2018年8月5日日曜日

ロンドン グローヴナーストリート12番地(12 Grosvenor Street)

カーター・ディクスン作「ユダの窓」において、
エイヴォリー・ヒューム邸の住所として設定されている
グローヴナーストリート12番地

「ユダの窓(The Judas window)」は、米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が、別のペンネームであるカーター・ディクスン(Carter Dickson)名義で1938年に発表した推理小説で、ヘンリー・メルヴェール卿(Sir Henry Merrivale)シリーズの長編第7作目に該る。当作品は、米国ではモロウ社(Morrow)から、そして、英国ではハイネマン社(Heinemann)から出版された。


亡き母の財産を相続した裕福な若者であるジェイムズ・キャプロン・アンズウェル(James Caplon Answell)は、ある年のクリスマスパーティーにおいて、従兄弟のレジナルド・アンズウェル大尉(Captain Reginald Answell)からメアリー・ヒューム(Mary Hume)を紹介された。直ぐにお互いに惹かれあった二人は、年明けには婚約に至る。1月4日、サセックス州(Sussex)からロンドンのフラットに戻ったジェイムズ・キャプロン・アンズウェルのところに、メアリーの父親で、キャピタルカウンティーズ銀行の元取締役であるエイヴォリー・ヒューム(Avory Hume)から電話があり、同日の夕方、自宅へ招待された。
指定されたその日の午後6時過ぎに、ロンドン市内のヒューム邸を訪れたジェイムズ・キャプロン・アンズウェルは、エイヴォリー・ヒュームが待つ書斎へと案内されるのだが、その後、予想もしない事件が発生して、エイヴォリー・ヒューム謀殺の罪名で逮捕され、起訴されてしまうのである。

グローヴナーストリート12番地の建物全景

カーター・ディクスンの原作上、エイヴォリー・ヒューム邸は、グローヴナーストリート12番地(12 Grosvenor Street)に設定されている。

グローヴナーストリートの南側から
グローヴナースクエア方面を見たところ
グローヴナーストリートの南側から
ニューボンドストリート方面を見たところ

グローヴナーストリート12番地は、実在の住所で、ロンドンの中心部シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)の高級地区メイフェア(Mayfair)内に所在している。
グローヴナーストリートは、グローヴナースクエア(Grosvenor Square→2015年2月22日付ブログで紹介済)から東へ向かって延びる通りで、ニューボンドストリート(New Bond Street→2017年5月21日付ブログで紹介済)にぶつかって終わっている。

グローヴナーストリート12番地の Ground Floor には、
現在、画廊が入居しており、上階はオフィスビルとなっている
(オフィス部分には、グローヴナーストリート10番地の入口から入る模様)

グローヴナーストリート12番地自体は、ディヴィスストリート(Davies Street)とニューボンドストリートに挟まれた通り(=グローヴナーストリート)の北側に建っている。以前、Ground Floor でカフェが営業していたが、数年前に改装されて、現在は画廊になっている。

グローヴナーストリート12番地の左隣りの建物が、
カーター・ディクスンの原作上、
ランドルフ・フレミング邸として設定されている

カーター・ディクスンの原作では、エイヴォリー・ヒューム邸の左隣りには、彼の友人で、アーチェリー愛好者でもあるランドルフ・フレミング(Randolph Fleming)が住む家が建っていることになっているが、ランドルフ・フレキング邸に該る建物も、現在は、オフィスビルになっているようである。
また、原作上、エイヴォリー・ヒューム邸とランドルフ・フレミング邸の間に、路地があることになっているが、現在、建物は完全に隣り合っており、路地は存在していない。

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