HarperCollinsPublishers から出ている アガサ・クリスティー作「牧師館の殺人」のグラフィックノベル版の表紙 (Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)- ルシアス・プロセロウ大佐が殺害された場所の牧師館と その凶器の拳銃が描かれている。 |
15番目に紹介するアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)によるグラフィックノベル版は、「牧師館の殺人(The Murder at the Vicarage)」(1930年)である。
本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第10作目に該り、ミス・ジェイン・マープルシリーズに属する長編のうち、第1作目に該っている。
HarperCollinsPublishers から出ている アガサ・クリスティー作「牧師館の殺人」のグラフィックノベル版の裏表紙 (Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)- ルシアス・プロセロウ大佐が殺害された時刻である 午後6時20分を表示する時計が描かれている。 |
物語は、ある水曜日の午後、セントメアリーミード村に住む レナード・クレメント牧師、妻のグリゼルダと甥のデニスによる昼食の席から始まる。 |
ある水曜日の午後、牧師館において、レナード・クレメント牧師は、若き妻のグリゼルダ(Griselda)と甥のデニス(Dennis)と一緒に、昼食をとっていた。昼食の席における彼らの話題は、ルシアス・プロセロウ大佐(Colonel Lucius Protheroe)のことでもちきりだった。プロセロウ大佐は、治安判事かつセントメアリーミード村の教区委員で、次の日の午後、牧師館にやって来て、教会の献金袋から盗まれた1ポンド紙幣の件について、クレメント牧師と話し合いをもつことになっていたのである。
セントメアリーミード村の教区委員を務めるルシアス・プロセロウ大佐は、 教会の献金袋から1ポンド紙幣が盗まれた件を問題にしていた。 |
昼食後、ルシアス・プロセロウ大佐の娘であるレティス・プロセロウが、 レナード・クレメント牧師の元を訪れる。 |
彼女によると、セントメアリーミード村に滞在している肖像画家のローレンス・レディング(Lawrence Redding)に対して、父親のプロセロウ大佐は、プロセロウ家の地所であるオールドホール(Old Hall)への出入りを禁じた、とのこと。何故ならば、辺りにプール等がないにもかかわらず、水着姿になっているレティスをモデルにして、ローレンス・レディングが絵を描いている現場を、プロセロウ大佐が偶然見つけたからである。
レティスは、口うるさく、何事にも理解がない父親のプロセロウ大佐について、辟易していた。
アトリエ内でローレンス・レディングと情熱的なキスを交わしていた ルシアス・プロセロウ大佐の妻であるアン・プロセロウに対して、 レナード・クレメント牧師は、軽はずみな関係はできる限り早く終わらせるよう、諭す。 |
クレメント牧師は、アトリエ内でローレンス・レディングとプロセロウ大佐の妻であるアン(Anne)の二人が情熱的なキスを交わしている現場を、偶然見かけてしまう。
クレメント牧師の跡を追って、牧師館の書斎まで追いかけてきたアン・プロセロウに対して、クレメント牧師は、軽はずみな関係はできる限り早く終わらせるよう、諭すのであった。
アトリエ内でアン・プロセロウと情熱的なキスを交わしていたローレンス・レディングに対しても、 レナード・クレメント牧師は忠告を与えるが、ローレンスはクレメント牧師の忠告を全く聞き入れなかった。 |
全く偶然だが、ローレンス・レディングは、その夜、牧師館の夕食に招かれていた。
夕食後、牧師館の書斎において、クレメント牧師は、ローレンス・レディングに対して、厳しく叱責するとともに、できるだけ早く村を立ち去るよう、忠告する。ところが、ローレンス・レディングは、クレメント牧師の忠告を全く受け入れず、「プロセロウ大佐が死んでくれれば、いい厄介払いになる。」とうそぶくと、「自分は、25口径のモーゼル銃を持っている。」と、恐ろしいことを口にするのだった。
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