2015年12月26日土曜日

ロンドン エンデルストリート(Endell Street)

ハイホルボーン通り側から見たエンデルストリート

サー・アーサー・コナン・ドイル作「青いガーネット(The Blue Carbuncle)」では、クリスマスの早朝、宴席から帰る途中の退役軍人ピータースン(Peterson)が、トッテナムコートロード(Tottenham Court Road)とグッジストリート(Goodge Street)の角で発生した喧嘩の現場に残された帽子とガチョウを、ベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元に届けて来た。ホームズに言われて、ピータースンは拾ったガチョウを持って帰ったが、その餌袋の中から、ホテルコスモポリタン(Hotel Cosmopolitan)に滞在していたモーカー伯爵夫人(Countess of Morcar)の元から12月22日に盗まれて、懸賞金がかかっている「青いガーネット」が出てきたのだ。

エンデルストリートの北側はロンドン・カムデン区に属している
エンデルストリートの南側は
シティー・オブ・ウェストミンスター区に属している

ホームズは早速新聞に広告を載せて、ガチョウの落とし主を探したところ、ヘンリー・ベイカー氏(Mr Henry Baker)が名乗り出て来た。ベーカー氏によると、大英博物館(British Museum)の近くにあるパブ「アルファイン(Alpha Inn)」の主人ウィンディゲート(Windigate)がガチョウクラブを始め、毎週数ペンスずつ積み立てていくと、各人クリスマスにガチョウを一羽ずつ受け取れる仕組みだと言う。

右側の通りがエンデルストリートで、
左側の通りが直角に交差するシェルトンストリート(Shelton Street)

ジョン・ワトスンを連れて、アルファインに赴いたホームズは、そこで主人のウィンディゲートから、「問題のガチョウは、コヴェントガーデンマーケット(Covent Garden Market)にあるブレッキンリッジ(Breckinridge)の店から仕入れた」ことを聞きつける。
そこで、二人はブレッキンリッジの店へと向かった。

シェルトンストリートからエンデルストリート(北側)を望む

私達はホルボーンを横切り、エンデルストリートを下り、スラム街をジグザグに抜けて、コヴェントガーデンマーケットへと向かった。最も大きな店の一軒がブレッキンリッジという看板を掲げており、そこでは、きちんと整えた頬髭を生やして、鋭い顔つきをした馬面の経営者が店仕舞いをする少年を手伝っていた。
「こんばんは。コニャは冷え込むね。」と、ホームズは声をかけた。
経営者は頷いて、いぶかるような視線をホームズに向けた。
「ガチョウは全部売れ切れたようだね。」と、ホームズは空の大理石の台を指差して続けた。

シェルトンストリートからエンデルストリート(南側)を望む

We passed across Holborn, down Endell Street, and so through a zigzag of slums to Covent Garden Market. One of the largest stalls bore the name of Breckinridge upon it, and the proprietor, a horse-looking man, with a sharp face and trim-side-whiskers, was helping a boy to put up the shutters.
'Good-evening. It's a cold night,' said Holmes.
The salesman nodded and shot a questioning glance at my companion.
'Sold out of geese, I see,' continued Holmes, pointing at the bare slabs of marble.

左手のビルには、貸しオフィスやホテル等が入居している

エンデルストリート(Endell Street)は、北側が地下鉄ホルボーン駅(Holborn Tube Station)から地下鉄ピカデリーサーカス駅(Piccadilly Circus Tube Station)へ向かって南西へ延びるハイホルボーン通り(High Holborn)から始まり、南側はロイヤルオペラハウス(Royal Opera House)の近くを東西に延びるロングエイカー通り(Long Acre)で終わる通りである。その後、ボウストリート(Bow Street)へと名前を変えて、ロイヤルオペラハウスの前を通っている。
エンデルストリートの北側は、ロンドン・カムデン区(London Borough of Camden)内に、そして、南側はshティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)内に属している。

エンデルストリートは、左右に延びるロングエイカー通りに交差して、
ボウストリートに名前を変える

エンデルストリートの一部は17世紀前半に既にできていたが、当初は、ベルトンストリート(Belton Street)として知られていた。1846年に通りの幅が拡げられ、かつ、ハイホルボーン通り方面へ通りが延びた際、当時の教区牧師であるジェイムズ・エンデル・タイラー(James Endell Tyler)に因んで、エンデルストリートと呼ばれるようになったと言われている。

ロングエイカー通り側から見たエンデルストリート

現在、エンデルストリートの一本西側にあるニールストリート(Neal Street)が賑わっていて、エンデルストリートはやや裏通りに近く、人通りはそれ程ではないが、タクシーの抜け道(の一部)となっているため、車の往来は割合とあり、また、レストランやショップ等もある程度軒を連ねている。

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