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英国の Harper Collins Publishers 社から以前出版されていた アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ 「クリスマスプディングの冒険」のペーパーバック版表紙 |
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1953年に発表したミス・マープルシリーズの長編第6作目「ポケットにライ麦を(A Pocket Full of Rye)」は、マザーグース(Mother Goose)の童謡の歌詞通りに、殺人事件が発生する「見立て殺人」をテーマにした作品である。
この童謡は「6ペンスの唄を歌おう(Sing a Song of Sixpence → 2024年9月7日付ブログで紹介済)」で、物語において、ミス・ジェイン・マープルがスコットランドヤードのニール警部(Inspector Neele)に対して歌って聞かせている。
なお、歌詞は以下の通り。
< 英語原詞 >
Sing a song of sixpence,
ポケットに ライ麦を
詰めて歌うは 街の唄
くろつぐみを二十四 パイに焼き
切って差出しゃ 鳴きいだす
お城料理の すばらしさ
王様お倉で 宝をかぞえ
女王は広間で パンに蜂蜜
若い腰元 庭へ出て
乾しに並べた お召もの
そこへ小鳥が 飛んできて
可愛いお鼻を 突っついた
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ジズソーパズル内の右側の窓の外の縁には、 ミス・ジェイン・マープルが節をつけて歌い出したマザーグースの童謡の中に出てくる 黒鶫(クロツグミ)がとまっている。- ジグソーパズル「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」の一部 |
黒鶫<クロツグミ>(blackbird)は、スズメ目ツグミ科の鳥で、雄の場合、体が黒く、目の周りが黄色で、嘴も黄色い。ヨーロッパにおいて、黒鶫は「春の訪れを告げる鳥」として親しまれており、スウェーデンでは、国鳥に指定されている。
童謡「6ペンスの唄を歌おう」内に出てくる「二十四羽の黒つぐみ(Four and twenty blackbirds)」を題名とするエルキュール・ポワロシリーズの作品が存在する。
それは、短編「二十四羽の黒つぐみ(Four-and-Twenty Blackbirds)」で、1960年に刊行された短編集「クリスマスプディングの冒険(The Adventure of Christmas Pudding)」に収録されている。
短編「二十四羽の黒つぐみ」は、米国において、「コーリアズマガジン(Collier’s Magazine)」1940年11月9日号に発表された後、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」1941年3月号に、「ポワロと常連のお客(Poirot and the Regular Customer)」と言う題名で掲載されている。
物語は、ある夜、エルキュール・ポワロが、チェルシー地区(Chelsea)内のキングスロード(King’s Road)沿いにあるレストラン「ギャラント エンデヴァー(Gallant Endeavour)」において、友人のヘンリー・ボニントン(Henry Bonnington)と食事をしている場面から始まる。

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