2025年12月12日金曜日

そして誰もいなくなった」の世界 <ジグソーパズル>(The World of ‘And Then There Were None’ )- その23

英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に発行されている「「そして誰もいなくなった」の世界(The World of ‘And Then There Were None’)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」(1939年)の登場人物や同作品に関連した47個にわたる手掛かりについて、引き続き、紹介したい。


ヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、
兵隊島に建つ邸宅内のキッチンにおいて、
お湯を沸かすために、薬缶に水を入れようとしている。
<筆者撮影>

ヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、
赤地に白い斑点があるスカーフを頭に巻き、サングラスをかけて、水着姿で砂浜に座っている。
<筆者撮影>


今回は、ヴェラ・エリザベス・クレイソーン(Vera Elizabeth Claythorne / 体育教師(games mistress)→ 2025年10月21日付ブログで紹介済)に関連した3個の手掛かりが、その対象となる。


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に出ている
ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」(1000ピース)


(32)海草(A ribbon of seaweed)


兵隊島に建つ邸宅の2階にある
ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の天井から、海草がぶら下がっている。
<筆者撮影>


他の招待客達が朝食の後片付けをしている最中、食堂に一人残っていたエミリー・キャロライン・ブレント(Emily Caroline Brent / 信仰心の厚い老婦人 → 2025年10月29日付ブログで紹介済)が、青酸カリが入った皮下注射器を首筋に刺されて、5番目の犠牲者となった日の夜、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、男性の招待客4人を応接間に残して、自分の部屋へ戻る。自分の部屋に入った時、じっとり湿った冷たい手が喉に触れた感じを覚えた彼女は、叫び声を上げた。応接間から男性の招待客4人が駆け付けたところ、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンが溺死者の手だと思ったのは、天井からぶら下がっている海草だった。


六時二十分になった。ヴェラはそこに座っていることに、もう耐えられなかった。部屋にもどって、ずきずきする頭とこめかみを冷たい水でひやそう。

立ちあがって、ドアに向かって歩きだした。,

思いだしてもどり、箱からローソクを一本取る。ローソクに火をつけて、蠟を小皿にたらす。それにローソクをしっかり立てる。そして部屋を出て、男性四人を室内に残してドアを閉めた。ヴェラは階段をのぼり、自分の部屋に向かって廊下を歩いた。

ドアを開けたとたん、ヴェラは足をとめ、じっと立った。

小鼻がヒクヒクふるえた。

海 … セント・トリデニックの海のにおい。

そう、あのにおいだわ。間違えるはずがない。そりゃあ、ここは島なんだから、海のにおいはもちろんする。でも、このにおいは違う。これは、あの日、あの海岸でかいだにおい - 潮が引いて、岩に張りついた海草が、日に焼かれて乾いていた。


<中略>


そう、そうよ - 確かだわ - ヒューゴーは、すぐそばにいるのかしら。いえ、そうじゃない。部屋の中で待っている … 。

ヴェラは一歩入った。窓から流れこんだすきま風が、ローソクの炎をとらえた。炎が揺れて、消えた … 。

真っ暗になり、とたんにヴェラはこわくなった … 。

”ばかな”と、ヴェラ・クレイソーンは自分をしかった。”大丈夫にきまっているでしょ。ほかの人たちは一階にいる。四人全員が一緒にいる。この部屋には誰もいないのよ。いるはずがない。自分で勝手に想像しているだけよ”

しかし、あのにおい - セント・トリデニックの海岸のにおい … あれは、想像じゃない。本物だ。

それに、部屋の中に誰かいる … 音がした - たしかに音がした … 。

耳をすまして、そこに立っていると - じっとり湿った冷たい手が、ヴェラの喉に触れた - 海のにおいのする、濡れた手が … 。


ヴェラは悲鳴を上げた。悲鳴を上げ続けた - あまりの恐ろしさに、助けを求めて、必死で叫び続けた。

イスが倒れ、ドアが開いた。男たちが階段を駆けのぼってくる。だがヴェラの耳には、下の音は聞こえなかった。ヴェラの頭にはすさまじい恐怖しかない。

そのときドアのむこうの廊下で明かりがまたたいて、ヴェラは正気を取りもどした - ローソクだ - 男たちが部屋に駆けこんできた。

「いったい、どうした」「なにがありましたか」「なんだ、どうした」

ヴェラは身体をふるわせて、一歩前に出た。そして床に倒れた。

ヴェラはなにをされているのか、ぼんやりとしかわからなかった。誰かがかがみこんで、ヴェラの頭を膝の間に押しつけている。脳貧血を起こしたヴェラの頭に、血をもどそうとしているのだ。

そして突然、「おい、あれを見ろ!」と、叫ぶ声がした。ヴェラの意識がはっきりした。目を開けて、頭を持ちあげた。ローソクを持つ男たちが見ているものが、目に入った。

天井から幅の広い海草がヒラヒラとぶらさがっている。ヴェラがじっとり冷たい手を思ったのは - 自分を絞め殺そうとしてよみがえった溺死者の手と思ったのは、海草だった!

