アガサ・クリスティー作「クリスマスプディングの冒険 / 盗まれたロイヤルルビー(The Adventure of the Christmas Pudding / The Theft of the Royal Ruby)」の冒頭、ある東洋の国の王位継承者である王子がロンドンで知り合った若く魅力的な女性にその国に伝わる由緒あるルビーを持ち逃げされてしまう。間もなく、王子は従姉妹と結婚する予定で、このことが公になった場合、大変なスキャンダルになる可能性が非常に高かった。その国との関係を重要視する英国政府(外務省)の説得を受けたエルキュール・ポワロは、ルビーを持ち逃げした女性が潜んでいるというキングスレイシー(Kings Lacey)の屋敷で開催されるクリスマスパーティーに参加するのであった。
英国のTV会社ITV1で放映されたポワロシリーズ「Agatha Christie's Poirot」の「盗まれたロイヤルルビー」(1991年)の回では、アーサー・ヘイスティングス大尉とミス・フェリシティー・レモンの二人が不在となるクリスマスを一人で楽しもうと、ポワロはロンドン市内のチョコレート店へやって来た。自分用のチョコレートを購入して帰宅しようとしたポワロは、店の前で突然謎の男二人によって車内へ押し込められ、連れ去られてしまうのであった。
ポワロが謎の男二人に連れ去られた場面は、セントマーティンズレーン(St. Martin's Lane)で撮影されている。
セントマーティンズレーンは、シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のストランド地区(Strand)内にあり、南側はナショナルギャラリー(National Gallery)近くのウィリアム4世ストリート(William IV Street)から始まって、北側は地下鉄レスタースクエア駅(Leicester Square Tube Station)と地下鉄コヴェントガーデン駅(Covent Garden Tube Station)を結ぶロングエイカー通り(Long Acre)で終わる通りである。
セントマーティンズレーンを行き交う人々の流れ |
セントマーティンズレーンと ウィリアム4世ストリートが交差する角に建つ パブ「ザ・チャンドス(The Chados)」 |
画面右手前がパブ「ザ・チャンドス」で、 画面左手奥がコロッセウム劇場 |
セントマーティンズレーンの両側には、劇場が数多く集中している。
通りの西側には、ヨーク公爵劇場(Duke of York's Theatre)やノエルコワード劇場(Noel Coward Theatre)が、通りの東側には、イングリッシュナショナルオペラ(English National Opera)やイングリッシュナショナルバレエ(English National Ballet)が本拠地とするコロッセウム劇場(Coliseum Theatre)が建っていて、観劇客や観光客等で賑わっている。
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