2018年11月4日日曜日

ロンドン ハイゲート墓地(Highgate Cemetery)–その1

ハイゲート墓地の西区画内にある天使の石像が横たわる暮石

米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1939年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)シリーズの長編第11作目に該る「テニスコートの殺人」(The Problem of the Wire Cage→2018年8月12日 / 8月19日付ブログで紹介済)において、フランク・ドランス(Frank Dorrance)の絞殺死体が発見されたテニスコートがあるニコラス・ヤング邸は、ロンドン北西部郊外の高級住宅街ハムステッド地区(Hampstead→2018年8月26日付ブログで紹介済)内にあるという設定になっているが、ハムステッド地区に隣接するハイゲート地区(Highgate)には、観光の名所ともなっているハイゲート墓地(Highgate Cemetery)がある。

スワインズレーンを下って行った先に、
ハイゲート墓地がある
ハイゲート墓地の西区画の入口–
西区画は、現在、ガイドツアーでのみ入園可能

ハイゲート墓地は、ロンドン・カムデン区(London Borough of Camden)のハイゲート地区内にある広大な墓地で、ロンドン市内を囲むように設置された7大墓地(Magnificient Seven)の一つである。

ハイゲート墓地の西区画(その1)
ハイゲート墓地の西区画(その2)
ハイゲート墓地の西区画(その3)

英国の TV 会社 ITV1 が放映したエルキュール・ポワロシリーズ「Agatha Christie’s Poirot」の「ヒッコリーロードの殺人(Hickory Hickory Dock)」(1995年)の回において、物語の最後に、著名な政治家であるサー・アーサー・スタンリー(Sir Arthur Stanley)の葬儀が行われる場面があるが、この場面で撮影に使用された礼拝堂があるブロンプトン墓地(Brompton Cemeteryー2015年9月6日付ブログで紹介済)も、その7大墓地の一つ。

ハイゲート墓地の西区画(その4)
ハイゲート墓地の西区画(その5)
ハイゲート墓地の西区画(その6)

ロンドン市内にある墓地の大部分が教会付属の土地で、各教会の狭い墓地だけでは、死者の埋葬に対処できなくなったこと、それに加えて、市民の健康面への影響等も考慮されて、19世紀前半に7大墓地と呼ばれる広大な墓地が次々と設置されたのである。1850年の法改正により、英国政府に墓地用の土地を収用する権限が付与されている。

エジプト街の入口

ハイゲート墓地については、当初の設計を英国の建築家で、起業家でもあるスティーヴン・ゲアリー(Stephen Geary:1797年ー1854年)が行い、以前ダートマス公園だったハイゲート丘の南斜面を墓地へと造成して、1839年にオープンした。

レバンン回廊(その1)–
映画やTVドラマ等の撮影によく使用されている
レバンン回廊(その2)
レバンン回廊(その3)

ハイゲート墓地がオープンした段階では、ハイゲート丘を南北に延びるスワインズレーン(Swain’s Lane)を挟んで西側にある現在「西区画(West Cemetery)」と呼ばれる部分だけで、この区画内にスティーヴン・ゲアリーが設計したエジプト街(Egyptian Avenue)やレバノン回廊(Circle of Lebanon)等が所在している。

レバンン回廊(その4)
レバンン回廊(その5)
レバンン回廊(その6)

ハイゲート墓地を拡大するため、1865年にスワインズレーンを間に挟んだ東側が追加で購入され、現在「東区画(East Cemetery)」と呼ばれる部分が追加された。以前ダートマス公園だった敷地のうち、残った部分は、現在、ウォーターロー公園(Waterlow Park)となっている。

ライオンの石像が心地良さそうに眠る暮石は、
ライオン等の動物を見世物にして、英国を旅したジョージ・ウーンウェルの墓(西区画)

犬の石像が手前に眠る暮石は、
ヴィクトリア朝時代に人気を博したベアナックル(素手ボクシング)の格闘家であるトム・セイヤーの墓

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