(青木 久惠訳)


(39)ロープ(A coil of rope)


兵隊島に建つ邸宅の2階にある
ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋のクローゼット(右側)の上に、ロープの束が置かれている。
<筆者撮影>


海岸において、エドワード・ジョージ・アームストロング(Edward George Armstrong / ロンドン・ハーリーストリート(Harley Street → 2015年4月11日付ブログで紹介済)の開業医  → 2025年10月31日付ブログで紹介済)の溺死体を発見したヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、フィリップ・ロンバード(Philip Lombard / 元陸軍中尉(Lieutenant))から拳銃を奪い取ると、彼が飛び掛かった際、反射的に引き金を引いて、彼の心臓を打ち抜いてしまう。

生き残った彼女は、邸宅に戻ると、自分の部屋へ行き、天井のフックからぶら下がっているロープの輪で、自ら首を括って、自殺を遂げるのであった。


なお、ロープについては、物語の中盤、フィリップ・ロンバード、エドワード・ジョージ・アームストロングとウィリアム・ヘンリー・ブロア(William Henry Blore /元警部(Detective Inspector)→ 2025年11月2日付ブログで紹介済)の3人が、兵隊島(Soldier Island → 2025年10月19日付ブログで紹介済)に潜んでいる自分達以外の第三者を見つけ出すために、島内を捜索する際にも、使用している。


兵隊島は、
ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」の左下の角に置かれている。
<筆者撮影>


ヒューゴーが二階でわたしを待っている …。

”小さな兵隊さんがあとに残されたら”最後の行はなんだったかしらね。結婚がどうとかだった - 違ったかな。

部屋の前まで来ていた。中でヒューゴーが待っている … 絶対にそうだ。

ヴェラはドアを開けた … 。

思わず、息をのんだ … 。

あれは、なに - 天井のフックからぶらさがっているのは - ロープ - しかも、先にちゃんと輪に届くように、イスが置いてある - あのイスをければ … 。

ヒューゴーは、そうしてほしいと思っているのか … 。

そして、そう、それが童謡の最後の行だった。

”自分で首をくくって、そして、誰もいなくなった … 。

小さな陶器の人形が、ヴェラの手から落ちた。ヴェラは気がつかない。人形はそのままコロコロ転がって、暖炉の椅子に当たって割れた。

ヴェラはロボットのように前に進んだ。ここで、終わりなんだわ - 喉に濡れて冷たい手(もちろん、シリルの手だ)が触れた場所で … 。

”シリル、岩まで泳いでいいわよ …”

人を殺すなんて、あれだけのこと - わけなかった!

でも、そのあと、いつまでも思い出す - 忘れられない … 。

ヴェラはイスの上に上がった。前を見つめる目は、夢遊病者の目だった … 輪に首を入れた。

ヒューゴーがそこで見守っている - ヴェラがすべきことをするのを -

ヴェラはイスをけった。

(青木 久惠訳)


(44)ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの水着(Vera’s bathing dress)


兵隊島に建つ邸宅の2階にある
ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の椅子(右側)の肘掛け部分に、水着が掛けられている。
<筆者撮影>


他の招待客達が朝食の後片付けをしている最中、食堂に一人残っていたエミリー・キャロライン・ブレントが、青酸カリが入った皮下注射器を首筋に刺されて、5番目の犠牲者となった日の午後、残された5人の招待客達は、身体と部屋のチェックを、順次行った。

ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの場合、持参した水着を着て、部屋を出ると、男性の招待客4人が室内を捜索している間、部屋の外で待っていた。


