2018年9月22日土曜日

ロンドン大火(The Great Fire of London)–その3

ロンドン大火が発生したプディングレーンの近くの広場に設置されている
ロンドン大火を題材にした大理石のベンチ(その1)

ロンドン大火(The Great Fire of London)が発生した場所と最後の火が完全に鎮火した場所には、不思議な符号が存在している。


ロンドン大火が発生した場所は、シティー・オブ・ロンドン(City of London→2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)のプディングレーン(Pudding Lane)にある王室御用達のパン屋であるトマス・ファリナー(Thomas Farriner / Thomas Faryner)の店で、1666年9月2日の日曜日、日付が変わったばかりの深夜の1-2時頃、彼の店から出火した。

プディングレーン沿いに建つオフィスビルの外壁に設置されているロンドン大火の記念プレートで、
ロンドン大火が発生した王室御用達のパン屋であるトマス・ファリナーの店が
近くにあったことを示している
ロンドン大火が発生したプディングレーンの近くの広場に設置されている
ロンドン大火を題材にした大理石のベンチ(その2)

前年の1665年から英国はオランダとの間で第二次英蘭戦争(Second Anglo-Dutch War:1665年ー1667年)に突入しており、トマス・ファリナーの店では、海軍食料局向けに堅パンを製造していて、海軍から堅パンの大量注文を受け、毎日深夜までフル操業の状態だった。木造建築だった家屋への火の手は早く、トマス・ファリナー一家は、上階の窓から隣家へと跳び移ったが、窓から跳び移ることを恐れた下女は、炎と煙に包まれて、最初の犠牲者となったのである。

画面手前を左右に延びている通りがギルップールストリートで、
画面手前中央から画面奥へ延びている通りがコックレーン

そして、ロンドン大火の最後の火が完全に鎮火した場所が、ギルップールストリート(Giltspur Street→2018年6月9日 / 6月16日 / 6月23日付ブログで紹介済)とコックレーン(Cock Lane→2018年6月30日 / 7月7日付ブログで紹介済)が交差する北西の角にあるパイコーナー(Pye Corner)である。


1666年9月2日(日)に発生したロンドン大火は、セントポール大聖堂(St. Paul’s Cathedral→2018年8月18日 / 8月25日 / 9月1日付ブログで紹介済)を含むシティー・オブ・ロンドン一帯を焼き払った後、4日目の同年9月5日(水)になって、火の勢いは漸く弱まり、完全に鎮火したのは、9月6日(木)だった。そして、ロンドン大火の最後の火が完全に鎮火したのが、このパイコーナーであった。

ギルップールストリートとコックレーンが交差する
北西の角にあるパイコーナー

現在、パイコーナーには、金色の少年の姿をした記念碑がビルの外壁に設置され、「This Boy is in Memory Put up for the late FIRE of LONDON Occasion’d by the Sin of Gluttony 1666. (この少年の像は、大食という大罪によって引き起こされた先のロンドン大火を記念して設置された。)」という言葉が添えられている。

パイコーナーに建つオフィスビルの外壁に設置されている
The Golden Boy of Pye Corner

「大食(Gluttony)」とは、キリスト教における「七つの大罪(Seven Deadly Sins)」のうちの一つである。ロンドン大火は、プディングレーンで出火して、パイコーナーで鎮火しており、「プディング」も「パイ」も食べ物に関連しているため、「大食」という大罪に結び付けられたものと、一説には言われている。

パイコーナーに建つオフィスビルの外壁に設置されている
The Golden Boy of Pye Corner の説明板

なお、「The Golden Boy of Pye Corner」と呼ばれるロンドン大火の記念碑は、元々、ここで営業していたパブ「The Fortune of War」の入口に設置されていたが、1910年にパブが取り壊されたため、現在は、その後に建てられたオフィスビルの 1st Floor(日本の2階)に該る外壁に設置されているのである。

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