2016年6月25日土曜日

ロンドン 地下鉄ハイストリートケンジントン駅(High Street Kensington Tube Station)

ケンジントンハイストリートの反対側から見た地下鉄ハイストリートケンジントン駅

サー・アーサー・コナン・ドイル作「六つのナポレオン像(The Six Napoleons)」は、ある夜、スコットランドヤードのレストレード警部(Inspector Lestrade)がベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れるところから、物語が始まる。

地下鉄ハイストリートケンジントン駅の入口
最近、ロンドンの街中で何者かが画廊や住居等に押し入って、ナポレオンの石膏胸像を壊してまわっていたのだ。そのため、レストレード警部はホームズのところへ相談に来たのである。最初の事件は、4日前にモース・ハドソン氏(Mr Morse Hudson)がテムズ河(River Thames)の南側にあるケニントンロード(Kennington Road)で経営している画廊で、そして、2番目の事件は、昨夜、バーニコット博士(Dr Barnicot)の住まい(ケニントンロード)と診療所(ロウワーブリクストンロード(Lower Brixton Road))で発生していた。

地下鉄ハイストリートケンジントン駅のプラットフォーム(その1)
続いて、3番目の事件がケンジントン地区(Kensington)のピットストリート131番地(131 Pitt Street)にあるセントラル通信社(Central Press Syndicate)の新聞記者ホーレス・ハーカー氏(Mr Horace Harker)の自宅で起きたのであった。更に、今回は殺人事件まで発生したのだ。レストレード警部に呼び出されたホームズとジョン・ワトスンに対して、ハーカー氏は事の経緯を説明する。

地下鉄ハイストリートケンジントン駅のプラットフォーム(その2)
「私が約4ヶ月前この部屋に置くために購入したあのナポレオン胸像が目当てのようです。私はあの胸像をハイストリートケンジントン駅の二軒隣りにあるハーディングブラザーズの店で安く購入しました。私は新聞記者として夜間に多くの仕事をし、早朝まで記事を書くこともしばしばです。事件が起きたのは、今日です。午前3時頃、私は一番上の階の奥にある仕事部屋に居た時、階下で何か物音を聞いた気がしました。私は耳をすませましたが、物音はもうしませんでした。それで、私は外の物音だったと結論づけました。その約5分後、突然、物凄く恐ろしい叫び声が...ホームズさん、私が今までに聞いた中でも最も恐ろしい叫び声がしたのです。私が生きている限り、あの叫び声は私の耳の中でこだまし続けるでしょう。恐怖のあまり、私は1~2分程固まっていました。それから、私は火掻き棒を手にして、階下へ降りて行きました。私がこの部屋に入ると、窓が大きく開け放たれているのに気付き、そして、直ぐに胸像が暖炉の上からなくなっているのが判りました。何故、強盗があんなものを盗って行くのか、私には理解できませんよ。というのも、あの胸像は単なる石膏像で、全く価値がないものだったからです。」

'It all seems to centre round that bust of Napoleon which I bought for this very room about four months ago. I picked it up cheap from Harding Brothers, two doors from the High Street Station. A great deal of my journalistic work is done at night, and I often write until the early morning. So it was today. I was sitting in my den, which is at the back of the top of the house, about three o'clock, when I was convinced that I heard some sounds downstairs, I listened, but they were not repeated, and I concluded that they came from outside. Then suddenly, about five minutes later, there came a most horrible yell - the most dreadful sound. Mr Holmes, that ever I heard. It will ring in my ears as long as I live. I sat frozen with horror for a minute or two. Then I seized the poker and went downstairs, When I entered this room I found the window wide open, and I at once observed that the bust was gone from the mantelpiece. Why any burglar should take such a thing passes mu understanding, for it was only a plaster cast and of no real value whatever.'

地下鉄ハイストリートケンジントン駅前を通る
ケンジントンハイストリートー
バスやタクシー等、車の往来が激しい

地下鉄ハイストリートケンジントン駅(High Street Kensington Tube Station)はロンドンの中心部ケンジントン&チェルシー王立区(Royal Borough of Kensington and Chelsea)のケンジントン地区 内にある駅で、サークルライン(Circle Line)とディストリクトライン(District Line)の2線が乗り入れている。サークルラインの場合、ハイストリートケンジントン駅はグロースターロード駅(Gloucester Road Tube Station)とノッティングヒルゲート駅(Notting Hill Gate Tube Station)の間に、また、ディストリクトラインの場合は、アールズコート駅(Earl's Court Tube Station)とノッティングヒルゲート駅の間に位置している。

ケンジントンアーケード内ー
奥に地下鉄ハイストリートケンジントン駅の改札口が見える

1868年にオープンしたハイストリートケンジントン駅は、ケンジントンハイストリート(Kensington High Street)に面しており、ケンジントンアーケード(Kensington Arcade)を抜けると、駅の改札口に到達する。

地下鉄ハイストリートケンジントン駅(入口)の二軒左隣りには、
「Accessorize」が営業している

現在、ハイストリートケンジントン駅の二軒隣りには、ハーディングブラザーズの店は見当たらず、左側には「Accessorize(アクセサリー等の小物店)」が、右側には「Wasabi(テイクアウト中心の食べ物屋)」が営業している。

地下鉄ハイストリートケンジントン駅(入口)の二軒右隣りには、
「Wasabi」が営業しているー
左側のビルの屋上には、2016年2月28日付ブログで紹介した
「ケンジントンルーフガーデンズ(Kensington Roof Gardens)」がある

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