2020年4月5日日曜日

法月綸太郎作「法月綸太郎の消息」(The News of Norizuki Rintaro by Rintaro Norizuki)–その1

2019年に講談社から刊行されたハードカバー版
「法月綸太郎の消息」の表紙
     装幀: 坂野公一氏(welle design)
装画 / 装画: yoco 氏

「法月綸太郎の消息(The News of Norizuki Rintaro)」は、推理作家で、アマチュア名探偵を務める法月綸太郎(のりづき りんたろう)シリーズの短編集で、2019年に講談社からハードカバー版で刊行された。
「法月綸太郎の消息」には、以下の4編が収録されている。
(1)「白面のたてがみ」(書き下ろし)ーシャーロック・ホームズ関連
(2)「あべこべの遺書」(講談社新本格30周年アンソロジー「7人の名探偵」ー2017年)
(3)「殺さぬ先の自白」(講談社「メフィスト」 2018 VOL. 3 / 2019 VOL. 1)
(4)「カーテンコール」(講談社「メフィスト」 2018 VOL. 1 / 2018 VOL. 2)ーエルキュール・ポワロ関連

法月綸太郎は、新本格派ミステリー作家の代表的な一人である日本の推理作家 / 評論家で、探偵役と同姓同名の法月綸太郎(1964年ー)氏が生み出したシリーズキャラクターで、著者と同じ推理作家を職業としている。父親は、警視庁捜査一課の法月警視で、父親からの非公式の依頼を受けて、捜査協力をすることが多く、警視庁内でも暗黙の了解事項となっている。

米国の推理作家であるエラリー・クイーン(Ellery Queenー従兄弟同士であるフレデリック・ダネイ(Frederic Dannay:1905年ー1982年)とマンフレッド・ベニントン・リー(Manfred Bennington Lee:1905年ー1971年)の合作)は、著者と同姓同名で、著者と同じ推理作家を職業とするエラリー・クイーン(Ellery Queen)をシリーズキャラクターのアマチュア名探偵として設定している。エラリー・クイーンは、ニューヨーク市警に勤める父リチャード・クイーン(Richard Queen)警視を助けて、数々の難事件を解決していく。

法月綸太郎シリーズは、エラリー・クイーンシリーズをベースにして、日本に置き換えていると言える。

著者の法月綸太郎氏は、1964年島根県松江市出身で、京都大学法学部卒業、京都市在住。京大在学中は、京大推理小説研究会に所属。
法月綸太郎氏は、1988年に「密閉教室」でデビューした後、1989年に著者と同姓同名の法月綸太郎と父親の法月警視が登場するシリーズ第1作「雪密室」を刊行。以降、法月綸太郎は、以下の作品において、推理作家かつアマチュア名探偵を務めている。

<長編>
(1)「雪密室」(講談社ー1989年)
(2)「誰彼(たそがれ)」(講談社ー1989年)
(3)「頼子のために」(講談社ー1990年)
(4)「一の悲劇」(祥伝社ー1991年)
(5)「ふたたび赤い悪夢」(講談社ー1992年)
(6)「二の悲劇」(祥伝社ー1994年)
(7)「生首に聞いてみろ」(角川書店ー2004年)
(8)「キングを探せ」(講談社ー2011年)

<短編集>
(1)「法月綸太郎の冒険」(講談社ー1992年)
(2)「法月綸太郎の新冒険」(講談社ー1999年)
(3)「法月綸太郎の功績」(講談社ー2002年)
(4)「犯罪ホロスコープ I 六人の女王の問題」(祥伝社ー2008年)
(5)「犯罪ホロスコープ Ⅱ 三人の女神の問題」(祥伝社ー2012年)

<番外編>
(1)「リレー小説 吹雪の山荘」(東京創元社ー2008年)

よって、2019年に刊行された「法月綸太郎の消息」は、1989年に刊行された「雪密室」から始まった法月綸太郎シリーズの30周年を記念する一冊となっている。


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