妻エリザベスの死後、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティが移り住んだ チェイニーウォーク16番地の建物 |
19世紀中頃に結成された「ラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood)」(正確には、「ラファエロ以前兄弟団」)を代表する英国の画家 / 詩人であるダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(Dante Gabriel Rossetti:1828年ー1882年)と1860年に結婚した美術モデルのエリザベス・シダル(Elizabeth Siddal:1829年ー1862年)は、ロセッティの弟子に該るウィリアム・モリス(Willaim Morris:1834年ー1896年)と結婚した絵画モデルのジェーン・バーデン(Jane Burden:1834年ー1896年)とロセッティが惹かれあっていることに心を痛め、冷え切った夫婦関係と女児の死産のため、鎮痛剤に次第に溺れるようになり、結婚2年目に該る1862年、大量の阿片チンキを服用して、自殺同然の死を遂げる。
チェイニーウォーク16番地の建物の外壁右側に、 ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティがここに住んでいたことを示す ブループラークが架けられている |
妻エリザベスの死後、ロセッティが移り住んだ家がチェイニーウォーク16番地(16 Cheyne Walk)で、現在のケンジントン&チェルシー王立区(Royal Borough of Kensington and Chelsea)のチェルシー区(Chelsea)内に所在している。テムズ河(River Thames)沿いに東西に延びるチェルシーエンバンクメント通り(Chelsea Embankment)を一歩北へ入ったところにあるチェイニーウォーク(Cheyne Walk)沿いに、16番地の建物はあり、建物からテムズ河を望むことができる。
なお、チェイニーウォークは、オークリーストリート(Oakley Street)を間に挟んで、二つに別れているが、16番地の建物があるチェイニーウォークは、オークリーストリートの東側にあり、オークリーストリート(西側)とフラッドストリート(Flood Streetー東側)に挟まれている。
チェイニーウォークを二つに分けるオークリーストリートは、 アルバート橋に繋がり、テムズ河を渡る |
ロセッティは、チェイニーウォーク16番地の建物内で、豪華な装飾、また、珍しい鳥や動物(彼はウォンバット(Wombat)が大変お気に入りだったらしい)に囲まれて、10年近く暮らしていたが、弟子のウィリアム・モリスの妻となったジェーンへの思慕と亡き妻エリザベスへの罪悪感に次第に苛まれるようになり、心身を病み、1872年に自殺を図っている。
晩年には、酒と薬に溺れる生活を続け、1882年のイースター休暇をケント州(Kent)のバーチントン・オン・シー(Birchington-on-Sea)にある友人宅で過ごしていた際、肝臓病が原因で、失意のうちに54歳の生涯を終えたのである。
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