アレクサンドラコートの正面全景 |
アガサ・クリスティー作「ひらいたトランプ(Cards on the Table)」(1936年)は、エルキュール・ポワロが謎多き裕福な蒐集家であるシャイタナ氏(Mr Shaitana)からブリッジパーティーへの招待を受けるところから、物語が始まる。「まだ告発されていない殺人犯を招いた上でのパーティーだ。」と言うシャイタナ氏の趣旨に興味を覚えたポワロは、パーティーへの参加を決める。
入口門の左側に架けられている表示 |
シャイタナ氏の自宅で行われたパーティーに招待されたのは、以下の8人だった。
(1)探偵組
*エルキュール・ポワロ
*バトル警視(Superintendent Battle)ースコットランドヤードの警察官
*レイス大佐(Colonel Race)ー秘密情報局の情報部員
*アリアドニ・オリヴァー夫人(Mrs Ariadne Oliver)ー女流推理作家
(2)容疑者組
*ロバーツ医師(Dr Roberts)ー成功をおさめた中年の医師
*ロリマー夫人(Mrs Lorrimer)ーブリッジ好きな初老の女性
*デスパード少佐(Major Despard)ー未開地を探索する探検家
*アン・メレディス(Anne Meredith)ー内気で若く麗しい女性
アレクサンドラコート前のクイーンズゲート通り |
食事の最中、シャイタナ氏はパーティーの出席者に対して、謎めいた告発を行う。そして、食事が済むと、容疑者組の4人はメインルーム(客間)で、また、探偵組の4人は別の部屋でブリッジを始めることとなった。シャイタナ氏はメインルームの暖炉の側に置かれた椅子を自分の居場所として、ブリッジへの参加を辞退する。
ブリッジが終わり、ポワロとレイス大佐がシャイタナ氏に暇を告げようとした際、彼らはシャイタナ氏が彼の蒐集品であるナイフで胸を刺されて死んでいるのを発見する。
果たして、シャイタナ氏が謎めいた告発をした対象の人物は誰だったのか?そして、その人物がシャイタナ氏を刺殺したのだろうか?
名探偵、警察官や情報部員等が同席しているパーティーの最中、大胆にも行われた犯行を解き明かすべく、ポワロの灰色の脳細胞が、ブリッジの点数表の内容にその糸口を見いだすのであった。
クイーンズゲート通りから見上げたアレクサンドラコート |
英国のTV会社ITV1で放映されたポワロシリーズ「Agatha Christie's Poirot」の「ひらいたトランプ」(2006年)の回では、シャイタナ氏を殺害した犯人を突き止めようとする探偵組4人のうちの一人であるアリアドニ・オリヴァー夫人が住むフラットの外観として、「アレクサンドラコート(Alexandra Court)」が撮影に使用されている。
クイーンズゲート通りの北側突き当たりにある ケンジントンガーデンズのクイーンズゲート― 手前の通りはケンジントンロード |
クイーンズゲートのアップ |
アレクサンドラコートは、ケンジントン&チェルシー王立区(Royal Borough of Kensington and Chelsea)のブロンプトン地区(Brompton)内にあり、(1)地下鉄ナイツブリッジ駅(Knightsbridge Tube Station)から地下鉄ハイストリートケンジントン駅(High Street Kensington Tube Station)へ向かって西に延びるケンジントンロード(Kensington Roadーハイドパーク/ケンジントンガーデンズ(Hyde Park / Kensington Gardens)の南側を通る)と(2)地下鉄ナイツブリッジ駅からヴィクトリア&アルバート博物館(Victoria and Albert Museum)/自然史博物館(Natural History Museum)の前を通って南西に延びるクロムウェルロード(Cromwell Road)を南北に結ぶクイーンズゲート通り(Queen's Gate)沿いに建っている。この通りの北側突き当たりに、ケンジントンガーデンズのクイーンズゲートがあるため、その名前に因んで、クイーンズゲート通りと名付けられたものと思われる。
エキシビションロード沿いに建つインペリアル カレッジ ロンドン |
アレクサンドラコートの住所は「171 - 175 Queen's Gate, London SW7 5HG」で、クイーンズゲート通りの東側中間辺りに位置している。アレクサンドラコートからは、自然史博物館、その北側にあるインペリアル カレッジ ロンドン(Imperial College London)やアルバートホール(Albert Hall)等を望むことが可能。観光客や学生等で騒がしい場所ではあるが、騒がしいのは、自然史博物館の東側を南北に走るエキシビションロード(Exhibition Road)辺りまでで、自然史博物館の西側のクイーンズゲート通りから高級住宅街が始まるので、日中でも非常に閑静な場所である。
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