「ご満足ですか」と、ロンバードがきいた。

彼は裸だった。身体も部屋も、ほかの三人によってくまなく調べられた。ヴェラ・クレイソーンは廊下に出て、待っていた。

捜索は整然と進められた。アームストロング、判事、ブロアも代わるがわる、同じ検査を受けた。

四人の男性はブロアの部屋を出て、ヴェラのところに行った。話したのは判事だった。

「クレイソーンさん、理解してもらえると思うが、例外は作れない。なんとしてもピストルを見つけなければならない。水着を持参していると思うが -」

ヴェラはうなずいた。

「では、部屋に入って水着を着て、ここに出てきてもらえないだろうか」

ヴェラは部屋に入って、ドアを閉めた。一分もしないうちに、ぴったりした絹の水着姿で出てきた。

判事は満足そうにうなずいた。

「すまないね、クレイソーンさん。では、われわれが部屋を調べるから、あんたはここで待っていてください」

ヴェラは、廊下でしんぼう強く待っていた。やがて男性たちが出てきた。ヴェラはまた部屋に入り、着替えをした。そして、待っている四人のところに戻ってきた。

(青木 久惠訳)


1930年代後半の8月のこと、英国デヴォン州(Devon)の沖合いに浮かぶ兵隊島に、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンを含め、年齢も職業も異なる8人の男女が招かれる。彼らを島で迎えた執事と料理人の夫婦は、エリック・ノーマン・オーウェン氏(Mr. Ulick Norman Owen)とユナ・ナンシー・オーウェン夫人に自分達は雇われていると招待客に告げる。しかし、彼らの招待主で、この島の所有者であるオーウェン夫妻は、いつまで待っても、姿を現さないままだった。


招待客が自分達の招待主や招待状の話をし始めると、皆の説明が全く噛み合なかった。その結果、招待状が虚偽のものであることが、彼らには判ってきた。招待客の不安がつのる中、晩餐会が始まるが、その最中、招待客8人と執事 / 料理人夫婦が過去に犯した罪を告発する謎の声が室内に響き渡る。

ヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、シリル・オギルヴィー・ハミルトン(Cyril Ogilvie Hamilton - 家庭教師をしていた子供)を殺害したと告発されたのである。


招待客が兵隊島に到着した日の晩餐会において、
謎の声(オーウェン氏)による告発により、招待客8人と執事 / 料理人夫婦が戦慄する場面 -

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」の
グラフィックノベル版(→ 2020年9月13日付ブログで紹介済)から抜粋。


そして、物語が進み、童謡「10人の子供の兵隊(Ten Little Soldiers → 2025年11月15日付ブログで紹介済)」に準えて、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、最後の被害者となる。


One little soldier boy left all alone; He went and hanged himself … And then there were None.

(1人の子供の兵隊さんが、後に残された。彼は自分で首を括って、そして、誰もいなくなった。)


ヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、天井のフックからぶら下がっているロープの輪で、

自ら首を括って、自殺を遂げる。その際、最後の人形が、彼女の手から落ちる。-

Harper Collins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。
グラフィックノベル版の内容は、原作通り。


*被害者:ヴェラ・エリザベス・クレイソーン

*告発された罪状:シリル・オギルヴィー・ハミルトンを殺害したと告発された。

ヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、シリル・オギルヴィー・ハミルトンに対して、彼が望む通り、岩まで泳がせたのである。また、溺れた彼を助けようと、彼女は、彼の後を追ったものの、泳いでいるふりをした。

シリル・オギルヴィー・ハミルトンが溺死した後、ヒューゴ(Hugo - シリル・オギルヴィー・ハミルトンの叔父 / 事件当日、外出していた)は、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンに対して、見ず知らずの他人を見るような視線を向けた。その後、ヒューゴとヴェラ・エリザベス・クレイソーンの恋愛関係は、終わりを迎えている。

*犯罪発生時期:1935年8月11日


フィリップ・ロンバード(Philip Lombard)を射殺した後、

屋敷に戻ったヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、食堂に立ち寄り、

テーブルの上に置かれた3体の人形のうち、2体を取って、窓から外へ放り投げる。

そして、3体目の人形を手に取る。-

Harper Collins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。
グラフィックノベル版の内容は、原作通り。


*死因:絞首(縊死)

ヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、天井のフックからぶら下がっているロープの輪で、自ら首を括って、自殺を遂げる。その際、最後の人形が、彼女の手から落ちる。


2025年12月11日木曜日

そして誰もいなくなった」の世界 <ジグソーパズル>(The World of ‘And Then There Were None’ )- その22

英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に発行されている「「そして誰もいなくなった」の世界(The World of ‘And Then There Were None’)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」(1939年)の登場人物や同作品に関連した47個にわたる手掛かりについて、引き続き、紹介したい。


