2018年5月27日日曜日

ロンドン ホルボーン高架橋(Holborn Viaduct)−その1


ホルボーン高架橋の全景写真–
ホルボーン高架橋の下を潜る通りは、画面奥までがファリンドンロードで、
画面手前からファリンドンストリートへと名前を変える

米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が、別のペンネームであるカーター・ディクスン(Carter Dickson)名義で発表した長編第2作目で、ヘンリー・メルヴェール卿(Sir Henry Merrivale)が探偵役を務める長編第1作目となる「黒死荘の殺人(The Plague Court Murder→2018年5月6日 / 5月12日付ブログで紹介済)」では、降霊会の最中、黒死荘の庭に建つ石室内において、心霊学者のロジャー・ダーワース(Roger Darworth)が血の海の中で無残にも事切れていた。石室は厳重に戸締りされている上に、石室の周囲には、足跡が何も残されていなかった。それに加えて、殺害されたロジャー・ダーワースの傍らには、前日の午後、ロンドン博物館から盗まれた曰く付きの短剣が真っ赤な血に染まって残されていたのである。

ホルボーン高架橋の南側(東サイド)に設置されている
「農業(Agriculture)の女神」

創元推理文庫版「黒死荘の殺人」(南條竹則氏 / 高沢治氏訳)によると、

『その時タクシーがスピードを落として停まった。そこにハリディ(ディーン・ハリディ(Dean Halliday)ー黒死荘の現当主)の笑い声が重なる。運転手は、ガラスの仕切りを押しのけ、こちらを向いた。
「だんな、ニューゲートストリートの角ですが、どうします?」
我々は料金を払い、車を降りてその場を見回した。建物はみな、夢の中で経験するように、見上げるばかりに高く歪んで見える。はるか後方にホルボーン高架橋のぼんやりとした灯りが浮かび、聞こえるものといえば、夜の車のかすかな警笛と寂しい雨音だけだった。』

と記されており、黒死荘へと向かうべく、ニューゲートストリート(Newgate Street→2018年5月19日付ブログで紹介済)の角で、タクシーを降りたディーン・ハリディ、本編の語り手であるケン・ブレーク(Ken Blake)とスコットランドヤードのハンフリー・マスターズ主任警部(Chief Inspector Humphery Masters)の3人が振り返ると、遥か後方にホルボーン高架橋(Holborn Viaduct)のぼんやりとした灯りが闇夜に浮かんでいた訳である。

ホルボーン高架橋の南側(西サイド)に設置されている
「商業(Commerce)の女神」

ホルボーン高架橋は、ロンドンの経済活動の中心地であるシティー・オブ・ロンドン(City of London)内に所在し、ロンドン・イズリントン区(London Borough of Islington)とロンドン・カムデン区(London Borough of Camden)を東西に分けて、南北に延びるファリンドンロード(Farringdon Road→2017年1月7日付ブログで紹介済)の上を横切る高架橋である。

ホルボーン高架橋の北側(西サイド)に設置されている
「芸術(Fibe Art)の女神」

ファリンドンロードは、ホルボーン高架橋の下を過ぎると、ファリンドンストリート(Farrindon Street→2017年1月7日付ブログで紹介済)へと名前を変えて、テムズ河(River Thames)へと向かい、南に下って行く。

ホルボーン高架橋の北側(東サイド)に設置されている
「科学(Science)の女神」

ロンドン・カムデン区(北側)とシティー・オブ・ロンドン(南側)に跨がるホルボーンサーカス(Holborn Circus)から、ホルボーン高架橋の名前に因んだホルボーン高架橋通り(Holborn Viaduct)が東へと延び、ホルボーン高架橋を通り、シティー・オブ・ロンドンの中心部へと向かって行く。ホルボーン高架橋通りは、南北に延びるオールドベイリー通り(南側:Old Baileyー中央刑事裁判所(Central Criminal Court→2016年1月17日付ブログで紹介済)が建っている通り) / ギルップールストリート(Giltspur Street)と交差した後、ニューゲートストリートへと名前を変える。

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