サー・アーサー・コナン・ドイル作「最後の事件(The Final Problem)」では、物語の冒頭、「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)がベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れて、彼に自分から手を引くように告げる。しかし、ホームズはモリアーティー教授の忠告を拒否する。
間髪を入れず、ホームズはモリアーティー教授配下の者に襲撃を受け、命を狙われるのである。ある仕事を済ませるため、徒歩でオックスフォードストリート(Oxford Street)へ向かったホームズは、その途中、ベンティンクストリート(Bentinck Street)とウェルベックストリート(Welbeck Street)の角で、モリアーティー教授配下の者が乗った二頭立ての馬車にすんでのところで轢き殺されそうになった。歩道に飛び退いて、間一髪難を逃れたホームズは、引き続き、徒歩でオックスフォードストリートへと向かった。
ホームズによるジョン・ワトスンへの話は続く。
「ワトスン、それ以降、僕は歩道を通るようにしたんだ。しかし、ヴェアストリートを(オックスフォードストリートへ向かって)下って行くと、ある家の屋根からレンガが落ちてきて、僕の足下で粉々に砕け散った。そこで、僕は警官を呼んで、その家の屋根を調べてもらったんだ。屋根には、修繕の準備のため、スレートとレンガが堆く積まれていたので、警官達は、風でレンガの一つが転がり落ちただけだと、僕を納得させようとした訳だ。もちろん、僕の方が実情をよりよく判ってはいたが、警官達には何も証明できなったけどね。」
I kept to the pavement after that, Watson, but as I walked down Vere Street a brick came down from the roof of one of the houses, and was shattered to fragments at my feet. I called the police and had the place examined. There were slates and bricks piled up on the roof preparatory to some repairs, and they would have we believe that the wind had topped over one of these. Of course I knew better, but I could prove nothing.
オックスフォードストリート側から見たヴェアストリート ―奥に見えるのは、ヘンリエッタプレイス |
I kept to the pavement after that, Watson, but as I walked down Vere Street a brick came down from the roof of one of the houses, and was shattered to fragments at my feet. I called the police and had the place examined. There were slates and bricks piled up on the roof preparatory to some repairs, and they would have we believe that the wind had topped over one of these. Of course I knew better, but I could prove nothing.
ヴェアストリート(Vere Street)は、オックスフォードストリートから北へ延びる通りで、更に北へ上がると、ホームズが二頭立て馬車に襲撃されたウェルベックストリートへとつながる。
なお、この通りは、通りが出来た当時、この辺りを所有していたオックスフォード伯爵(Earls of Oxford)の家族の名前から名付けられたとのこと。
ヴェアストリートはそれ程長い通りではなく、オックスフォードストリート側からみて、右側にはセントピーターズ教会(St. Peters Church)/ マリルボーンチャペル(Marylebone Chapel)が、そして、左側にはデパートのデベナム(Debenhams)が建っている。
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