ジグソーパズルの下段のやや右側に、
ファイティングポーズをとる正装姿のウィリアム・ヘンリー・ブロアが、赤枠で囲まれている。
<筆者撮影>


兵隊島に建つ邸宅の玄関の右側にある階段の前で、
正装して、ファイティングポーズをとるウィリアム・ヘンリー・ブロアの姿が見られる。
<筆者撮影>


今回は、ウィリアム・ヘンリー・ブロア(William Henry Blore /元警部(Detective Inspector)→ 2025年11月2日付ブログで紹介済)に関連した1個の手掛かりが、その対象となる。


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に出ている
ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」(1000ピース)


(34)熊の形をした大理石の時計(A bear-shaped marble clock)


兵隊島に建つ邸宅の2階にある
ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋にある暖炉の上に、
熊の形をした大理石の時計が置かれている。
<筆者撮影>


ヴェラ・エリザベス・クレイソーン(Vera Elizabeth Claythorne / 体育教師(games mistress)→ 2025年10月21日付ブログで紹介済)の部屋にある暖炉の上に置かれていた熊の形をした大理石の時計が、ウィリアム・ヘンリー・ブロアの頭上に落下して、頭蓋骨骨折により、彼は死亡する。


立ちあがったヴェラは落ち着きなく、部屋の中を歩きまわった。

文句のつけようのない、すばらしい寝室だった。隅から隅まで、モダンなインテリアで飾られている。つやのある寄せ木細工の床に敷かれた、オフ・ホワイトのカーペット - 淡い色合いの壁 - ライトに囲まれた細長い鏡。マントルピースに、置き物が一つだけのっていた。クマのような形をした、大きな白大理石製の現代風の彫刻だった。時計がはめこんである。

(青木 久惠訳)


ヴェラは突然身体を起こして、大声を出した。

「あれはなに。まさか、地震じゃないわね」

「いや、そんなことはない。でも、変だな - 地響きがしたぞ。それに - きみ、叫び声のような音が聞こえなかったかい。ぼくには聞こえた」

二人は、屋敷のほうをじっと見あげた。

「あっちから聞こえたな。行ってみよう」と、フィリップは言った。

「いやよ。わたしは行きません」

「好きなようにしたまえ。ぼくは行く」

ヴェラはしかたなく、あきらめたように言った。

「わかったわ。一緒に行くわよ」

二人は屋敷めざして、坂をのぼった。テラスは明るい日に照らされて、なにごともなく静かだった。二人はそこで、ちょっとためらった。そして玄関から入らずに、建物のまわりを用心しながらまわりだした。

ブロアが見つかった。東側の石のテラスで大の字になって倒れ、頭を大きな白大理石の固まりで打ち砕かれていた。

フィリップが上を見あげた。

「この上の窓は、誰の部屋だい」

ヴェラが低い、ふるえる声で答えた。

「わたしの部屋よ - それに、あれはマントルピースに置いてあった時計じゃないかしら … そう言えば、思いだした。それは - クマみたいな形をしていた」

ヴェラは声を激しくふるわせて、言葉をくり返した。

「そうよ、クマの形をしていたわ …」

(青木 久惠訳)


1930年代後半の8月のこと、英国デヴォン州(Devon)の沖合いに浮かぶ兵隊島に、ウィリアム・ヘンリー・ブロアを含め、年齢も職業も異なる8人の男女が招かれる。彼らを島で迎えた執事と料理人の夫婦は、エリック・ノーマン・オーウェン氏(Mr. Ulick Norman Owen)とユナ・ナンシー・オーウェン夫人に自分達は雇われていると招待客に告げる。しかし、彼らの招待主で、この島の所有者であるオーウェン夫妻は、いつまで待っても、姿を現さないままだった。


招待客が自分達の招待主や招待状の話をし始めると、皆の説明が全く噛み合なかった。その結果、招待状が虚偽のものであることが、彼らには判ってきた。招待客の不安がつのる中、晩餐会が始まるが、その最中、招待客8人と執事 / 料理人夫婦が過去に犯した罪を告発する謎の声が室内に響き渡る。

ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、ジェイムズ・スティーヴン・ランドー(James Stephen Landor)を死に至らせたと告発された。


招待客が兵隊島に到着した日の晩餐会において、
謎の声(オーウェン氏)による告発により、招待客8人と執事 / 料理人夫婦が戦慄する場面 -

Harper Collins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」の
グラフィックノベル版(→ 2020年9月13日付ブログで紹介済)から抜粋。


そして、物語が進み、童謡「10人の子供の兵隊(Ten Little Soldiers → 2025年11月15日付ブログで紹介済)」に準えて、ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、8番目の被害者となる。


兵隊島に建つ邸宅の2階にある
ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の壁(画面左側)には、
童謡「10人の子供の兵隊」が書かれた額が掛けられている。
アガサ・クリスティーの原作によると、厳密には、
童謡「10人の子供の兵隊」が書かれた額は、
暖炉の上に置かれた熊の形をした大理石の時計の上の壁に掛けられているのが正しい。
<筆者撮影>


Three little soldier boys walking in the zoo; A big bear hugged one and then there were Two.

