2021年12月27日月曜日

チャールズ・ウォーレン・アダムズ作「ノッティングヒルの謎」(The Notting Hill Mystery by Charles Warren Adams) - その1

大英図書館から2015年に出版された
チャールズ・ウォーレン・アダムズ作「ノッティングヒルの謎」の表紙
(ペーパーバック版 - Front Cover Illustration : Chris Andrews)


「ノッティングヒルの謎(The Notting Hill Mystery)」は、法律家、出版業者で、かつ、動物の生体解剖反対者でもあったチャールズ・ウォーレン・アダムズ(Charles Warren Adams:1833年ー1903年)が、「チャールズ・フェリックス(Charles Felix)」というペンネームで執筆した作品で、英語での出版物として、初めて世に出た推理小説と言われている。


「ノッティングヒルの謎」は、当初、Bradbury & Evans が発行する「Once A Week」という週刊誌1862年11月29日号から1863年1月17日号までの8回に分けて連載された後、1865年に Saunders, Otley, and Company から1冊の小説として出版された。

「ノッティングヒルの謎」には、英国の風刺漫画家で、ゴシックホラー小説「トリルビー(Trilby)」(1894年)等を執筆した作家でもあったジョージ・ルイ・パルメラ・ビュッソン・デュ・モーリエ(Georeg Louis Palmella Busson du Maurier:1834年ー1896年 → 2019年6月15日 / 6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)による挿絵が付されている。


大英図書館から2015年に出版された
チャールズ・ウォーレン・アダムズ作「ノッティングヒルの謎」の裏表紙


物語は、生命保険協会(Life Assurance Association)の調査員(insurance investigator)であるラルフ・ヘンダースン(Ralph Henderson)による調査記録として構成されている。


事件があった「Baron R**」の屋敷の地下室の見取り図 -
深夜、「Madame R**」は、夢遊病による徘徊中、
夫の実験室(Lavatory)内に保管されていた酸が入った瓶を
誤って飲んで、死亡したと、「Baron R**」から通報された。

1857年315日、「Baron R**」という人物の妻である「Madame R**」が、深夜、夢遊病による屋敷内徘徊中、夫の実験室内に保管されていた酸が入った瓶を誤って飲んでしまい、死亡するという事件が発生する。

同年11月、生命保険協会からの指示を受けて、ヘンダースン調査員が調べたところ、「Madame R**」には、「Baron R**」により、異なる日付(1855年11月1日 / 1855年12月23日 / 1856年1月10日 / 1856年1月25日 / 1856年2月15日)で、異なる保険会社経由、5つの生命保険が掛けられていることが判明した。5つの生命保険の合計は、相当な額となる。

これに不審を感じたヘンダースン調査員は、高額な生命保険金を手に入れるために、「Baron R**」が「Madame R**」を殺害したのではないかと疑う。更に調査を進めたヘンダースン調査員は、「Madame R**」の殺害だけではなく、「Baron R**」が他にも2人を殺害している可能性を突き止める。

完全犯罪のように思われる「Baron R**」による3人の殺害疑惑について、ヘンダースン調査員は、どのように証明するのか?


2015年、大英図書館(British Library)は、1865年に出版された小説版の150周年を記念して、当時の版を使用し、パーパーバック版を一般に販売している。


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