スノーヒル通り側から見たコックレーン– 黒死荘があった場所の候補地の一つ |
米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が、別のペンネームであるカーター・ディクスン(Carter Dickson)名義で発表した長編第2作目で、ヘンリー・メルヴェール卿(Sir Henry Merrivale)が探偵役を務める長編第1作目となる「黒死荘の殺人(The Plague Court Murder→2018年5月6日 / 5月12日付ブログで紹介済)」では、降霊会の最中、黒死荘(The Plague Court)の庭に建つ石室内において、心霊学者のロジャー・ダーワース(Roger Darworth)が血の海の中で無残にも事切れていた。石室は厳重に戸締りされている上に、石室の周囲には、足跡が何も残されていなかった。それに加えて、殺害されたロジャー・ダーワースの傍らには、前日の午後、ロンドン博物館から盗まれた曰く付きの短剣が真っ赤な血に染まって残されていたのである。
ロジャー・ダーワースが殺害された黒死荘があった場所は、ロンドンの経済活動の中心地であるシティー・オブ・ロンドン(City of London)内にあり、サー・アーサー・コナン・ドイル作「緋色の研究(A Study in Scarlet)」において、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンが初めて出会ったセントバーソロミュー病院(St. Bartholomew’s Hospital→2014年6月14日付ブログで紹介済)の近くにある。
スノーヒル通り側から見たコックレーンの奥 (ギルップールストリート側に近い方)では、 現在、建物の建替工事中のため、 通行止めとなっている |
セントバーソロミュー病院を右手に見て、ギルップールストリート(Giltspur Street→2018年6月9日 / 6月16日 / 6月23日付ブログで紹介済)を北上し、左手に見える最初の通りへ左折したところにあるコックレーン(Cock Lane)で、来週紹介予定のホウジアレーン(Hosier Lane)と並んで、黒死荘があった場所の候補地の一つである。
コックレーンから見たスノーヒル通り |
コックレーンの東側は、ギルップールストリートから始まり、西側は、有名な肉市場であるスミスフィールド(Smithfield Market)から南下するスノーヒル通り(Snow Hill)に突き当たって終わっている。また、コックレーンは、来週紹介予定のホウジアレーンの南側で、ホウジアレーンに並行するように、東西に延びる通りである。