(3人の子供の兵隊さんが、動物園内を歩いていた。一人が大きな熊に抱き締められて、残りは2人になった。)


東側の石のテラスにおいて、ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、

大の字になって倒れており、頭を大きな白大理石の固まりで打ち砕かれていた。

それは、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の暖炉の上に置かれていた熊の形をした時計だった。-

Harper Collins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。


*被害者:ウィリアム・ヘンリー・ブロア

*告発された罪状:ジェイムズ・スティーヴン・ランドーを死に至らせたと告発された。

ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、ロンドン商業銀行が襲われた事件の捜査を担当しており、ジェイムズ・スティーヴン・ランドーを犯人として逮捕。その実績を買われて、ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、昇進を果たしている。なお、ジェイムズ・スティーヴン・ランドーは、終身刑となり、1年後にダートムーア刑務所で死亡。

*犯罪発生時期:1928年10月10日


その日の午前中、フィリップ・ロンバードの提案に基づき、

残った3人は、兵隊島の一番高いところから、鏡で日光を反射させて、対岸へ信号を送る努力を続けた。

午後2時になると、腹をすかしたウィリアム・ヘンリー・ブロアは、屋敷へと戻る。

フィリップ・ロンバードとヴェラ・エリザベス・クレイソーンの2人は、そのまま残る。-

Harper Collins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。


*死因:熊の形をした時計の落下による頭蓋骨骨折

フィリップ・ロンバード(Philip Lombard / 元陸軍中尉 → 2025年10月28日付ブログで紹介済)とヴェラ・エリザベス・クレイソーンの2人が屋敷に戻ると、東側の石のテラスにおいて、ウィリアム・ヘンリー・ブロアは、大の字になって倒れており、頭を大きな白大理石の固まりで打ち砕かれていた。それは、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の暖炉の上に置かれていた熊の形をした時計だった。


2025年12月10日水曜日

エルキュール・ポワロの世界 <ジグソーパズル>(The World of Hercule Poirot )- その17A

英国の Harper Collins Publishers 社から以前に出版されていた
アガサ・クリスティー作「エンドハウスの怪事件」の
ペーパーバック版の表紙 -

ニック・バックリーが住む古びた屋敷であるエンドハウスを

イメージしているものと思われる。


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている「エルキュール・ポワロの世界(The World of Hercule Poirot)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているエルキュール・ポワロシリーズの登場人物や各作品に関連した112個の手掛かりについて、引き続き、紹介したい。

前回に引き続き、各作品に出てくる登場人物、建物や手掛かり等が、その対象となる。


ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の完成形
<筆者撮影>


(32)腕時計(wristwatch)



ジグソーパズルの下段中央の左手にあるテーブルの左端に、腕時計が置かれている。


(33) 遺言書(will)



ジグソーパズルの中段の一番左手にあるテーブルの上に、遺言書が一番下に置かれている。


これらから連想されるのは、アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1932年に発表した「エンドハウスの怪事件(Peril at End House → 2024年7月13日 / 7月21日 / 7月25日付ブログで紹介済)」である。

「青列車の謎」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第12作目に、そして、エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)シリーズの長編としては、第6作目に該っている。

なお、「エンドハウスの怪事件」の場合、出版社によっては、「邪悪の家」という邦題を使用しているケースあり。


ちなみに、作者のアガサ・クリスティーは、自伝において、「『エンドハウスの怪事件』もまた、まるで印象に残っていない長編で、それを書いていた時のことさえ思い出せない。」と綴っている。


「エンドハウスの怪事件」は、「コーニッシュ リヴィエラ(Cornish Riviera)」と呼ばれるコンウォール州(Cornwall)のセントルー村(St. Loo - 架空の場所)が、舞台となる。


セントルー村に近いマジェスティックホテル(Majestic Hotel)のテラスにおいて、エルキュール・ポワロは、相棒で、友人でもあるアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings → 2025年10月12日付ブログで紹介済)と一緒に、優雅な休暇を楽しんでいた。


エルキュール・ポワロは、
ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の中央に立っている。
<筆者撮影>


