人(A Murder is Announced)」

リトルパドックス館内の明かりが突然消えて、部屋の扉が開き、
懐中電灯を持った謎の男(ルディー・シャーツ)が部屋に侵入して来た場面が描かれている。
銃声が響き、明かりが灯ると、何故か、床には謎の男自身の死体が横たわっていたのである

(6)「予告殺人(A Murder is Announced)」(1950年)

本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては第40作目に、そして、ミス・ジェイン・マープルシリーズの長編としては第4作目に該る。

チッピングクレグホーン村(Chipping Cleghorn)の地元紙朝刊「ギャゼット(Gazette)」の広告欄に、非常に変わった連絡が掲載された。「殺人をお知らせ致します。10月29日の金曜日、午後6時半にリトルパドックス館においてです。(A murder is announced and will take place on Friday, October 29th, at Little Paddocks, at 6:30 pm.)」と。

チッピングクレグホーン村の郊外にあるリトルパドックス館(Little Paddocks)の女主人であるレティシア・ブラックロック(Letitia Blacklock)は、この広告を見て困惑する。一方で、当日、好奇心旺盛な村の人々が、続々とリトルパドックス館に集まって来て、何が起きるのか、とても心待ちにしていた。


そして、時計が午後6時半を告げた時、室内の明かりが突然消えると、部屋の扉が開いて、懐中電灯を持った男が姿を現した。村の人々が何かの余興だと思った時、銃声が響く。

部屋の扉が閉まり、明かりが灯ると、そこには、突然部屋に侵入して来た男の死体が横たわっていたのである。レティシア・ブラックロックの親友であるドーラ・バンナー(Dora Bunner)によると、死んでいた男は、村の近くのメデナムウェルズ(Medenham Wells)にある「ロイヤルスパホテル(Royal Spa Hotel)」に勤める従業員のルディー・シャーツ(Rudi Scherz)とのこと。


警察が呼ばれ、クラドック警部(Inspector Craddock)が、その場に居合わせた村の人々を一人ずつ調べていく。状況としては、自殺、あるいは、事故のように思われるが、クラドック警部としては、どちらにも納得がいかなかった。


クラドック警部にとって非常に幸運なことに、死亡したルディー・シャーツが勤めていたホテルには、探偵好きな独身の老婦人ミス・マープルが、リューマチの湯治のため、滞在していたのである。

ミス・マープルの手腕を高く評価している警察の上層部から、クラドック警部は、事件の真相解明のために、ミス・マープルに協力を求めるよう、指示される。クラドック警部からの依頼を受けたミス・マープルは、驚くべき事件の真相を明らかにするのであった。


アガサ・クリスティーの没後40周年を記念して発行された切手には、リトルパドックス館内の明かりが突然消えて、部屋の扉が開き、懐中電灯を持った謎の男(ルディー・シャーツ)が部屋に侵入して来たシーンが描かれている。ルディー・シャーツが持った懐中電灯で照らされた部屋の壁が、時計のようにデザインされている。明かりが消えたランプが12時を、ミス・マープルの横顔が描かれた絵が3時を、午後6時半を示すスイス製時計が午後9時を、そして、ルディー・シャーツの拳銃で狙われた女性が6時を指している。また、その女性は右手に地元紙朝刊「ギャゼット」を持っていて、予告殺人が掲載された広告欄が懐中電灯に照らし出されている。

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