レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci:1452年ー1519年)の没後500周年を記念して、 2019年に英国のロイヤルメール(Royal Mail)から発行された記念切手(その1) |
読後の私的評価(満点=5.0)
(1)事件や背景の設定について ☆☆☆☆半(4.5)
19世紀の英国で発表されたロバート・ルイス・スティーヴンソン(Robert Louis Stevenson:1850年ー1894年)作「ジキル博士とハイド氏(The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde)」(1886年)やブラム・ストーカー(Bram Stoker)こと、エイブラハム・ストーカー(Abraham Stoker:1847年ー1902年)作「吸血鬼ドラキュラ(Dracula → 2017年12月24日 / 12月26日付ブログで紹介済)」(1897年)と並ぶメアリー・シェリー(Mary Shelley:1797年ー1851年)作「フランケンシュタイン、或いは現代のプロメテウス(Frankenstein; or, the Modern Prometheus.)」(1818年)に登場する人造人間(そのものではないが)が登場し、物語の中盤から終盤にかけて、大きく関与してくる。これに、第一次世界大戦(1914年ー1918年)に端を発する国家の思惑とそれに利用された研究者の狂気がうまく融合して、物語の悲劇度を増している。
レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci:1452年ー1519年)の没後500年を記念して、 2019年に英国のロイヤルメール(Royal Mail)から発行された記念切手(その2) |
(2)物語の展開について ☆☆☆半(3.5)
全く無関係ではないものの、前振りの事件の話にページ数が大きく割かれてしまい、なかなか物語の本筋が始まらず、その分、重要な物語の終盤にページ数があまり割かれていないことになり、やや残念。本筋の展開自体は面白いので、前振りの事件を全面的にカットして、物語を再構成し、終盤の話をうまい具合に膨らませてくれれば、もっと良かったと思う。
(3)ホームズ/ワトスンの活躍について ☆☆☆☆(4.0)
兄マイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)の忠告にもかかわらず、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの二人は、テムズ河(River Thames)岸で発見された人間の手首から始めて、最後には英国政府 / ドイツ政府による戦争犯罪を明らかにし、フランケンシュタインの人造人間による手助けもあり、更なる悲劇を未然に防ぐ。
レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci:1452年ー1519年)の没後500年を記念して、 2019年に英国のロイヤルメール(Royal Mail)から発行された記念切手(その3) |
(4)総合評価 ☆☆☆☆(4.0)
全く無関係ではないものの、やや長過ぎる前振りの事件をうまく整理して、物語の中盤、そして、特に終盤にページ数を割いて、うまく展開してくれれば、もっと面白かったのでないかと考える。メアリー・シェリーによる原作では、主人公のヴィクター・フランケンシュタイン(Victor Frankenstein)は、生命の謎を明らかにしたいという意図の下、人造人間を創り出したが、今回、フランケンシュタインを崇拝するある人物を、戦争に勝利したい英国 / ドイツの両政府がうまく利用しようとしており、原作のストーリーラインに戦争をうまく絡ませることで、物語に更なる厚みを加えるとともに、悲劇性を増している。
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