アーサー・ヘイスティングス大尉は、
ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の中央に立つ
エルキュール・ポワロの左斜め後ろに居る。

<筆者撮影>


なお、マジェスティックホテルについても、架空のホテルで、実際には、デヴォン州(Devon)のトーキー(Torquay → 2023年9月1日 / 9月4日付ブログで紹介済)内に所在するインペリアルホテル(Imperial Hotel → 2015年1月10日付ブログで紹介済)が、そのモデルとなっている。


インペリアルホテルの建物正面外観
<筆者撮影>


インペリアルホテルの下にある展望台から見たトーベイ湾(Torbay)
<筆者撮影>


一方、新聞では、世界一周飛行に挑戦中の飛行家であるマイケル・シートン大尉( Captain Michael Seton)が、太平洋上で行方不明になっていることを伝えていた。


画面右手前が、ポワロとヘイスティングス大尉が宿泊しているホテル マジェスティックで、
画面左手奥に、ニック・バックリーが住むエンドハウスが建っている。
-

Harper Collins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「エンドハウスの怪事件」の
グラフィックノベル版(→ 2020年12月6日付ブログで紹介済)から抜粋。


テラスから庭へと通じる階段でポワロが足を踏み外したところ、丁度運良くそこに通りかかったニック・バックリー(Nick Buckley - 本名:マグダラ・バックリー(Magdala Buckley))に助けられ、事なきを得る。

彼女は、ホテルからほんの目と鼻の先にある岬の突端に立つやや古びた屋敷エンドハウス(End House)の若き女主人であった。

また、彼女は、父のフィリップ(Philip)と母のエイミー(Amy)を早くに亡くしており、祖父のサー・ニコラス・バックリー(Sir Nicholas Buckley)に育てられた。そのため、祖父が「Old Nick」、そして、彼女自身が「Young Nick」と呼ばれ、彼女は、「ニック」と言う愛称を得たのである。


ホテル マジェスティックにおいて出会ったニックから、
ポワロとヘイスティングス大尉は、彼女が3日間に3度も命拾いをしたことを聞く。
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Harper Collins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「エンドハウスの怪事件」のグラフィックノベル版から抜粋。


ニック・バックリーがポワロを助けた後、蜂か何かが彼女の頭の方に飛んで来たようで、彼女はそれを追い払う仕草をする。

ポワロ達と少し話をした後、ニック・バックリーはエンドハウスへと帰ったが、彼女はそれまでかぶっていた日除け帽子をテラスのテーブルの上に忘れて行った。ポワロが残された帽子を手に取ってみると、帽子のつばには穴があいており、その上、近くには弾丸が落ちていたのである。と言うことは、ニック・バックリーが蜂による一刺しだと思ったのは、実際には、銃による狙撃だったのだ!


2025年12月9日火曜日

そして誰もいなくなった」の世界 <ジグソーパズル>(The World of ‘And Then There Were None’ )- その21

英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に発行されている「「そして誰もいなくなった」の世界(The World of ‘And Then There Were None’)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」(1939年)の登場人物や同作品に関連した47個にわたる手掛かりについて、引き続き、紹介したい。


ジグソーパズルの下段の中央に、
首の後ろに右手を当てているエドワード・ジョージ・アームストロング医師が、赤枠で囲まれている。
<筆者撮影>

赤枠で囲まれたエドワード・ジョージ・アームストロング医師の右斜め上には、
兵隊島に建つ邸宅の玄関から外へと出て、テラスを降りた後、
彼が走り去る姿が見られる。
<筆者撮影>


今回は、エドワード・ジョージ・アームストロング(Edward George Armstrong / ロンドン・ハーリーストリート(Harley Street → 2015年4月11日付ブログで紹介済)の開業医  → 2025年10月31日付ブログで紹介済)に関連した3個の手掛かりが、その対象となる。


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に出ている
ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」(1000ピース)


(34)割れた窓ガラス(A broken window)


兵隊島(Soldier Island → 2025年10月19日付ブログで紹介済)に建つ邸宅の1階にある食堂の隣室に、
招待客8人と執事 / 料理人夫婦が過去に犯した罪を告発するレコードがセットされた蓄音機が置かれている。
そして、蓄音機が置かれている部屋の窓ガラスが割れている。

アガサ・クリスティーの原作によると、
蓄音機が置かれていたのは、厳密には、応接間の隣室である。
また、割れていたのは、食堂の窓ガラスである。
<筆者撮影>


応接間において、裁判官の服装をして、額に銃弾を受けていたローレンス・ジョン・ウォーグレイヴ(Lawrence John Wargrave / 高名な元判事) → 2025年10月20日付ブログで紹介済)が発見された日の夜中、エドワード・ジョージ・アームストロングが自分の部屋から姿を消してしまう。

