|
「非常に残忍なクリスマス(A Very Murderous Christmas)」は、英国の出版社である Profile Books Ltd. が、クリスマスの時期に合わせて、クリスマスを題材にした短編10作品をまとめ、2018年に出版したアンソロジーである。
(1)「袋を持った男(The Man with the Sack)」
作者は、英国の推理作家であるマージェリー・ルイーズ・アンリガム(Margery Louise Allingham:1904年ー1966年)で、彼女の短編集である「アリンガムのミニバス(The Allingham Minibus)」(1973年)に収録されている。なお、同短編集は、「キャンピオン氏の幸運な日(Mr. Campion’s Lucky Day)」に改題されている。彼女の作品において、アルバート・キャンピオン(Albert Campion)が、主に探偵役を務める。
本短編は、アルバート・キャンピオンが招待されたサッフォーク州(Suffolk)にあるレディー・タレット(Lady Turrett)邸ファラオズコート(Pharaoh’s Court)において発生した高価なネックレスの盗難事件を扱っている。
(2)「赤後家の冒険(The Adventure of the Red Widow)」
作者は、サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)の息子であるエイドリアン・コナン・ドイル(Adrian Conan Doyle:1910年ー1970年)と、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれている米国の推理作家で、コナン・ドイルの伝記作家でもあるジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)で、彼らの短編集である「シャーロック・ホームズの功績(The Exploits of Sherlock Holmes)」(1954年)に収録されている。
1887年12月24日、スコットランドヤードのグレッグスン警部(Inspector Gregson)からの依頼を受けて、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの二人は、ジョセリン・コープ卿(Lord Jocelyn Cope)が惨殺された事件を捜査すべく、セントパンクラス駅(St. Pancras Station)からダービーシャー州(Derbyshire)へと向かう。
(3)「キャンバーウェル クラッカー工場(Camberwell Crackers)」
作者は、英国の小説家で、推理ドラマ / サスペンスドラマの脚本家でもあるアンソニー・ホロヴィッツ(Anthony Horowitz:1955年ー)で、2018年に発表されている。
若くして、29歳で警部に昇進したスコットランドヤードのアンドリュー・フレッチャー警部(Inspector Andrew Fletcher)は、大富豪であるハーヴェー・オズボーン(Harvey Osborne)が殺害された事件を捜査するため、4-5週間前にハーヴェーが訪れたキャンバーウェル(Camberwell)にあるクリスマス用クラッカーを製造している工場の経営者であるフルブライト氏(Mr. Fulbright)の元を訪問する。
(4)「飛ぶ星(The Flying Stars)」
作者は、英国の作家、批評家、詩人で、随筆家でもあるギルバート・キース・チェスタトン(Gilbert Keith Chesterton:1874年ー1936年)で、彼の短編集である「ブラウン神父の童心(The Innocence of Father Brown)」(1911年)に収録されている。彼の作品において、ブラウン神父(Father Brown)が、主に探偵役を務める。
本短編は、怪盗フランボウ(Flambeau)が改心した時の事件を回顧するという形式で書かれている。
(5)「雪の問題(A Problem in White)」
作者は、アイルランド生まれの英国の詩人、作家で、推理作家でもあるセシル・デイ=ルイス(Cecil Day-Lewis:1904年ー1972年)で、彼は、別名のニコラス・ブレイク(Nicholas Blake)名で発表した「野獣死すべし(The Beast Must Die)」(1938年)等で有名である。
降雪のため、立ち往生したスコットランド行きの列車内で、乗客の一人が殺害された事件を取り扱っている。