米国ニューヨークにある Pegasus Books LLC が発行する Pegasus Crime シリーズの一つに加えられている テッド・リッカルディ作「シャーロック・ホームズの東方事件簿」の表紙 (Cover Design by Faceout Studio / Charles Brock) |
サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「最後の事件(The Final Problem)」(1893年)において、1891年5月、スイスのライヘンバッハの滝(Reichenbach Falls)で、シャーロック・ホームズは、犯罪界のナポレオンと呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)と死闘を演じ、二人とも滝壺へと転落して、死亡したものと考えられていた。
ところが、「空き家の冒険(The Empty House)」(1903年)において、1894年4月、ホームズは、ロンドンへと生還し、ジョン・H・ワトスンと再会すると、モリアーティー教授の右腕で、自分をつけ狙っていたセバスチャン・モラン大佐(Colonel Sebastian Moran)に罠を仕掛けて、逮捕する。
ホームズがロンドンを不在にしていた1891年5月から1894年4月までの3年間は、「大空白時代」と呼ばれている。
米国ニューヨークにある Pegasus Books LLC が発行する Pegasus Crime シリーズの一つに加えられている テッド・リッカルディ作「シャーロック・ホームズの東方事件簿」の裏表紙 (Cover Design by Faceout Studio / Charles Brock) |
(1)「The Viceroy’s Assistant」
(2)「The Case of Hodgson’s Ghost」
(3)「The Case of Anton Furer」
(4)「The Case of the French Servant」
(5)「An Envoy to Lhasa」
(6)「The Giant Rat of Sumatra」
(7)「Murder in the Thieves’ Bazaar」
(8)「The Singular Tragedy at Trincomalee」
(9)「The Mystery of Jaisalmer」
9つの事件の前には、ジョン・ワトスンによる序文(10ページ)が、また、9つの事件の後には、彼の後書き(8ページ)が付されている。
これらの事件は、ネパール、インドやセイロン島等が舞台になっている。
6つ目の短編である「スマトラの大ネズミ」は、ホームズシリーズの「語られざる事件」で、コナン・ドイル作「サセックスの吸血鬼(The Sussex Vampire)」において言及されていて、「マティルダ・ブリッグス(Matilda Briggs)事件」に関連しているらしい。
テッド・リッカルディ作「シャーロック・ホームズの東方事件簿」では、1893年の春、船マティルダ・ブリッグス内で発生した事件となっていて、1893年7月、シンガポールに到着したホームズが、そこで事件をしたためた記録として語られている。
本作品のペーパーバック版の刊行時(2011年)、裏表紙の著者説明によると、リッカルディ夫妻は、ニューヨーク、ニューメキシコとネパールの3拠点で生活しているとのことなので、著者の勤務経験や生活・体験等をベースに、上記の事件の舞台が設定されていると言える。
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