フィリップ・ロンバード(Philip Lombard / 元陸軍中尉 → 2025年10月28日付ブログで紹介済)とウィリアム・ヘンリー・ブロア(William Henry Blore / 元警部(Detective Inspector)→ 2025年11月2日付ブログで紹介済)の2人が、エドワード・ジョージ・アームストロングの行方を捜索するため、邸宅の外へ向かったものの、彼を発見することはできなかった。彼ら2人が見つけたのは、食堂の窓ガラスが1枚割れていたことと、テーブルの上の子供の兵隊人形(china soldier figurines → 2025年11月16日付ブログで紹介済)が3個に減っていたことだった。


ようやく足音は廊下に移ってきた。ロンバードの声がした。

「ヴェラ、大丈夫かい」

「ええ、どうでした」

「中に入れてもらえますか」と、ブロアの声が言った。

ヴェラはドアに行った。イスを動かしてカギを開け、掛け金をはずす。ドアを開けた。男性二人は荒い息づかいをしていた。足とズボンのすそがぐっしょり濡れている。

「どうでした」と、ヴェラは同じことをきいた。

ロンバードが答えた。

「アームストロングが消えた …」


「なんですって」ヴェラは大きな声を出した。

「島から、きれいさっぱり消えてしまった」と、ロンバード。

ブロアも同じことを言った。

「消えた - そう、そのとおり! まるで奇術だ」

ヴェラはじれったそうに言った。

「そんなばかな! どこかに隠れているのよ」

ブロアが言った。

「いや、ちがうね! この島には、隠れる場所なんてない。手のひらのようにつるりとして、なにもないところだ。外は月明かりで明るい。昼間みたいですよ。なのに、見つからない」

「家にもどってきたんでしょう」と、ヴェラ。

「われわれも、そう思った。屋敷の中も捜しました。音が聞こえたでしょう。ここにはいませんよ。いなくなった - あとかたもなく消えた、トンズラしちゃったんです」

「わたしには信じられないわ」

「本当なんだ」と、ロンバードが言った。

彼はちょっと言葉を切ってから、先を続けた。

「ちょっとしたことだけど、ほかにももう一つ。ダイニングルームの窓ガラスが、一枚割れていた - そしてテーブルの上の小さな兵隊さんが、三個になっている」

(青木 久惠訳)


(36)燻製の鰊(ニシン)(A red herring)


赤枠で囲まれたエドワード・ジョージ・アームストロング医師の右斜め下には、
兵隊島の海岸に打ち上げる波の名から、ニシンが姿を見せている
<筆者撮影>


エドワード・ジョージ・アームストロングは、童謡「10人の子供の兵隊(Ten Little Soldiers → 2025年11月15日付ブログで紹介済)」のうち、燻製の鰊(ニシン)が出てくる歌詞に準えて、溺死させられる。


なお、「red herring」とは、本来の問題点から皆の注意を他に逸らして、論点をすり替える論理的誤謬を指す用語で、推理小説においては、登場人物(警察や探偵等を含む)や読者を誤った結論へと導くために使用される虚偽の証拠や情報等のことを言う。


つまり、夜中に、エドワード・ジョージ・アームストロングが部屋から抜け出して、外へ出て行ったため、フィリップ・ロンバードとウィリアム・ヘンリー・ブロアの2人が、「エドワード・ジョージ・アームストロングが、一連の殺人を行った犯人だ。」と考えて、彼の後を追うが、これは、登場人物である彼らと読者を誤った結論へと導いていることを、作者であるアガサ・クリスティーが「red herring」と言う用語を使って、匂わせているものと思われる。


(43)エドワード・ジョージ・アームストロング医師のスーツケース(A doctor’s suitcase)


兵隊島に建つ邸宅の1階の一番右端が居間で、
招待客の一人であるアンソニー・ジェイムズ・マーストンが、
ソファーにリラックして座り、酒を楽しんでいる。
この居間の窓に、真っ赤なオイルシルクのカーテンが掛けられている。
厳密に言うと、原作の場合、
このカーテンが掛かっていたのは、居間ではなく、浴室である。
このカーテンの下の床に、
エドワード・ジョージ・アームストロング医師のスーツケースが置かれている。
<筆者撮影>


