画面中央のアベニューロード(Avenue Road)を間にして、 左側がロンドン中心部のシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)に、 右側がロンドン・カムデン区(London Borough of Camden)に属している |
サー・アーサー・コナン・ドイル作「マザリンの宝石(The Mazarin Stone)」では、ある夏の晩7時頃、ジョン・ワトスンがベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れるところから、物語が始まる。
給仕のビリー(Billy)によると、ホームズは現在ある事件にかかりきりだと言う。ホームズは、昨日、職探しの職人に、そして、今日は老婆に変装して出かけた、とのこと。ビリーがワトスンにこっそり教えてくれたところでは、「マザリンの宝石(Mazarin Stone)」という10万ポンドもする王冠のダイヤモンド盗難事件のためのようだ。また、窓辺には、(「空き家の冒険(The Empty House)」でも使われた)ホームズの蝋人形が置かれていた。一体何のために?その時、寝室のドアが開いて、ホームズが姿を見せたのであった。ホームズ曰く、「自分には危険が迫っている。」と言う。
「ホームズ、しかし、その危険とは一体何なんだ?」
「ああ、そうだ。もし本当にそうなった場合に備えて、手数をかけるが、君に殺人犯の名前と住所を覚えておいてもらいたい。本当にそうなった時には、僕の愛と別れの挨拶を添えて、スコットランドヤードに教えてほしい。名前はシルヴィウス ー ネグレット・シルヴィウス伯爵だ。書き留めてくれ。書き留めるんだ。住所は、北西区ムーアサイドガーデンズ136番地。書き留めたかい?」
思ったことがすぐに表に出るワトスンの顔が心配で引きつっていた。彼はホームズが直面する計り知れない危険について知り過ぎていた。また、ホームズが言う危険について、大げさと言うよりも、控えめな表現であることが多いこともよく判っていた。ワトスンは常に行動の人だったので、彼は咄嗟に反応した。
「ホームズ、私も仲間に入れてくれ。ここ一日二日することがないんだ。」
「ワトスン、君はあいかわらず素行が良くないな。他の悪行に嘘が加わったぞ。君が忙しい医者であることは、君の体全体が発している。毎時間、往診患者を抱えている。」
「大して重要なものはないよ。」
'But this danger, Holmes?'
'Ah, yes; in case it should come off, it would perhaps be well that you should burden your memory with the name and address of the murderer. You can give it to Scotland Yard, with my love and a parting blessing. Sylvius is the name - Count Negretto Sylvius. Write it down, man, write it down! 136 Moorside Gardens, NW. Got it?'
Watson's honest face was twitching with anxiety. He knew only too well the immerse risks taken by Holmes, and was well aware that what he said was more likely to be understatement than exaggeration. Watson was always the man of action, and he rose to the occasion.
'Count me in, Holmes. I have nothing to do for a day or two.'
'Your morals don't improve, Watson. You have added fibbing to your other vices. You bear every sign of the busy medical man, with calls on him every hour,'
'Not such important ones.'
ネグレット・シルヴィウス伯爵が住んでいる場所として、ホームズがワトスンに話した「北西区ムーアサイドガーデンズ136番地」は、残念ながら、実在の場所ではなく、架空の住所である。
シルヴィウス伯爵が住んでいるということ、そして、ロンドン北西区内にあるということから考えると、北西8区(NW8)のセントジョンズウッド地区(St. John's Wood)、あるいは、北西4区(NW4)のハムステッド地区(Hampstead)といった高級住宅街に、ムーアサイドガーデンズ136番地はあったのではないかと思われる。
なお、写真は、セントジョンズウッド地区内で撮影したものを添付している。
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