2024年11月3日日曜日

ジェイムズ・ラブグローヴ作「シャーロック・ホームズとステイプルトンの獣」(Sherlock Holmes and the Beast of the Stapletons by James Lovegrove) - その1

英国の Titan Publishing Group Ltd から、Titan Books シリーズとして、
2021年に刊行されている
 ジェイムズ・ラヴグローヴ
作「シャーロック・ホームズとステイプルトンの獣」の
ペーパーバック版表紙

(Design by Julia Lloyd


本作品「シャーロック・ホームズとステイプルトンの獣」(Sherlock Holmes and the Beast of the Stapletons)」は、英国イーストサセックス州(East Sussex)ルイス(Lewes)出身の作家であるジェイムズ・マシュー・ヘンリー・ラブグローヴ(James Matthew Henry Lovegrove:1965年ー)によって、2020年に発表された。

なお、同作品は、サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)作「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」の続編となっている。


1990年から作家活動を始めたジェイムズ・ラブグローヴは、元々、SF小説をメインにしていたが、2013年から、ホームズ作品についても、以下の通り、継続的に発表している。


(1)「シャーロック・ホームズ / 悪魔の塊(Sherlock Holmes / The Stuff of Nightmares → 2022年6月11日 / 6月18日 / 6月24日付ブログで紹介済)」(2013年)

(2)「シャーロック・ホームズ / 戦いの神々(Sherlock Holmes / Gods of War → 2021年10月2日 / 10月8日 / 10月16日付ブログで紹介済)」(2014年)

(3)「Sherlock Holmes / The Thinking Engine」(2015年)

(4)「Sherlock Holmes / The Labyrinth of Death」(2017年)

(5)「Sherlock Holmes / The Devil’s Dust」(2018年)

(6)「シャーロック・ホームズとクリスマスの悪霊(Sherlock Holmes and the Christmas Demon → 2024年11月1日付ブログで紹介済)」(2019年)

(7)「シャーロック・ホームズとステイプルトンの獣(Sherlock Holmes and the Beast of the Stapletons)」(2020年)

(8)「Sherlock Holmes and the Three Winter Terrors」(2021年)


また、別シリーズとして、以下の作品も発表。


(9)「Sherlock Holmes and the Shadwell Shadows」(2016年)

(10)「Sherlock Holmes and the Miskatonic Monstrosities」(2017年)

(11)「Sherlock Holmes and the Sussex Sea-Devils」(2018年)

(12)「Sherlock Holmes and the Highgate Horrors」(2023年)


「シャーロック・ホームズとステイプルトンの獣」の場合、1894年の秋から、物語が始まる。


1889年の秋(10月)、デヴォン州(Devon)南部に広がる荒野ダートムーア(Dartmoor)内に所在するメリピットハウス(Merripit House)に住む昆虫学者であるジャック・ステイプルトン(Jack Stapleton)が、ダートムーアに伝わる魔犬伝説を使い、バスカヴィル家の当主であるサー・チャールズ・バスカヴィル(Sir Charles Baskerville)を心臓麻痺へと追い込み、後を継いだサー・ヘンリー・バスカヴィル(Sir Henry Baskerville)の命も奪おうとした「バスカヴィル家の犬」事件が解決してから、既に5年が経過していた。

また、「空き家の冒険(The Empty House → 2022年5月27日 / 7月1日 / 7月10日 / 7月17日 / 7月24日 / 7月29日 / 8月3日 / 8月6日付ブログで紹介済)」を経て、シャーロック・ホームズが1894年4月にロンドンへと帰還してから、半年が経っていた。

更に、ホームズの相棒であるジョン・H・ワトスンは、妻のメアリー(Mary)を亡くして、独り身となっていた。


ヴィクトリアゲート(Victoria Gate)近くにあるハイドパーク内の案内板 -
案内板の左上にみえる赤い丸が現在位置を示している。


ワトスンは、午前中の診療を終えると、午後、ケンジントン地区(Kensington → 2023年12月12日 / 12月17日付ブログで紹介済)の自宅を出て、ハイドパーク(Hyde Park → 2015年3月4日付ブログで紹介済)経由、ホームズが住むベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)へと出かけた。


ハイドパーク内にあるサーペンタイン湖


サーペンタイン湖(The Serpentine → 2015年3月15日付ブログで紹介済)を過ぎて、ワトスンがウェストキャレッジドライブ(West Carriage Drive)を歩いていると、突然、大きな黒い犬が彼に向かって駆けて来るのが見えた。「バスカヴィル家の犬」事件の魔犬のことが頭に過ぎったワトスンは、思わず、恐怖する。

結果的に、何事もなかったものの、ワトスンは、犬の飼い主である中年の男性との間で、揉め事になった。自分達の周りに人集りができたため、ワトスンは、早々にその場を立ち去った。


手前にみえるのが、ハイドパーク内を南北に縦断しているウェストキャレッジドライブ。


ベイカーストリート221Bを訪れたワトスンを、ホームズが快く出迎えた。ホームズによると、「事件の相談者が来ている。」とのことだった。

事件の相談者は、米国人の黒人の青年で、ベンジャミン・グリア伍長(Corporal Benjamin Grier)と名乗った。彼は、「カナダ生まれの友人のことで、至急、相談したい。」と言う。そして、驚くことに、ベンジャミン・グリア伍長は、カナダ生まれの友人として、「サー・ヘンリー・バスカヴィル」の名前を出したのである。


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