食堂において、エミリー・キャロライン・ブレント(Emily Caroline Brent / 信仰心の厚い老婦人 → 2025年10月29日付ブログで紹介済)が、青酸カリが入った皮下注射器を首筋に刺されて、5番目の犠牲者となった後、残された人達は、エドワード・ジョージ・アームストロング医師が持って来た注射器が使用されたのではないかと疑い、彼のスーツケースを調べるのであった。


「われわれにはまだ、筋道をたてて、ものを考える力があるんじゃないかな。この家に注射器を持ってきたものはいるだろうか」と、判事が静かに言った。

アームストロング医師が、身体を起こした。

「わたしは持ってきましたよ」と、彼は不安そうな声で答えた。

四対の目が、医者をじっと見つめた。敵意のこもった疑り深い視線を受けて、アームストロングは身体をこわばらせた。

「旅行にはいつも持っていくんです。医者なら、当たり前だ」

ウォーグレイヴ判事が、静かに言った。

「たしかに、そのとおりだな。先生、あんたの注射器は今どこにあるだろう」

「部屋に置いてあるスーツケースに入っていますよ」

「それを確かめようじゃないか」と、ウォーグレイヴ。

五人は、無言でぞろぞろと二階に上がっていった。

スーツケースの中身が出されて、床に並べられた。

注射器はなかった。


アームストロングが声を尖らせた。

「盗まれたんだ!」

誰もなにも言わなかった。

(青木 久惠訳)


1930年代後半の8月のこと、英国デヴォン州(Devon)の沖合いに浮かぶ兵隊島に、エドワード・ジョージ・アームストロングを含め、年齢も職業も異なる8人の男女が招かれる。彼らを島で迎えた執事と料理人の夫婦は、エリック・ノーマン・オーウェン氏(Mr. Ulick Norman Owen)とユナ・ナンシー・オーウェン夫人に自分達は雇われていると招待客に告げる。しかし、彼らの招待主で、この島の所有者であるオーウェン夫妻は、いつまで待っても、姿を現さないままだった。


招待客が自分達の招待主や招待状の話をし始めると、皆の説明が全く噛み合なかった。その結果、招待状が虚偽のものであることが、彼らには判ってきた。招待客の不安がつのる中、晩餐会が始まるが、その最中、招待客8人と執事 / 料理人夫婦が過去に犯した罪を告発する謎の声が室内に響き渡る。

エドワード・ジョージ・アームストロングは、アルコールを摂取した後、患者のルイーザ・メアリー・クリース(Louisa Mary Clees)の手術を執刀して、死に至らせたと告発された。


招待客が兵隊島に到着した日の晩餐会において、
謎の声(オーウェン氏)による告発により、招待客8人と執事 / 料理人夫婦が戦慄する場面 -

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」の
グラフィックノベル版(→ 2020年9月13日付ブログで紹介済)から抜粋。


そして、物語が進み、童謡「10人の子供の兵隊」に準えて、エドワード・ジョージ・アームストロングは、6番目の被害者となる。


兵隊島に建つ邸宅の2階にある
ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の壁(画面左側)には、
童謡「10人の子供の兵隊」が書かれた額が掛けられている。
アガサ・クリスティーの原作によると、厳密には、
童謡「10人の子供の兵隊」が書かれた額は、
暖炉の上に置かれた熊の形をした大理石の時計の上の壁に掛けられているのが正しい。
<筆者撮影>


Four little soldier boys going out to sea; A red herring swallowed one and then there were Three.

(4人の子供の兵隊さんが、海へ出かけた。一人が燻製の鰊(ニシン)に呑みれて、残りは3人になった。)


原作の場合、

夜中、邸宅から外へ出て行ったエドワード・ジョージ・アームストロングの追跡が失敗に終わり、

屋敷に戻って来たフィリップ・ロンバードとウィリアム・ヘンリー・ブロアの2人は、

食堂へ行って、兵隊人形の数が3個に減っていることを確認。-

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。


*被害者:エドワード・ジョージ・アームストロング

*告発された罪状:アルコールを摂取した後、患者のルイーザ・メアリー・クリースの手術を執刀して、死に至らせたと告発された。

*犯罪発生時期:1925年3月14日

*死因:溺死


原作の場合、海岸の二つの岩の間に、
エドワード・ジョージ・アームストロングの溺死体が挟まれているのが、
フィリップ・ロンバードとヴェラ・エリザベス・クレイソーンの2人によって発見されている。
エドワード・ジョージ・アームストロングの溺死体は、満ち潮で打ち上げられたのである。-

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。